『最遊記歌劇伝』が演じることへの考えを変えてくれた(藤原)
――最後にそれぞれにひと言、お願いします。
椎名 それって自分に言ってもいいの?
――ぜひ!(しばらく、話す順番を全員で相談)
藤原 では、僕から。じつは『最遊記歌劇伝』に出会うことで、2.5次元舞台と真摯に向き合う機会を与えてもらいました。大袈裟ではなく人生が変わったというか、演じることへの考えを変えてもらった作品です。だから、藤原さん、この作品に出会って関わることができてよかったな!
そして、平井(雄基)。すごく大変だったと思います。ずっと努力する姿を見てきたし、『最遊記歌劇伝ー外伝ー(以下、外伝)』ではすごく成長して引っ張ってくれて、一緒の場面もたくさんあって、ものすごく楽しかった。ありがとう。鯛ちゃん(椎名)はもうね、今回は真ん中でお話を引っ張っていく存在だったので拍手しかないです。拡樹(鈴木)からは、先にも話したように気づきというか発見が多くて、あらためて刺激をたくさんもらいました。「みんなで今回の役について話そう」と言いながら、結局あまり話さないまま初日を迎えたけど、もう話さなくてもいいか!という関係にまでなれたなと。舞台上で4人が思いっきり絡むこの作品で卒業できたことに感謝しています。
――続いて、平井さんお願いします。
平井 では、僕から僕へ。この公演途中にエナジードリンクを卒業することができました。ずっと飲んでいたんですが、音響さん、ヘアメイクさんから、本当にやめてと言われてしまい……。
椎名 エナジードリンクって、汗が止まらなくなっちゃうんだよね。
平井 そうなんです! 汗でマイクが水没してしまったのもそのせいだからと説得されて。それならと「えいや!」でやめてみたら、いいことしかなかったんです。汗は減ったし、寝付きも寝起きも良くなって。気持ちが高ぶって興奮していたのも落ち着くようになりました。よかったな、僕!
一同 (笑)。
平井 ふっきーさんは役柄が相棒的な存在だったこともあって、本当にたくさん面倒を見ていただきました。演技だけでなく精神的にも支えていただいて。稽古場でも、僕の台詞を受けて「今、こういう気持ちだったでしょ?」と声をかけてくれたり。それがいつも当たっていて、よく見てくださっているんだなと。
藤原 ……これ、めちゃくちゃ照れますね(笑)。
平井 (笑)。本当にふっきーさんと出会えてよかったです。
次は、鯛造さん。つねに稽古場をまとめてくださる存在でした。たとえば、僕らがちょっと困っていることがあると、いち早く気づいて柔らかに伝えて解決してくれる。すごく頼りになる先輩でした。お芝居の面では表情の変化の技術がすごくて。こういう顔をすると、そういうふうに見えるんだというのをたくさん学ばせていただきました。拡樹さんはレジェンドな存在で、まさか同じ舞台に立つ機会があるとは思ってもみなかった、それくらい目標とする先輩です。いろいろな思い出がありますが、その中でも『最遊記歌劇伝-Sunrise-』の本番でのことが印象深くて。あるとき、僕が階段を踏み外しちゃったことがあるんです。そのとき拡樹さんからは見えない体勢だったはずなのに、すぐにスタッフさんに状況を説明して僕の足を気遣ってくださって。演じながらもこんなにもまわりを見ていることに驚きました。この作品ですごくたくさんの先輩、スペシャリストの方々に出会えたこと、その一員でいられたことが誇りです。
いざ千秋楽を迎えたらすごく清々しい気持ちになれた(椎名)
――お次は椎名さん。お願いします。
椎名 じゃあ、まず椎名さんから椎名さんへ。よく頑張ったね。拡樹の前でだけは弱音を吐いていて、自分でも、自分ができると信じていない部分があったからね……でも、よくやりました! ふっきーさん(藤原)は、たぶんいろいろなところでも言われていると思うんですが「いてくれるとものすごく安心する」というひと言につきます。プライベートでも、稽古場でも、舞台上でも、全部受け止めて返してくれる存在です。次は、平井さん。オーディションで決まったんですが、じつは脚本・演出の三浦香さんから「若い俳優さんだけど挑戦してもいいかな?」という相談があったんです。だから「香さんが、沙悟浄だ!と思ったなら僕らは全力で迎えます」と答えたのをおぼえています。だから、今回の『外伝』で成長した姿を見せてもらって、もっと共演したいと思えたのがすごくうれしかった。また、どこかで絶対に会いましょう。
椎名 鈴木さんはね……。15年前は実力も経験も人気もないふたりだったよね。初顔合わせの本読みが、お互いとても下手くそで。埋まらない客席を見ながらもがむしゃらにがんばってシリーズ2作品をなんとか演(や)り切っていたけど、公演が止まっちゃって。そんな中でも拡樹は進化を続けて、そのうち若い子たちから「神」とか言われるようになって。でも、じつはすっごく不器用で、そんな子じゃないのにねって思ったりもして。そんな15年を経て辿り着けた『外伝』だから、終わるときにどんな気持ちになるのかなってふたりで話していたけど、いざ千秋楽を迎えたらすごく清々しい気持ちになれて、思わず笑いあってしまったよね。
鈴木 うん、不思議と泣かなかったね。
椎名 それこそBlu-rayが出て、見返したりしているうちに悲しくなってくるんじゃないかなって思っています。苦しかったり、楽しかったりと、いろいろな思いを感じさせてくれたのが鈴木拡樹でした。一緒にできて本当によかったなぁと思っています。ありがとう!
――では最後に、鈴木さんお願いします。
鈴木 まず鈴木さんから鈴木さんへ。役者の鈴木さんから見た鈴木さんは、あがき続けていたよな。作品ごとに新たな思いがあって、常に課題が見つかって、もっともっとやらなくちゃいけないな、と。ただ、課題が見つかることが続ける原動力になってもいたので、これからもいろいろ見つけていこうね。一方で個人の鈴木さんには、いったん「お疲れさま」と言いたいです。この先も人生は続きますが、この作品は間違いなく自分の骨組みになっているので、すごくいい経験をしたね。
続いてふっきーさんへ。みんなも言っていますが、本当に安心できる方なんです。お兄さんでもあり、お母さんでもあり……。包み込むような存在でいてくれたことに感謝しています。平井くんは圧倒的な演劇への熱量があって可能性に満ちていて、歴代の俳優が迷っていた沙悟浄の持つ大人の色気みたいなものを演じきってくれたと感じています。悩んだだろうけれど、演じることで完成していく成長を見せてもらって、その姿に刺激を受けていました。鯛造くんは15年間、一緒に演(や)ってきて、年も近くて、わかることも多くて、体力的なこととか心配していたけど、全然大丈夫だし、鯛造くんが動ける限りは俺も動くぞ、と思えています。ずっと引っ張ってもらっていました。ありがとう。
椎名 受け取ったよ! じゃあ、こんな機会だから最後にもうひとつ、拡樹にお願いしたい。やっぱり最後は初演から伴走してくれた烏哭三蔵役の唐橋充さんへのひと言を聞きたいな。
鈴木 唐橋さんは作品を進めていく原動力的存在でした。何も知らなかった僕らに挨拶や礼儀作法、舞台のイロハといった手本を見せてくれました。舞台袖で騒いじゃいけない理由とか、小道具を大事に扱う理由とか、怒るのではなく、でも厳しく教えてくれた方です。ただ、そこからだんだんと教えて教わる関係から一緒に演じることを楽しんでくれている感じも伝わって、そういう場所まで行けたことがうれしかったです。だから『外伝』大千秋楽に出演していただけて、最後の挨拶の瞬間に一緒にいられたことにとても感謝していますね。
- 鈴木拡樹
- すずきひろき 1985年6月4日生まれ。俳優。舞台『刀剣乱舞』シリーズの三日月宗近、『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』主演のシーモア(Wキャスト)、 ミュージカル『SPY×FAMILY』主演の ロイド・フォージャー(Wキャスト)と2.5次元舞台から帝国劇場ミュージカルと幅広く活躍。
- 椎名鯛造
- しいなたいぞう 1986年6月17日生まれ。俳優。舞台『刀剣乱舞』シリーズの不動行光、『HUNTER×HUNTER』THE STAGEのゼノほか多数。唐橋充さんとの「鯛の唐あげフェスティバル」など独自のアイディアあふれるイベントも多数企画。
- 平井雄基
- ひらいゆうき 1992年8月22日生まれ。俳優。『MEMORY BOYS〜想い出を売る店〜』でデビュー。2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』シリーズ、『IdentityV STAGE Ep4』納棺師イソップ・カールなどに出演。
- 藤原祐規
- ふじわらゆうき 1981年4月24日生まれ。俳優・声優・ナレーター。『最遊記歌劇伝』シリーズ」猪八戒、『銀河英雄伝説』シリーズのオーベルシュタイン、『チャージマン研』星くんなど幅広く出演。声優として『CHAOS;CHILD』伊藤真二、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』結城正勝役ほか、ゲーム作品など多数。
Blu-ray『最遊記歌劇伝-外伝-』
発売日 2024年5月29日(水)
価格:税込11,550円(税別10,500円)
販売場所:アニメイトほか、全国CD、DVD、アニメショップ、通販サイト等にて
発売元:『最遊記歌劇伝』製作委員会 2023
販売元:株式会社フロンティアワークス
仕様:Blu-ray2枚組
収録内容
DISC-1:本編映像/DISC-2(特典ディスク):メイキング
商品説明
2023年9月10月に東京・ステラボール、大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホ-ルにて公演された新作『最遊記歌劇伝―外伝―』をBlu-ray化!
公演本編に加え、特典ディスクにはメイキングなどの特典映像を収録した、Blu-ray2枚組!
CAST
金蟬童子:鈴木拡樹、悟空:椎名鯛造、捲簾大将:平井雄基 、天蓬元帥:藤原祐規、西海竜王 敖潤:佐奈宏紀、李塔天:山﨑雅志(劇団ホチキス)、観世音菩薩:髙﨑俊吾、二郎神:うじすけ、哪吒太子:北村諒 他
特典
<アニメイト特典>
ポストカード(峰倉かずや先生イラスト柄・Blu-rayジャケットイラスト使用)
- ©峰倉かずや・一迅社/『最遊記歌劇伝』製作委員会2023