TOPICS 2021.10.14 │ 12:00

個人制作からから商業作品のフィールドへ
気鋭のアニメーション作家・谷耀介監督インタビュー②

川崎競馬場作PRアニメーションを手がけた気鋭のアニメーション作家・谷耀介監督。東京藝術大学大学院在学中から活動を本格化し、国内外の賞を数多く受賞するなど、新世代作家として業界注目の存在だ。アニメーション作家としての特徴、そして今後の活動について聞いた。

取材・文/日詰明嘉

アイデア出しに必要なのは……紙と鉛筆

――谷監督の作品にはもののけや異形をモチーフにしたキャラクターが多く登場しますが、これらはどのような発想から生み出されるのでしょうか?
 単純に好きなので、キャラクターに関してはわりとすぐにスケッチできてしまうんですよね。『ドラえもん』のようなかわいいキャラクター、『うる星やつら』のような変な生き物がいっぱいいる世界観が好きなんです。八百万の神、とまでいくといきすぎかもしれませんが、ああいったワチャワチャした感じとか、整然としていない世界観がとても好きなんです。現代は見えないものへの感性が失われている気がするので、コントロールできないものへのメタファーが、それぞれの作品の中で機能してくれると良いなと思っています。

――キャラクターはどんなときに思い浮かぶのでしょうか?
 鉛筆を持ったときかなぁ……。作業は基本的に液タブを使っているのですが、そのときはあまり浮かばないです。キャラクターに限らず、最初の企画出しのときは紙と鉛筆がいい気がします。あと、新しい発想を思いつくのは、考えが煮詰まったときですね。机に向かって考えを転がし続けていると、あるとき次のステップに進むようなイメージです。

本作でも最初にキャラクターを起こす作業はアナログで行われている。

――他の人の作品からはあまり影響を受けないタイプでしょうか?
 いえ、逆にめっちゃ受けてしまうんです。なので、自分と近しい作品とは少し距離を置いている部分があります。すぐに影響を受けてしょぼいコピーみたいなことをしだす危険があるので(笑)。今の世の中、発信者が多くなっている分、僕のようなタイプには危険が多い世界だと思います。

――谷監督の作品には先ほどの物の怪のキャラクターの他にも、日本文化がさまざまなかたちで表現に盛り込まれています。これはアーティストとして意識的に用いているモチーフなのでしょうか?
 それはたまたま、そうしたものを描いていた時期があったというだけですね。今でも「和」にまつわるものをベースに何かを作りたいと思うことはありますが、自分の生涯を通じたモチーフというわけではありません。

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「物語をアニメで語る」をこれからもベースに

――これからどんなものを作っていきたいですか?
 物語をアニメーションで語る、というところは、どんな作品を撮ってもベースにあると思います。そのうえでアーティスティックな表現を目指したものから、小さな子供でも楽しめるものまで、表現のバランスをとって作っていければと思います。長編作品を作ってみたい気持ちもありますが、プロジェクトが大きくなればなるほど、生み出すまでのストレスや動きにくさなどがあると思いますので、向き合い方は考えてしまいますが。

――最近は個人のアニメーション作家にミュージックビデオの制作を依頼するケースが増えていますが、興味はありますか?
 やってみたいなと思います。以前にもBONZIEさんという海外のアーティストの方が僕の学生時代の作品を見てくださって、直接オファーをいただいて作ったことがあります。他には日本のキュレーターの方からのツテで連絡をいただくこともあります。商業作品の新作については、2022年の年頭頃にいくつか作品が公開される予定がありますので、ご覧になって楽しんでいただけるとうれしいです。endmark

谷耀介
たにようすけ 1992年生まれ。京都府出身。立命館大学映像学部卒。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。在学中より作品を発表し、国内外の映画祭で数多くの賞を受ける。主な作品に『横浜市営交通100年物語』『BONZIE – Reincarnation』(MV)など。
作品情報

川崎競馬PRアニメーション 『二人の“馬の日”』
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