柘植役の古川さんの声は理知的な分、ツッコみやすい
――放送が始まって少し経ちましたが、序盤でお気に入りのシーンを教えてください。
小林 最近サウナに行くようになったので、第3話のサウナのシーンは親近感がありましたね。黒沢みたいに鍛えられて引き締まっている身体に憧れるので、ちょっとポチャポチャしているところが「かわいい」と言われると、たしかにショックかもしれないなぁって。今までだったら「褒められているんだから別にいいじゃん」って思っただろうけど、サウナに行くようになって考え方が変わりました。
©豊田悠/SQUARE ENIX・アニメ「チェリまほ」製作委員会
――男性から見ると、やっぱりガチガチに鍛えているほうが……。
小林 はい、カッコいいですよ。はたから見れば、赤ちゃん体型やムチムチしているのもかわいいなって思えるかもしれないですけど、いざ自分が言われる側になったら、ちょっと嫌だなぁってなっちゃう。アフレコ当時はサウナに行っていなかったのでそんな風に思わなかったのですが、考えが変わったみたいです。
――では、印象に残ったシーンは?
小林 第2話で童貞に対するアドバイスを堂々と語る柘植(将人)の「俺も童貞なんだが」は面白かったです。ドヤ顔で恋愛を語るくせに、じつは自分はそんなに経験がないという。そういう学生っぽいかわいらしさが柘植にはあるんです。しかも、それが古川(慎)さんのお声だと、より面白く響くんですよね! 古川さんの声って理知的な分、正論っぽくて説得力がある。おかげで安達としても、すごくツッコみやすかったです。
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――もし、安達のように人の心が読める能力があったとしたら、小林さんはどんなときに使いますか?
小林 アフレコで、ディレクションをうまく呑み込めないときは使いたいかもしれないです。もちろん、監督やディレクターの意図を読み取るのも声優側の技量ではあるし、自分の解釈でやってみて「どうですか?」とすり合わせていくのも面白くはあるんですけどね。ディレクションが抽象的だったときや、物理的に叫ぶシーンとかだと喉がもたないときもあるので、そうなる前にできる限り相手の求めているもの、作りたい作品の造形を知りたいんです。
――それって、あくまで仕事のためですよね。そうではなく、自分のために使いたいシチュエーションはないですか?
小林 自分のために能力を使うと、ロクな目にあわないと思うんですよね。たとえば、服屋さんに行って「お似合いですよ」と言われたときに本心を聞いてみて「本当は全然似合ってない」と思われていたら、もう2度とその服屋には行けないじゃないですか。ずっと通っていた美容院も、もし、雑談の中で本音が見えたら、もう行けなくなっちゃうかもしれない。人間不信になりたくないから、プライベートでは使いたくないですね。
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EDはあえて慣れてない感じで歌いました
――小林さんと鈴木さんのおふたりでエンディングテーマ『マジカルラブ』を歌っていますが、安達と黒沢として歌うと知ったときはどう思いましたか?
小林 キャラクターとして歌うことは今までにもありましたけど、回数は少ないので「あ、歌うんだ!」という驚きがありましたね。作詞・曲が栗原暁(Jazzin’park)さんと中村瑛彦さんなのですが、有名な曲をたくさん作っている方なんです。皆さんの反応がすごく楽しみですね。
――レコーディングにあたって、鈴木さんと何か打ち合わせはしましたか?
小林 していないですね。ただ、黒沢は歌ウマの設定なので、安達はもう少しかわいく、ビブラートとかのテクニックは入れずに歌い慣れていない感じでいきましょうという打ち合わせをディレクターさんとしました。セリフっぽいパートでいうと、黒沢はちゃんとリズムに乗ってキメて歌うのに対して、安達は歌うのではなくセリフみたいに言うとか、そういう遊び方をしています。
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安達は黒沢から本気の「好き」を浴び続けている
――さて、ここから物語は後半戦ですが、どの辺りに注目してほしいでしょうか?
小林 安達って、黒沢にだんだん攻略されている感があると思っているんです。安達が「彼女とかいたことない」って告白しても、黒沢は笑わずに包みこんでくれたり。しかも安達の場合は心が読めるから、それが黒沢の本心だとわかるので、余計にうれしいんですよ。「自分がいない場で言われている褒め言葉は本当の褒め言葉だ」と言うように、面と向かって褒められるとお世辞じゃないかと疑いがちですが、人づてに誰かが自分のことを褒めていたと聞くと信じやすいですよね。安達の場合は、黒沢から常に本気の「好き」を浴びせられているわけですから、それはうれしいと思います。
――そうやって、どんどん黒沢のことを好きになってしまうと。
小林 そうですね。そもそも第4話で、黒沢がお姉ちゃんと歩いていたのを元カノと誤解してショックを受けていたのが「好きのサインなんじゃない?」って思っちゃいました。あとで元カノじゃなく、お姉ちゃんだとわかってホッとするというのは、やっぱり自分の気持ちに気づくきっかけになるんじゃないかな。
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――「全部の初めてをこいつとしてもいいかもしれない」という安達のモノローグとか、もう好きでしかないですよね。
小林 そうですよね。安達が読み取る黒沢のモノローグって、黒沢が口にした出たセリフをちょっと膨らませただけで、常に本心なんです。それは信用するし、好きになっても仕方ない。常に誠実で、自分のことを想ってくれているというのは、安達にとってすごくうれしいことですし、彼がいなかったら自信を持つこともできなかったわけですから。自分を変えてくれるきっかけになった人は、好きになりやすいですよね。
――安達が黒沢に惹かれた理由は、そういった嘘のなさなんでしょうね。きちんとお互いが惹かれ合う過程に説得力があるので、今後の展開も楽しみです。
小林 奥手で、本当に少しずつじわじわと距離が縮まっていくふたりですけど、さらにドキドキする展開も入ってきますし、ここからお泊まりを経て急加速していくので(笑)。ぜひ見逃さずに、楽しみに見守っていただけたらうれしいです。
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- 小林千晃
- こばやしちあき 6月4日生まれ、神奈川県出身。大沢事務所所属。2017年に声優デビュー。主な出演作は『マッシュル -MASHLE-』(マッシュ・バーンデッド)、『葬送のフリーレン』(シュタルク)、『憂国のモリアーティ』(ルイス・ジェームズ・モリアーティ)など。
TVアニメ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』
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