琴子と違って「嘘」が下手で すぐにバレちゃいます(笑)
――第1期から3年を経てのSeason2です。続編製作が決まったときの心境から聞かせてください。
鬼頭 続編制作のお話は、じつは第1期の放送中に知ったんです。それから3年越しのSeason2ということですごくうれしいですし、なんだか感慨深いですね。
――琴子を演じるのも約3年ぶりだと思いますが、ご自身の感覚はいかがでしたか?
鬼頭 3年も経っている感覚は全然なかったです。収録前にいただいた映像に色まで付いていたので、とくに探ることもなく、ごく自然にスッと琴子に戻れた感じです。
――鬼頭さんの中にしっかり琴子が存在していたんですね。
鬼頭 はい。1クール作品でしたけど、他のどのアニメよりもセリフ量が多くて、とにかくしゃべりまくったんです。だから琴子はもう完全に染みついている感じがします。
――琴子を演じるうえで、とくに意識していることはありますか?
鬼頭 琴子はとても頭の良い子なので、知的に聞こえるように単語をしっかりと区切りながらハッキリと明瞭にしゃべることを心がけていますね。一方で、九郎先輩とのコメディシーンなどではめちゃめちゃ堂々と下ネタを言ったりと、かなり振り切ったお芝居をしていて、そのギャップというか振り幅の大きさが琴子の魅力になればいいなと思いながら演じています。
――鬼頭さんご自身は琴子と似ている点はありますか?
鬼頭 いやあ、あんまりないですね。私は琴子のような頭の良さもないですし、お嬢様でもないですし。……うーん、背が低いことくらい?(笑)
――うらやましかったり憧れたりする部分はありますか?
鬼頭 どんな問題でも解決に導くことができる頭の良さっていうのは憧れますね。あと琴子って、子供のときに片目と片足を失っているんです。それだけを捉えるとかなりハードな過去を持っているんですけど悲壮感が全然ないですし、明るく前向きに生きているところはカッコいいなと思います。とにかく琴子のメンタルの強さは尊敬しますね。
――『虚構推理』という作品はいろいろな魅力があると思います。鬼頭さんはとくにどんなところに魅力を感じますか?
鬼頭 ベースはミステリではあると思うんですが、真実を追求する王道のミステリとは違って、タイトル通り、「虚構」を「推理」するっていうのがいちばんの魅力かなと思います。必ずしも真実ではなく、嘘を駆使して相手を納得させるというのが醍醐味ですよね。それだけでも十分に面白いんですけど、キャラクターがみんな個性的で、琴子と九郎先輩の妙な関係性とか、そんなところも魅力だなって思います。
――鬼頭さんは、嘘をついてその場を丸く収めるという考え方についてはどう考えていますか?
鬼頭 たとえ嘘であっても、それでその人が幸せになるのであれば、それもひとつの方法としてアリかなとは思います。ただ、私自身は琴子のように相手を納得させるような説明はできないですし、そもそもめっちゃ正直者なので、やろうと思ってもできないですね。
――嘘をつくのが苦手なんですね。
鬼頭 下手ですね。人狼ゲームとかでも、ただの村人として人狼を炙りだすのはすごく得意なんですけど、自分に役職がついてそれを隠さないといけない場合はすぐにバレちゃいますから(笑)。
――なるほど。収録では九郎役の宮野真守さんとの掛け合いが多いと思いますが、ふたりの空気感はどのように作り上げていますか?
鬼頭 第1期のときは、そもそも私がここまでしゃべり続ける役柄をやったことがなくて、すべて宮野さんにおんぶに抱っこ状態でした。ひとりでテンパってあわあわする私に対して、宮野さんは「ここは文法的にこうだから〜〜」って、まるで国語の先生のようにいろいろと教えていただきました。
――宮野さんに助けられたところがあったんですね。
鬼頭 めっちゃ助けていただきました。Season2では少し余裕ができたので、あれもこれも教えていただくということはなかったんですけど、その代わり作品やキャラクターについてはいろいろとお話させていただきました。宮野さんが収録の休憩中などに「この先、九郎と琴子はどうなっていくんだろうね」とか、よく声をかけてくださるんです。宮野さんは自分の考えをただしゃべるというよりもいっしょに考えようとしてくださるので、自然とふたりでディスカッションのような雰囲気になるんですよね。現場で作品についてそこまで深い話をしてくださる方ってなかなかいないので、ありがたかったですし、あらためて宮野さんってすごい人だなって感じました。
――宮野さんとのディスカッションで気づいた点などもありますか?
鬼頭 ありますね。先の展開に絡むお話になってしまうので詳しくはお話できないんですけど、やっぱり九郎と琴子という「存在そのもの」についてはいろいろと考えさせられましたね。
――長セリフの多い琴子ですが、アフレコ前に特別に準備することなどはありますか?
鬼頭 それこそ第1期のときは、台本をめくってもめくっても琴子がしゃべり続けていたので、それはもう大変でした。当時はとにかく必死になって家で練習していて、フリガナや注意点など、台本にもめちゃめちゃ書き込んでいたんですけど、いざ収録の際はその書き込みが邪魔でセリフが読みにくかったり(笑)。あるときには、あまりにしゃべりすぎて口が回らなくなってきて、音響監督さんに「今のうちにガヤを録るから、そのあいだは休んでいて」って言われたりもしました。
――それに比べるとSeason2は登場人物も多く、琴子がしゃべり続けるシーンは少なくなりました。
鬼頭 そうなんですよ。むしろ共演者の方がずっとしゃべり続けるシーンがあったりして、そんなときは「大変そうだ」って感じるくらい余裕が生まれました。私自身も第1期を通じて鍛えられたということもありますし、Season2ではそこまで苦戦はしていません。
――なるほど。では、後編では琴子と九郎の関係性についてさらにお話を聞かせてください。
鬼頭 よろしくお願いします!
- 鬼頭明里
- きとうあかり 愛知県出身。2014年『六畳間の侵略者!?』藍華真希役で声優デビュー。主な主演作は『ようこそ実力至上主義の教室へ』(堀北鈴音役)、『ウマ娘 プリティーダービー』(セイウンスカイ役)、『鬼滅の刃』(竈門禰豆子役)、『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』(近江彼方役)、『Engage Kiss』(緒方カンナ役)など。