『ゾンビランドサガ』の魅力がギュッと凝縮した2時間
――『ゾンビランドサガ』の映画化を聞いたときの印象は?
本渡 私たちキャスト陣が初めて映画化の話を聞いたのは、2021年10月17日に開催されたライブ「ゾンビランドサガLIVE~フランシュシュ 佐賀よ共にわいてくれ~」のステージ上でのことでした。何も聞かされていない状態で突然、大スクリーンで映画化決定PV「ゾンビなき戦い 佐賀復讐篇」が始まって……。実写の白竜さんと村井國夫さんが登場するヤクザ映画のような内容だったので「なんだこれは!? 実写映画化なのか!?」と大混乱しながら見守るしかありませんでしたが、第2期の続きを劇場版でやるんだ!という喜びが徐々にわいてきました。
――だた、情報解禁から上映まで4年も経ってしまいましたね。
本渡 もう4年も経っちゃいましたか……。でも、原作のないアニメオリジナルコンテンツだからこそ、お話の内容もあれこれ練りこむ必要がありますし、そのぶん時間もかかってしまうのは仕方ないのだと思います。歩みはゆっくりではありますが、確実に前に進んでいます。2018年の「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」でリリィ役の田中美海ちゃんと一緒にバルーンに乗せていただいたときに、はるか上空で「『ゾンビランドサガ』の第2期、第3期、劇場版をやりたい!!」と抱負を叫んだのですが、あのときの目標がふたつ叶いました。そして、こうして劇場版を素晴らしいクオリティで皆さんにお届けできたことが、とても誇らしいです。
――劇場版の物語に触れた感想は?
本渡 映画化のお話を聞いて真っ先に浮かんだのが「今度はどんなお話になるのだろう」という思いでした。第2期がああいう終わり方だったので、果たしてあの続きが描かれるのだろうか。幸太郎とさくらの関係に進展はあるのか。佐賀はどうなるのか――。いろいろな要素があるなかで「宇宙人との戦い」という、他のアイドルアニメには不可能な出来事に焦点を当てたあたりは、じつに『ゾンビランドサガ』らしいなと。しかも、ただフランシュシュが宇宙人と戦うのではなく、ゾンビかつアイドルだからこそできること、そして佐賀だからこそできることで宇宙人に対抗していて。『ゾンビランドサガ』ファンが見たかったものが、2時間という尺にギュッと詰め込まれていると感じました。
クールさとかわいさが同居した、本来のたえの魅力
――本作でついに自我を取り戻したたえに接して、どのような思いを抱きましたか?
本渡 たえちゃんがしゃべることになるとは知らなかったので驚きました。これまではみんなからフォローされることが多かったたえちゃんが、別人のようにクールでカッコよくなって、率先して宇宙人に対抗するリーダー的存在になって。そこにたえちゃん役の三石(琴乃)さんのお芝居が乗ったことで、荒唐無稽な物語に不思議な説得力と緊迫感、そして「なんとかせねば!」と思わせる使命感が加わって、空気がキュッと引き締まる感じがしました。収録は三石さんとご一緒できましたが、これまで「あうあう」というセリフしかなかった三石さんがキビキビした調子で話すので「いったい私は誰としゃべっているんだろう」と脳が混乱しそうになりました。きっとさくらも同じ気持ちだったのではないでしょうか。
臨場感あふれるライブと心に残る名シーン
――本作はライブシーンにも力が入っていましたが、特に印象に残ったところは?
本渡 冒頭のゆめぎんがでのライブ前、愛ちゃんがおとなしい男の子の手を取って笑いかけたり、サキちゃんがワンパク少年を抱え上げてくすぐっていたり。そうしたちょっとした動きにフランシュシュメンバーそれぞれのキャラクター性がにじみ出ていました。会場自体は小さいけれど、子供たちとの距離がとても近く感じられて楽しいステージでしたね。あの一幕から、フランシュシュが老若男女問わず佐賀の人たちに愛される存在になっているのが伝わってきました。
――終盤のSAGAアリーナでの大規模なライブはいかがでしたか?
本渡 TVシリーズのときもそうでしたが、『ゾンビランドサガ』は大会場でのライブシーンが本当に素晴らしいとあらためて感じました。観客のサイリウムの光が踊る上を、まるでドローンで撮影しているかのようなカメラワークで見せたり、自分が会場にいるかのような臨場感を味わわせてくれたりと、見せ方が本当に上手だなと。あとライブ開始のカウントダウンが始まったとき、メンバーの姿が映っている幕がパッと落ちたと思ったら、中から本人たちが出てくるところはカッコよすぎましたね! 今後、実際にフランシュシュのライブをやるときには、あの演出を私たち自身でやってみたいと思いました。
さまざまな試練を乗り越えて、さくらが大きく成長
――本作であらためてさくらに触れてみて、どんな魅力や変化を発見しましたか?
本渡 第1期第1話で、まわりがゾンビだらけで自分もゾンビで……という状況に置かれたさくらは、ひたすら逃げることしかできませんでした。それを思うと、劇場版で宇宙人を相手に逃げ回りつつも「フランシュシュは負けん!」と勇気を振り絞って立ち上がる姿を見て、あのさくらも大きくなったと思わずにはいられません。ゾンビになって身体の成長は止まっても、心はまだまだ成長できる。TVシリーズから劇場版までを通して、前に進み続けるさくらに勇気をもらった気がしました。![]()
- 本渡 楓
- ほんどかえで 3月6日生まれ。愛知県出身。アイムエンタープライズ所属。主な出演作は『夜桜さんちの大作戦』(夜桜六美)、『黒猫と魔女の教室』(スピカ・ヴァルゴ)など。

劇場版 ゾンビランドサガ ゆめぎんがパラダイス オフィシャルファンブック
フランシュシュ7名+巽幸太郎役・宮野真守に加え、監督陣、脚本、挿入歌の作詞家、音楽プロデューサーなど、作品制作の舞台裏も楽しめるキャスト&スタッフインタビューを収録。その他、スタッフコメント付きストーリープレイバック、プロデューサーによるTVシリーズから劇場版に至るまでの振り返り記事、これまでのステージ衣装で振り返るフランシュシュの軌跡など、企画記事も充実!
定価2,970円(本体2,700円+税10%)
A4変形判・128ぺージオールカラー
発行 一迅社
- ©劇場版ゾンビランドサガ製作委員会
























