ただ歩くだけで楽しい“坂の街”
長崎といえば、異国情緒あふれる観光地として人気の街。開国後はもとより、江戸時代の鎖国体制下でも出島を通じてオランダや中国の文化が流入し、和洋中の入り交じる独特の街並みが育まれた。中華街やグラバー園など、その名残は今も数多い。
そしてもうひとつの特徴が坂道。斜面にひしめく家々と、その軒先を縫うように走る路地の様子は、作中に登場していたのと同じ。どこか懐かしい雰囲気を味わいながら迷路のような道を進んでいくと、煉瓦塀と洋館に挟まれた異国のような風景や、市街を一望する絶景が現れたりする。
この街の路地は歩くほどに面白く、散策好きや写真好きにはたまらない魅力が詰まっている。魔法写真美術部の面々が楽しそうに写真を撮っていたのも納得。お気に入りの靴とカメラを携えて、あなたも坂の街・長崎を巡ってみてはいかがだろう?
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夜景も有名な長崎。
1.出雲(いずも)近隣公園
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今回の舞台巡りは、瞳美と唯翔(ゆいと)が出会った公園からスタート。高台にあるので見晴らしがよく、居心地のいい公園だ。こちらは最終話で瞳美が未来に戻る際の舞台でもあるだけに、取材時にも作品のファンとおぼしき人たちがたくさん訪れていた。
2.瞳美の立つ階段
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こちらはOPでタイトルが映っていた印象的なカット。舞台となった階段は椎の木町という地区にあるが、作中のアングルで撮影する場合は、出雲近隣公園近くの道路からになる。望遠レンズがあるなら持っていこう。
3.鍋冠山(なべかんむりやま)公園
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第5話で買い物帰りの瞳美と唯翔が寄り道したのは、鍋冠山公園の展望台。長崎の夜景といえば稲佐山(いなさやま)が有名だが、こちらの公園からの眺めも引けをとらぬ美しさで、多くの人が訪れるスポットだ。もちろん、昼や夕暮れの景色も、絶景のひと言!
4.グラバー園 第2ゲート付近
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第11話で、唯翔に向かって飛ばした紙飛行機を追って瞳美が走っていたのは、グラバー園の第2ゲート付近。ふたりの思いが通じた、涙を禁じ得ないシーンだった。そして唯翔の胸に飛び込んだのは、ここから祈念坂へ入ったところにある大浦展望公園だ。
5.祈念坂(きねんざか)
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たくさんの猫と映っているこの一枚は、日常風景を撮るべく近所の撮影に出た第8話から。作中同様、市内の路地ではたくさんの猫を目にすることができる。彼らの愛くるしい姿を見ると、坂道で疲れた足もなんだか軽くなってしまうから不思議だ。
信仰の歴史を伝える世界遺産にも注目
美しい佇まいを見せる大浦天主堂は、2018年に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界文化遺産に登録された構成資産のひとつだ。長崎という街の歴史を知る上で、ぜひ見学しておきたい場所である。ちなみに長崎市にある軍艦島も、明治日本の産業革命に関連して、世界文化遺産になっている。
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開国にともない在留外国人のために建てられた大浦天主堂。ゴシック様式の建築で、現存する教会では国内最古。
6.石橋停留所
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撮影会の帰り道に、将が自分の気持ちを瞳美に告げた第9話。その場所は、路面電車の石橋停留所だった。市内を走る路面電車は長崎の代表的な風景であり、観光の足としても便利。一日乗車券があるとお得に利用できるのでオススメ。
7.長崎水辺の森公園
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石橋停留所からふたつ先、大浦海岸通り停留所の前には、緑と水辺の景色が美しい公園が。ここは瞳美とあさぎが仲直りする第10話をはじめ、胡桃(くるみ)が迎えを待つ第7話にも登場。園内の橋は、帰国した琥珀が母と抱き合う第4話のシーンの舞台になっている。
8.中華街付近
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こちらの舞台は第6話から。唯翔の言葉で瞳美の世界に色が戻り、金色の魚が空を泳ぐ印象的なシーン。電灯が立っているのは新地中華街(しんちちゅうかがい)停留所のすぐ南にある橋で、中華街入口前の大きな橋から見ると同じアングルになる。
9.眼鏡橋(めがねばし)
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第5話でお母さんと一緒に出かけた琥珀が歩いていたのは、観光名所の眼鏡橋。近くには、第6話で個展を訪れていた唯翔と出会い、瞳美が逃げ出したシーンの舞台もある。ちなみにそのあと眼鏡橋停留所から電車に乗り、先ほどの金色の魚を見る……という流れ。
10.森の魔女カフェ
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最後は市街地から離れ、市内北西部にある西海町(にしうみまち)へ。こちらにある森の魔女カフェさんは、まほう屋のモデルになったお店だ。入口やテラス席は作中そのまま。大村湾を望む絶景を見ながら美味しい料理やコーヒーがいただける、ファンならずとも訪れたい名店だ。
名物百景|ちりんちりんあいす
ちゃんぽんを筆頭に名物の多い長崎だが、今回オススメしたいのはこちら。さっぱりした甘さと冷たさは、散策で火照った身体にうれしい味わいだ。お願いすれば、バラの花のようにアイスをかたどってくれるぞ。観光名所などに出ている屋台で購入できる。第9話に、このアイスが登場するシーンがあるので要チェック。
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最寄りの空港は大村市にある長崎空港だが、発着本数の多い福岡空港からでも高速道路で2時間程度とアクセスは良好。※紹介したロケ地には私有地なども含まれます。訪れる際は、住民の方の迷惑にならないようにマナーある行動をお願いします。