プリキュア
キュアエール/野乃はな
川村 ポイントはやはり前髪ですね。学生時代に前髪を「自分で切ったの?」というくらい短く切ってきた子のパッツン具合を思い出しつつ、切るのを失敗した前髪ってどんなのだろう?というところからデザインを考えました。あとはイヤリングだったり、いろいろなところにモチーフである「花」を散らしています。
キュアアンジュ/薬師寺さあや
川村 「天使」や「ナース」というイメージをいただいていたので、ナースキャップのモチーフを頭に配置しました。当初、アンジュは垂れ目、エトワールを吊り目で考えていたんですが、監督から「むしろ逆」という提案があって(笑)。キリッとしたところがありつつ、優しげな雰囲気を出すのは難しかったですね。
キュアエトワール/輝木ほまれ
川村 クール系なんだけど、過去のフィギュアスケートでの失敗を引きずっていて、少し内にこもっている……という設定を、どうデザインに落とし込むかすごく悩みました。クールすぎるのもちょっと違うかなと思って、当初はツインテールにしていたんですが、紆余曲折の末、最後の段階で今の髪型になりました。
キュアマシェリ/愛崎えみる
川村 キュアマシェリとキュアアムールは、ふたりを並べたところを想定しながらデザインを進めています。凸凹なんだけど、双子っぽいコーディネートで。垂れている髪も最初はもっとシンプルだったのですが、佐藤監督から「もうひとひねり欲しい」と言われて、結果、今の感じになっていますね(笑)。
キュアアムール/ルールー・アムール
川村 ルールーは、先にアンドロイドのデザインのほうを作っています。最初はご主人のために一生懸命尽くすけれども、どこか抜けていて失敗するメイドキャラ、みたいな設定だったんです(笑)。本編では随分違う感じになりましたが、そこからの連想で、当時少し流行っていた猫耳っぽい髪型を取り入れてます。
クライアス社
①チャラリート ②パップル ③ダイガン
川村 ①「チャラ系の、あまりやる気のないようなキャラクター」ということだったので、スーツを着せずに、自由な格好でいさせようと思いました。チャラリートとルールーは幹部クラスより下にいる「アルバイト」というイメージだったんです。脚本の坪田文さんは、ここまでチャラい感じでデザインが出てくるとは思わなかったらしいですが(笑)。
川村 ②「バブリーな感じで」というオーダーでしたので、懐かしいなあ、露出の多い服で、髪の毛を逆立たせていたよな……と記憶を掘り起こして描きました。私自身は「アニメーターには関係ないや」って、バブルとは縁のない生活をおくっていましたけど(笑)。扇子まで持って、ちょっと時代に取り残されているような雰囲気もありつつですね。
川村 ③部下にやらせて自分では働かない系……だから普段もあまり動かないのかなあ、と思ってこんな体型に(笑)。ただ、嫌味な感じにはしたくなくて、ちょっとかわいらしさを残したいなと思っていました。だからモジャモジャにしつつ、髭や髪を三つ編みにしているんですよ。おしゃれの方向性がわかんないな、という気もしますが(笑)。
④ジェロス ⑤タクミ、ジンジン ⑥ビシン
川村 ④ジェロスとパップルは年代の違いというか、年頃が過ぎてきたパップルと若手のジェロスとで、女同士のバチバチもあるんじゃないかな?と。そのイメージを落とし込むかたちでデザインしました。最初はもう少し大人びた感じだったんですけど「若さでブイブイいわせる雰囲気で」ということだったので、ちょっと若めに作り直しました。
川村 ⑤ジェロスの左右で双子のように控えていて、執事みたいなんですけど「ビジュアルはともかく、中身は賢くないです」と言われました(笑)。メガネはアンダーリムとオーバーリムに、髪も外ハネと内ハネに分けて、対称になるように描いています。最初のうちはどちらがジンジンでどちらタクミか、自分でもわからなくなりました(笑)。
川村 ⑥暴れると手がつけられないので、拘束されて出てくるんですよね。だから包帯ぐるぐる巻きで、ヤンデレ系なのかなと。この子はいまだに性別がはっきりしないんですよ。私は「男の子かな?」と思って描いていたんですけど。じつは坪田さんとしてはガッチリ系のイメージだったそうなのですが、私の中での「病んでいる」イメージはこっちだったんです。
⑦リストル ⑧トラウム ⑨ジョージ・クライ
川村 ⑦部下には淡々と接しつつ上司の命令をきちんと守る、クールで神経質なキャラクターだったので、おデコを出しつつ渋めの表情で、いつも眉間に力が入っているイメージで描きました。ハリーがハムスターだったので、この人はリストルだからリスのモチーフをと思って、後ろ髪をチョロっと結んでいます。正面からはあまり見えないんですが。
川村 ⑧幼い娘を亡くして、こじれていった人ですね。無体な実験をしたりもするけど、根っこの部分では優しさがある、とぼけたおじさんという感じです。ミーティングでは「サーカスの団長っぽいビジュアル」というオーダーだった気がします。機械をいじっている人ということで、メカっぽいモチーフがほしかったので、帽子に歯車をつけています。
川村 ⑨シリーズを通してもいちばん深い闇を抱えている感じで、でも、こじらせた結果そうなってしまった人なので、あまり悪の雰囲気にはしたくなかったんですよね。なので、ちょっと疲れてしまった感じの悲哀が出るといいなと思って、額のあたりに深いシワが。「闇を抱えたイケオジ、楽しいなー」と思いながら描いていました(笑)。