苦悶に歪むステイルの顔は最高!
――第4話の時点では、作中の舞台である乙女ゲーム『キミヒカ』の攻略対象であるステイルとアーサーが登場しています。ふたりの印象はどうでしょうか?
ファイルーズ まずステイルについてですが、彼は絶望顔がいちばん輝くと思っています。目と眉毛がぐしゃっと歪んで、涙や汗、鼻水などでぐちゃぐちゃになっている、そんな絶望顔のステイルを見るのが私は大好きなんです(笑)。現場でもずっと言っていますよ。スタッフの方々も同じお考えなのか、台本の表紙には登場人物のキメ顔のイラストが描かれているんですけど、その中でステイルだけいつも苦しそうな顔をしているんです。
――(各話の台本の表紙を見て)……本当ですね。
ファイルーズ 王国の宰相であるジルベール役の遊佐(浩二)さんも「なんでステイルだけいつも苦しそうなの?」と、いじり倒していました。第2話のステイルはずっと辛そうにしていましたが、あの表情はたまりませんね。とくに母親が殺される未来を垣間見たシーンのステイルには、ゾクゾクしました。
榎木さんが演じることでキャラが濃くなったアーサー
――では、アーサーについてはいかがでしょうか?
ファイルーズ アーサーは原作でも魅力的なキャラクターだと思っていましたが、榎木(淳弥)さんが演じることでキャラがより濃くなったように感じました。というのも、榎木さんが毎回変なアドリブを入れるんですよ(笑)。それが採用されるかどうかはオンエアされるまでわからないので、ワクワク感があって。アーサーは真面目で思いこんだら一直線で、それでいて初心(うぶ)なところもあってかわいい子だなって思っていたんですけど、榎木さんのアドリブのせいで「ふーん、おもしれー男」という印象になってしまいました(笑)。
――ちなみに、榎木さんはどんなアドリブを入れていたのでしょうか?
ファイルーズ ちょっと先の話数になりますが、プライドに褒められたアーサーが顔を赤らめるシーンがあるんです。そこで榎木さんは「ポッ」というアドリブを入れたんですよ。さすがにそれはダメでしょ!と思っていたら、案の定、音響監督さんに「今の『ポッ』はナシにしようか」とあえなく却下されていました。
――それはボツにされても仕方ないですね(笑)。
ファイルーズ 『ラス為』の登場人物はみんなさまざまな特殊能力を持っていますが、「変わったアドリブを入れる」というのが榎木さんの特殊能力なのかもしれません。ステイル役の(内田)真礼ちゃんの特殊能力は「泣き怒り演技で聞く人をゾクゾクさせる」かな。「うわああーー!」と声を張り上げたときのカスレ具合と、そこから伝わる絶望と悲哀がたまらないですね。収録中も「それよ、ステイル!!」と心の中で大絶賛していました。
ジルベールの過去が明かされていく今後の展開
――第5話以降の注目ポイントを教えてください。
ファイルーズ ジルベールはこれまでチョイチョイ出てきては、場の空気を悪くしていました。今後はなぜ彼が終始あのような態度なのか、そしてなぜプライドを陰で貶めるようなことをしているのか、彼が抱えているものや過去が明かされていきます。今のところ悪役ポジションとして描かれていますが、根っからの悪人というわけではありません。彼の思いに触れるエピソードにご注目いただきたいですね。
また、第4話でプライドに忠誠を誓ったアーサーも、今後は出番が増えていくので、そちらにもご期待ください。
――最後に『ラス為』ファンに向けてメッセージをお願いします。
ファイルーズ 『ラス為』は乙女ゲーム好きな方ならキュンキュンしたり、「これわかる!」と共感できるポイントがたくさんありますし、乙女ゲーマーでなくてものめり込めるドラマが展開する作品です。わがまま放題だったプライドが、前世の記憶を取り戻し、みんなのために行動することで周囲から認められていくんですが、その姿を見ればきっとみなさんも自分を変える勇気をもらえるはずです。元気がないときや勇気が欲しいとき、プライドからたくさんパワーをもらってください。
- ファイルーズあい
- ふぁいるーずあい 7月6日生まれ。東京都出身。ラクーンドッグ所属。主な出演作は『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』(アナーキー)、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』(空条徐倫役)、『チェンソーマン』(パワー役)など。