TOPICS 2024.07.19 │ 12:00

『機動武闘伝Gガンダム』
30周年 ドモン・カッシュ役 関 智一インタビュー①

皆さん、お待ちかね! 『機動武闘伝Gガンダム(以下、Gガンダム)』が放送30周年を迎えました。シリーズの異色作と呼ばれたのも今や昔。時代を超えて愛されるスタンダードとなった今作の魅力を振り返っていきましょう。今回登場するのは、主人公ドモン・カッシュを演じた関 智一さん。主演デビュー作である『Gガンダム』への想いをたっぷりと全2回で披露します。それではインタビュー本文に……レディー・ゴー!!

取材・文/前田 久

今、思うとドモンは完全に当時の僕自身

――東方不敗マスター・アジアが登場する第12話以前のドモンは、ニヒルかと思えば子供っぽいところがあったり、なかなか揺れるキャラだった印象があります。
 僕は最初の主演だったので、そんなことまでは考えられず、とにかく夢中にやっていました。ただ、最初は結構ニヒルな感じで登場してくるので、その感じを一生懸命出さなきゃとは考えていましたね。当時はまだ子供の声だったんですよ。地声が結構高かったこともあり、ともすれば少年に聞こえてしまう。それを一生懸命低くしなきゃと思って、がんばってずっと喉ぼとけを下げて、必死に声を出していました。そこも含めて、今思うとドモンは完全に当時の僕自身ですよね。本当は子供で、まだ何も経験がないのに、多少「腕におぼえあり」みたいに自惚れている。それが叩きのめされて「修行するぞ!」と思い、仲間も徐々にできて、覚醒して、最後は一人前になって終わる。だからとくに役作りらしい役作りをしたおぼえはあまりないです。浦上さんや今川さんに上手に導かれていた感じですね。「お前は、そのままやっていればドモンだよ」ということだったのかもしれないです、今思うと。

必殺技の決めゼリフはバンクにしないで毎回録っていた

――天野さんの隣に座るように言われたこと以外に、今川さんとはどんなやりとりをしましたか?
 今川さんは本当に「楽しいおじさん」という感じでした。今川さんと勝平さんは『ジャイアントロボ THE ANIMATION –地球が静止する日』で一緒にやっていたし、他にも知り合いの声優さんがいっぱいいたから、現場でみんなと和気藹々としていました。そのせいか難しいことを言われた記憶はあまりないです。でも、ときどき師匠(マスター・アジア)の感じで「お前は何もまだわかっておらんなぁ!」とか、そういうことは言っていましたけど(笑)。

――そんな口調だったんですか?
 そうです。あのまんまな感じ。でも、今川さんも優しかったですよ。いくつかおぼえているエピソードがあって、第3話のドラゴンガンダムとの初対決のときに、今川さんが急に「思いついた!」と言って「俺のこの手が光って唸る! お前を倒せと輝き叫ぶ!」というセリフをメモ書きで渡してきたんですよ。「これから、毎回これを言うことにするから」って。その前はシャイニングフィンガーを出すとき、「必殺!」としか言っていなかったんです。

――アフレコ現場でそんな柔軟な対応が。
 ちなみにこれが決めゼリフとして決まってからも、必殺技のセリフは毎回録っていたんですよ。番組によっては画に合わせて音声もバンクにして、毎回は録らないものもあるんですけど。ということは毎回、同じセリフでも何かが違うんだなと考えていました。これは浦上さんに言われたのか、自分でそう思ったのかはおぼえていないんですけど、戦いごとに相手とのいろいろな関係があって最後に必殺技を出すわけだから、毎回同じになるわけがない。それなら当然、そのときどきで芝居を変えなきゃいけないですよね。じつはそこは結構こだわっていたんです。

――回によってはかなり違うパターンもあますよね。
 意外とその場で出たものを採用してくれた気がしますね。アフレコのときに絵がまだできていないと、セリフのタイミングを示すボールドというものが出るんです。後半の話数で一度、あるカットのボールドがセリフの長さを超えて、ずっと出っぱなしだったことがあったんです。そこは「俺は行く!」というひと言のセリフだったんですけど、その頃はだいぶ自分も収録に慣れてきていたので、面白いからボールドに合わせて言ってやろうと思って「俺はぁ~~行くっ!」みたいに読んでみたらOKが出て(笑)。そういう、ちょっとふざけてみても、良かったらちゃんと受け入れてくれるような面白さがありました。

――第42話ですね。あれはそんなことが。
 あと、もう少し真面目なものだと第44話で兄さんを撃つときに、台本に「俺にはできない」とあったのを「嫌だ、僕にはできない」と思わず演じてしまったら「子供返りをしている感じが良いから、そのままにしよう」と言ってくれたこともありましたね。endmark

関 智一
せきともかず 9月8日生まれ。東京都出身。アトミックモンキー所属。主な出演作に『ドラえもん』(スネ夫役)、『PSYCHO-PASS』(狡噛慎也役)、『鬼滅の刃』(不死川実弥役)、『呪術廻戦』(パンダ役)など。
作品情報


今川泰宏総監督書き下ろし
『機動武闘伝Gガンダム外伝 天地天愕』

公式サイトにて公開中!
https://g-gundam.net/sidestories/

【あらすじ】
第13回ガンダムファイト決勝大会開会式を前に新生シャッフル同盟となったドモン達は各国のガンダムファイター達から代替わりの意図を問われ、答えに窮する。答えが出ないまま、マスター・アジアとドモンの演武とともに決勝大会の開会が宣言された。そこへ謎の五体のガンダムが現れ、《ダーク・シャッフル》と名乗るのだった…。

 

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