複雑な背景を持つキャラクターたち
――アニメへの出演に際して原作マンガを読んだ印象は?
大塚 非常に丁寧に作り込まれている作品だと感じました。重厚でありながらポップさもあり、序盤から伏線が張り巡らされていて、世界観にどんどん引き込まれていきました。キャラクターもみんな癖があり魅力的に思います。
――一葉役のオーディションに臨むにあたって、とくに意識したことはありますか?
大塚 まず世界観をしっかり理解しないといけないなと思いましたし、オーディション原稿のために抜粋されたシーンは、一葉のさまざまな表情や感情がうかがえるものだったので、きちんと原作を読み込んで臨もうと思っていました。あとは、一葉が持つ力強さや勢いをしっかり表現したいと考えました。
――本作の主人公である一葉の人物像について、大塚さんはどのようにとらえていますか? 演じる際に意識していることがあれば教えてください。
大塚 一見直情的かと思いきや全然それだけではない、いろいろな思いを秘めている複雑なキャラクターなのかなと思います。なので、今、一葉はどういうことを考えて行動しているのかを、注意深く演じていこうと意識していました。原作第1章のボイスコミックの収録は、掛け合いではなくひとりでの収録という難しさがあったので、アニメの収録を思い出しながら、どんな空気感になるか一生懸命想像しながら演じさせていただきました。とくに滇紅とのやりとりは、小気味よさみたいなものが出たらいいなと意識しています。
――一葉のパートナーである滇紅の人物像についてはどのようにとらえていますか? 大塚さんから見た滇紅の魅力やギャップを感じるポイントを教えてください。
大塚 滇紅も滇紅で、とてもひと言では言い表せられない複雑なキャラクターかと思います。普段の楽しい賑やかさ、「踏々歌・解式」で表出する威圧感たっぷりの雰囲気、そしてそこにある謎。この不安定さがあるからこそ、目を離せないなと個人的には感じています。
一葉と滇紅の間に流れる歪な空気
――壱話(一話)では元の姿に戻って暴れる花果(かか)を止める際に、そして弐話(二話)では暴走する流(りゅう)を止める際に、一葉は「解式」された滇紅の力を借りました。このふたつのエピソードで垣間見えたふたりの関係性をどのようにとらえていますか?
大塚 普通の主従ではない歪(いびつ)な空気がふたりの間に流れているので、どことなくソワソワしてしまうというか、見ていてときどき不安な気持ちにさせられてしまいますね。演じる側としては、石川(界人)さんが演じる滇紅が本当に活き活きとしていて、どんな状態での滇紅でも自然と一葉の反応が引き出される感覚があり、共演していてとても刺激的でした。
――参話(三話)では、次代の西王母となる白珠龍(はくしゅりん)と一葉の出会いが描かれました。そこで垣間見えた一葉と珠龍の関係性や、このエピソードでとくに印象に残った場面について教えてください。
大塚 一葉にとっても珠龍にとっても、この出会いは大きな意味があったんだろうなと思います。お互いがお互いに何か感じるところもあったのかな?と想像してしまいます。このエピソードでは、ふたりももちろんですが、山烏(さんう)のことも印象深いです。物語に大きく関わってくる大事なお話でした。
――肆話(四話)では、一葉と滇紅の出会いのエピソードや、一葉が歌士として働く理由が描かれました。一葉と親代わりである白豪(はくごう)の関係性や、封印された状態の滇紅と現在の彼の印象の違いについて大塚さんはどうとらえていますか?
大塚 どちらも単純には語れないので難しいですね。ただ、どちらにも言えることは、どうやら一葉の存在が大きな鍵になっていそうだということではないでしょうか。滇紅に関しては、封印されていた状態の彼は、壱話から描かれている通常の姿「赤滇紅」や、解式された姿「白滇紅」とは異質に感じられます。
――伍話(五話)以降の注目ポイントを聞かせてください。
大塚 明らかにヤバそうなヤツらが出てきて、物語が大きく動き出しそうです。相変わらずの賑やかなやりとりもありつつ、さまざまな思惑が交錯するような展開にもなっていきます。引き続き最後のおさらいコーナーまで、楽しんで見ていただけたらうれしいです。
- 大塚剛央
- おおつかたけお 10月19日生まれ。東京都出身。アイムエンタープライズ所属。主な出演作は『【推しの子】』(アクア)、『トリリオンゲーム』(天王寺陽)、『薬屋のひとりごと』(壬氏)など。