TOPICS 2024.08.02 │ 12:00

師匠に聞け!『機動武闘伝Gガンダム』30周年
マスター・アジア役 秋元羊介インタビュー

皆さん、お待ちかね! 『機動武闘伝Gガンダム』が放送30周年を迎えました。シリーズの異色作と呼ばれたのも今や昔。時代を超えて愛され続けるスタンダードとなった今作の魅力を、あらためて掘り下げます。ご登場いただくのは、本作のナレーターであるストーカー役ならびに東方不敗マスター・アジア役として圧倒的な存在感を見せた秋元羊介さん。大ベテランの逸話をご堪能あれ。それではインタビュー本文に……レディー・ゴー!!

取材・文/前田 久

「情に絡むような芝居」を意識したドモンとのシーン

――豪快に演じるだけではなく、繊細な技術も駆使しての、あのお芝居だったんですね。ドモン役の関 智一さんの、当時の印象はいかがでしたか?
秋元 主演デビュー作ですからね。若いし、勢いがあって「おお、頑張ってるな」という感じでした。彼とは作品が終わったあともいろいろと付き合いが続いてね。彼がレギュラーで持っていたラジオ番組の、九段会館でやった公開録音に呼んでくれたこともありました(※1)。そのときは「マスターアジアの恨み節」(※2)を歌いながら舞台に入ってきてくれって関くんに言われたんですよ。で、実際、やりました。そのあとで「マスター・アジアが死ぬシーンを実演しましょう!」という話になって、舞台の上で彼とふたりで演じたのも懐かしいです。

――現実でも「師匠と弟子」ではないですけど、素敵な関係があって。
秋元 彼と「師匠と弟子」みたいな関係を、まったく違う作品で演じたりもしてね。あとはCMでも、ふたりでドモンとマスター・アジアのようなやりとりをたびたびしましたよ。

※1 2002年開催の「『智一・美樹のラジオビッグバン』公開録音at九段会館」のこと
※2 マスター・アジアのキャラクターソング。正式なタイトルは「男道、獣道/マスターアジアの恨み節」

――破天荒な作品ではあるんですけど、見返すと繊細な感情表現も印象に残ります。たとえば、第23話~第24話、ギアナ高地編のクライマックスでのマスター・アジアのセリフのニュアンスで、ドモンに対して弟子としての親愛の情が残っていることがうかがえる。先の展開は知らなかったとのことですけど、まるで終盤の展開を予見しているようだな、と。
秋元 やはりね、ドモンと激しくぶつかり合うシーンでは、ただ勢いだけじゃなく、信頼感というか親近感というか、どこか情に絡むような芝居を意識していましたよ。でも、わざとらしく芝居を作ろうとはしなかったですね。あくまで自然に、そう演じられた。それもまた役と私が合っていたところなんだと思いますね。役作りを難しく考えなくても、絵を見て感じたものをそのまま演じたらマスター・アジアになれた。それくらいのハマり役だったんでしょうね、私にとって。

50歳からの30年間は、マスター・アジアのおかげでやってこられた

――もしかしたら秋元さんのお芝居を受けて、先の描写が変わった可能性もあるかもしれませんね。ところで、先ほど関さんの印象をお聞きしましたけど、他にも印象深く覚えている共演者の方はいますか?
秋元 『Gガンダム』の現場には、重鎮から中堅の売れっ子まで毎回いろいろな人が来てくましたねぇ。あの現場で知り合えた人も多くて、それもうれしかった。それぞれみんな役者として脂がノッていてね。とにかく一緒に演っていて楽しかったですよ。

――当時、秋元さんが現場でいちばん年上ですか?
秋元 レギュラーの中ではいちばん上でした。ゲストは私より上の人がいっぱい来ていましたけどね。もう今はいない方も多いですね……。

――となると、若手の皆さんから演技の相談を受けたこともあったのでは?
秋元 『Gガンダム』の現場では、若い連中も自分なりのやり方を作っていたというか、すでに売れている人たちが多かったから、私から「こうしたほうがいいよ」みたいなことはあまり言わなかったですね。洋画の吹き替えでは、私、「おせっかい秋元」だったんですけど(笑)。同じ事務所の若い子が来ると隣に座らせたりしてね、「あそこはこうじゃない」とか「アクセントはこうだ」とか何かとアドバイスをするほうで。でも、『Gガンダム』の現場では、むしろ若手のやり方、したたかさに合わせるくらいのつもりでした。

――当時、関さんの芝居が秋元さんの熱い芝居とぶつかることで、回を追うごとに劇中のドモンさながらに引き上げられていくような印象を勝手に受けていまして。
秋元 彼は最初から頑張っていましたから。きっと、私というよりも、いい作品と出会ったからだと思いますよ。ドモンのような役を長く演じたことが、きっと、そのあとの仕事にもいい影響を与えたんじゃないかと思います。

――秋元さんにとっての『Gガンダム』はどうでしょう?
秋元 もちろん、特別な作品ですね。『Gガンダム』があったから他の仕事もついてきたような感じがするし。20歳ぐらいでこの世界で仕事を始めて、今年で80歳だから、60年間役者をやってきた。それだけのあいだ現役でいられたのはありがたいことですが、50歳からの30年は、ほとんどマスター・アジアのおかげでやってこられたんじゃないかなと思っています。75歳になったときにね、ファンの皆さんが誕生日会をやってくれたんですよ。マスター・アジアの絵が入ったケーキを作ってくれてね。80歳になったときもまた集まって、お祝いをしてくれたんです。

――素敵なお話です。
秋元 そうした集まりだとか、イベントもだけど、まだまだ何らかのかたちで演じる機会もありそうなんです。ファンの皆さんもそうだろうけど、私も今後の展開を楽しみにしています。endmark

秋元羊介
あきもとようすけ 1944年2月5日生まれ。東京都出身。オフィスPAC所属。主な出演作に『ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日』(衝撃のアルベルト役)、『機動戦士ガンダム0080』(ハーディ・シュタイナー役)の他、マイケル・アイアンサイドやグレゴリー・イッツェンの吹き替えなど、洋画への出演も多数。
作品情報


今川泰宏総監督書き下ろし
『機動武闘伝Gガンダム外伝 天地天愕』

公式サイトにて公開中!
https://g-gundam.net/sidestories/

【あらすじ】
第13回ガンダムファイト決勝大会開会式を前に新生シャッフル同盟となったドモン達は各国のガンダムファイター達から代替わりの意図を問われ、答えに窮する。答えが出ないまま、マスター・アジアとドモンの演武とともに決勝大会の開会が宣言された。そこへ謎の五体のガンダムが現れ、《ダーク・シャッフル》と名乗るのだった…。

 

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