4人がそろえば「三蔵一行」になる
――2000年放送のTVアニメ『幻想魔伝 最遊記』から22年。2017年のTVアニメ『最遊記RELOAD BLAST(以下、BLAST)』からは約4年半が経っています。現在の三蔵一行キャストが作り上げてきた『最遊記』の最新シリーズ『最遊記RELOAD -ZEROIN-(以下、ZEROIN)』の制作が決まったときの気持ちと、三蔵一行であらためてお芝居をしたことへの感想を聞かせてください。
関 2004年の『最遊記RELOAD GUNLOCK(以下、GUNLOCK)』ではアニメオリジナル展開だったヘイゼル編が、あらためて原作通りに作られるというのを聞いたときはとてもうれしかったです。原作最後のヘイゼルや烏哭(うこく)三蔵法師との対決が何をおいてもすごい描写だったので、これはアニメでもできたらいいなと前々から思っていました。 皆さんとはちょこちょこいろいろな仕事で会っていたので、あらためてっていう感じは全然なく、4人そろうとすぐに「三蔵一行」になれました。楽な気持ちで物語に集中して演じることができたと思っています。
保志 『BLAST』から4年半とは言っても、これまでより間隔が空いた感じもなく、うれしかったおぼえがあります。三蔵一行として、だいたい毎年何かしらの形で『最遊記』をやらせてもらっているので、いつも通りな感じもありつつ、新しいTVシリーズをやれるっていうことは、特別な喜びがありましたね。
平田 『BLAST』のときは、久しぶりの最遊記だなっていう感覚はあったけど、今回はそういった緊張はせずに臨めたし、峰倉かずや先生の素敵な作品をアニメにできるっていうのは今回に限らずいつもうれしいので、それを楽しみにやらせていただきました。前回のヘイゼル編がアニメオリジナル展開だったので、俺らもそうだけど、ファンの皆さんも「先生のストーリーで見たいなぁ」という気持ちがすごく強かったと思います。だから、その期待をしっかり背負わなきゃいけないという思いはありましたね。
石田 また新しくアニメーションを作っていただけるという話をうかがったときはうれしかったんですけれども、ストーリーを前に戻すというのは正直意外でした。とはいえ、このシリーズがわりとのんびりしたペースで西に向かっているのは、ご覧になってくださっているファンの皆さまも承知のことだと思います。 原作通りのお話でTVシリーズをやるというのは、それはそれで意義のあるものだし、ヘイゼルが出てくるエピソードについては2パターン楽しめるので、ある意味『GUNLOCK』を視聴した人にとってもおいしい出来事なのかなと思いました。
アフレコで保志くんと髙桑さんの漫才を見てなごんでいる(笑)
――今回は制作陣が一新されましたが、髙田(美里)監督と本作の制作に向けてあらためてお話したことはありましたか?
関 ありません!
保志 あれま!(笑)
平田 (笑)
保志 ありませんよね?
平田 ないない。
保志 監督とっていうのはあんまりないですね。
石田 僕らにまかせていただけました。
――そうすると音響監督の髙桑(一)さんと?
保志 そうですね。
――新たなシリーズについて、髙桑さんと具体的にどのようなお話をしましたか?
平田 でも、そういうのもあまりないですよね。
関 まかされているもんね、俺たち。
平田 あらためて「さあ、『ZEROIN』行きましょう!」っていうことはないです。「おはようございまーす」っていつも通り始まるっていうごく普通の感じ。20何年やっていると自然とそうなるんじゃないかなっていう気がしますね。
保志 最初に集まって、ちょっとあいさつしてもらって。あとは先ほど石田さんもおっしゃっていましたけど、「皆さん、ずっとやっているのでおまかせします」みたいな感じでした。
関 僕は毎回、髙桑さんと保志くんの漫才みたいなやりとりを聞いて、なごんでいます。
保志 それはずっと続いてきたというか、エスカレートしてきたっていうか。
関 そうですね、楽しいよね。悟空のモノローグに、髙桑さんから「保志くん、そのセリフ、幼すぎるかな」と修正指示が入って、そうしたら保志くんが「あ、すみません! ついやる気が前に出すぎちゃって!」って答えていてさ。
保志 ああ、そうですね。
関 で、髙桑さんはクールに「ちょっと意味わかんないんだけど」って返していて。
保志・平田・石田 (笑)
関 それが作品のいいムード作りになっているんだよね。
保志 そうなんです。じつはアフレコのムードをよくするためにわざとやっているんですけど。
関 誰が? 誰が? あなた?
保志 はい。
石田 いやいや。
関 あ、そうなの? 知らなかった。
保志 みんなの緊張感をほぐすために。
平田 嘘ですよー嘘ですからね。
関・保志・石田 (笑)
保志 でも、実際の話、そんな現場は他にはないんですよ。髙桑さんの現場じゃないと、この空気感は出ないので。『最遊記』はすごく貴重な現場なんです。本番の収録なのに遊んだりもしちゃうっていう……遊んじゃダメなんだけどね? 本当は。
関 わかってるんじゃん!(笑)
平田・保志・石田 (笑)
- 関俊彦
- せきとしひこ 6月11日生まれ。栃木県出身。81プロデュース所属。1983年に声優デビュー。その後はアニメ、吹き替え、特撮など幅広く出演。1990年より音楽活動開始。主な出演作品は『NARUTO-ナルト-』うみのイルカ役、『忍たま乱太郎』土井半助役、『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨役、『仮面ライダー電王』モモタロス役など。
- 保志総一朗
- ほしそういちろう 5月30日生まれ。福島県出身。アーツビジョン所属。1993年に声優デビュー。主な出演作は『機動戦士ガンダムSEED』キラ・ヤマト役、『戦国BASARA』真田幸村役、『アイドリッシュセブン』百役など。
- 平田広明
- ひらたひろあき 8月7日生まれ。東京都出身。ひらたプロダクションジャパン所属。1986年、劇団昴公演『夏の夜の夢』で初舞台、舞台俳優としてキャリアを積みつつ、その後声優へ。ジョニー・デップやマット・デイモンなど海外俳優を持ち役に洋画作品の吹き替えを担当。主な出演作は『ONE PIECE』サンジ役、『パイレーツ・オブ・カリビアン』ジャック・スパロウ役など。
- 石田 彰
- いしだあきら 11月2日生まれ。愛知県出身。ピアレスガーベラ所属。主な出演作に 『新世紀エヴァンゲリオン』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』渚カヲル役、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』猗窩座役、『銀魂』シリーズ 桂小太郎役、『昭和元禄落語心中』八代目 有楽亭八雲 / 菊比古役など。