ヘイゼルとガトは軍隊、では三蔵一行は……?
――今回のシリーズではヘイゼル、ガト、烏哭(うこく)三蔵法師がキーマンですが、第4話までの彼らの印象について聞かせてください。
関 僕たちは西に向かっている三蔵一行だけど、ヘイゼルとガトは逆に西から来た男たちという設定で、峰倉(かずや)先生の考えることはとてもしゃれているなと思いました。こっちは西に向かっているのに、その西から来るのか!って。それがいちばん「やるな!」って思わせてくれたところです。それからヘイゼルとガトのコンビって三蔵一行とは似て非なるところがあって、規律がしっかりした軍隊みたいなイメージなんですよね。それに対する三蔵一行って、ふだんは部室でダラダラしているけど試合になるとまじめにやるタイプの部活動みたい。そういう違いを感じます。その2組の対比の面白さが際立っているシリーズだと思います。それから烏哭は……本当に怖い。彼の過去もわかってきますけど、それを見てもやっぱり不気味で怖い。この烏哭の不気味さこそが『最遊記RELOAD -ZEROIN-(以下、ZEROIN)』のいちばんのキモなんじゃないですかね。
保志 ヘイゼル役の遠近(孝一)くんは関西弁ができるから、そこはばっちりのキャスティングだし、遠近くんの声ですごくスマートな感じが出ていますよね。ガトは作中では口数がとても少ないけど、体格も大きいからか、小山(力也)さんの声から存在感を放つキャラだと思う。烏哭役の(大塚)芳忠さんは、もう烏哭そのもの。周りを圧倒させる感じがすごいんです。だから、この3人のキャストって、三蔵一行とはまた全然違うタイプのバラエティに富んだ人たちですよね。「『ZEROIN』を盛り上げるのは、この人たちだ」というくらい強烈なキャラクターだと思いました。
――第4話までで印象的だったエピソードを教えてください。
石田 ヘイゼル個人と三蔵一行との間でバチバチやっていたところに、まだ暴走はしていない妖怪の子供が出てくる第3話。その妖怪の命を取って、病気で亡くなってしまった赤ん坊のために使う場合はどうなの?という命題が突き付けられるんですけど、それに対して三蔵が、当事者である子供を追い込んで本心を吐かせるという、お坊さんにあるまじき解決方法を取るんです。そこら辺が三蔵っぽいやり方だと思ったし、主義主張が正反対なのでお互いの理解は得られないであろうヘイゼルが折れる展開がすごく印象に残っています。
平田 俺もそこは強烈に印象に残っている。子供に向かって「もっとデケェ声で言え!」って、三蔵はどこまでわかってあれを言ったのか。「やっぱり死にたくない!」って言わなかったら、あの場であの子供妖怪の命は召されてしまうわけだよね?
石田 そうですね。あの流れでは。
平田 そういう流れになる可能性って、三蔵の中にどれぐらいなかったのかなって考えながら見ていたの。
関 もう100パーセント「死にたくないと言う」確信があったんでしょうね。
平田 だとしたら三蔵ってすごい。そういうところで見る側が考えさせられちゃうのがやっぱり『最遊記』なんだなぁと思いましたね。そもそも俺らとしては困るわけですよ、ヘイゼルみたいなのが出てくると。俺らが行く先々でうまいもんを食って麻雀しながら、「出たな三蔵一行、うりゃあ!」って飛びかかってくるヤツを倒す話じゃないですか、『最遊記』は。いわば、妖怪たちは大事な商売道具なわけ。
石田 あはは。
平田 それを勝手な使い方されちゃって、行く先々に妖怪がいなくなったら、俺らの話はアニメにできなくなってしまう。そういう意味でヘイゼルは大変な商売敵になるので、ここのところをきちっと解決しとかなきゃいかんなぁと思いつつ見ていたわけ。あの子供の妖怪が「やっぱり死にたくない!」って言ったときには「よくぞ言った!」って思った。
今回のタイトルについている「ZEROIN」の意味とは?
――では、最後に毎週の放送を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いします。
関 私たちの西への旅はまだまだ続きますので、ぜひ皆さん、ついてきてください! 一緒に旅しましょう。
保志 放送期間は毎週1話ずつ気合いを入れて見てもらって、濃い『ZEROIN』の時間を過ごしてほしいと思っています。よろしくお願いします。
平田 もう20何年経つのね。でも、この13話を見終わっても終わりじゃない、まだまだ続くのよ。だから、これをアニメ化していちばんプレッシャーがかかっている峰倉先生にあたたかいお手紙をいっぱい書いてあげてください。よろしくお願いします。
石田 今回のタイトルについてですが、代々TVシリーズには銃器にちなんだ単語が使われています。今回の「ZEROIN(ゼロイン)」は、スコープでもアイアンサイト(※)でも、調整可能なサイトを使うときに一旦ターゲットに照準を合わせて、ちゃんと弾が当たるように調整をする作業のことです。「ZEROIN」をしたあとにそのサイトシステムをいじるのは、合わせた照準が狂ってしまうので、してはいけない行為なんですね。なので、皆さんも一旦見始めたら最後まで見る。よそ見をしない、というお約束が含まれているタイトルだと思っています。
保志 なるほど!
関 勉強になった。
石田 ということで、皆さん、一蓮托生で最後までちゃんと見届けていただきたいと思います。よろしくお願いします。
- ※ 主に銃火器に標準装備されている照準器。銃口付近にある照星という突起と、銃身の後方にある照門という凹型の溝を合わせるようにターゲットを見ることで、照準を合わせる。
- 関俊彦
- せきとしひこ 6月11日生まれ。栃木県出身。81プロデュース所属。1983年に声優デビュー。その後はアニメ、吹き替え、特撮など幅広く出演。1990年より音楽活動開始。主な出演作品は『NARUTO-ナルト-』うみのイルカ役、『忍たま乱太郎』土井半助役、『鬼滅の刃』鬼舞辻無惨役、『仮面ライダー電王』モモタロス役など。
- 保志総一朗
- ほしそういちろう 5月30日生まれ。福島県出身。アーツビジョン所属。1993年に声優デビュー。主な出演作は『機動戦士ガンダムSEED』キラ・ヤマト役、『戦国BASARA』真田幸村役、『アイドリッシュセブン』百役など。
- 平田広明
- ひらたひろあき 8月7日生まれ。東京都出身。ひらたプロダクションジャパン所属。1986年、劇団昴公演『夏の夜の夢』で初舞台、舞台俳優としてキャリアを積みつつ、その後声優へ。ジョニー・デップやマット・デイモンなど海外俳優を持ち役に洋画作品の吹き替えを担当。主な出演作は『ONE PIECE』サンジ役、『パイレーツ・オブ・カリビアン』ジャック・スパロウ役など。
- 石田 彰
- いしだあきら 11月2日生まれ。愛知県出身。ピアレスガーベラ所属。主な出演作に 『新世紀エヴァンゲリオン』『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』渚カヲル役、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』猗窩座役、『銀魂』シリーズ 桂小太郎役、『昭和元禄落語心中』八代目 有楽亭八雲 / 菊比古役など。