「大変な現場に来てしまった」と実感したシーン
――おふたりのやりとりからも、現場の空気のよさが伝わってきますね(笑)。
落合 基本的に収録中は、笑いをこらえるので精一杯の現場でしたね。一度、どうしても笑いが堪えられなくて、別録りにしていただいたシーンもあったくらいです。
――『バス江』の現場ならではの苦労があるのでしょうか?
落合 「ちんちん」のアクセントで揉めたところかなあ。あれは他の作品とは違うなと思いました(笑)。ちんちん(↑)なのか、ちんちん(↓)なのか、すっごい真剣な表情で議論していて。「舞台は北海道だから、やっぱちんちん(↑)がいいんじゃないか?」「でも、森田はエセ関西弁だから、ちんちん(↓)が正解では?」って、監督を含めて3人くらいで「ちんちん、ちんちん」と繰り返しながら真面目に検討していて。あれを見たときは「大変な現場に来てしまったんだな」とあらためて実感しましたよ。
芦名 めちゃくちゃ真面目なやりとりだったよね、アレ。
落合 そう、すごく真面目なんですよ。でも、他の作品では絶対ありえないディスカッションなんだろうな、と思いながら見ていました。
――フレーズのインパクトが強い作品ですが、お気に入りのものはありますか?
落合 「三顧の礼!」ですかね。
――やっぱり!
芦名 ……というリアクションがあるということは、他のキャストもインタビューで言っているな(笑)。みんなで流行らせようとしているのね……。
落合 現場では大流行ですからね。世間でも流行らせたい(笑)。テストでも「三顧の礼!」が言える箇所がないかなって、チャンスを探していましたから。アフタートークでも、ガヤで多用していました。
ぜひ、大事な人と一緒に見てほしい(?)
――現場のノリのよさということでは、各話のエンディングがアフレコ現場でそのまま録ったカラオケだというのも、注目ポイントですよね。
落合 楽しかったですね〜。カラオケ用のダイナミックマイクで、みんながいるところで歌うのは、ちょっと恥ずかしさもある。でも、それによって本当にスナック感が出るというか。
――監督に聞きたいのですが、どうしてこういうエンディングの方式になったんですか?
芦名 スナックって歌ってなんぼだと思うんですよ。でも、最初は声優事務所からNGを出されるかなと思っていたんですよね。普通の歌唱と違って、現場でカラオケのように歌うだなんて……って、ところが事務所からの返答はどこもOK(笑)。「じゃあ、やりますか!」と。収録のとき、「テストで1回歌っていいけど、本番はトチってもそのまま使う」と宣言して、実際にそうしました。カラオケってそういうものじゃないですか。そのおかげでただカラオケを歌っているだけじゃない、ちゃんとキャラクターの歌になりましたね。
――作品の内も外も、そのままの空気感なんですね。
落合 おかげでキャストとしても本当に面白い作品になった手応えがあります。個人的には自分の大切な人、家族、とくにお子さんと一緒に見てもらいたい作品だなと思っています!
芦名 ……本気か?(笑)
落合 実際は、家で子供が起きている時間にVチェック(リハーサルVTRの確認)をしていたら「お父さん、これ、どういう意味?」といろいろ聞かれて大変だったので、次第に子供が寝てからチェックするようになりました(笑)。でも、視聴者の皆さんはぜひ、ご家族でご覧ください!
- 落合福嗣
- おちあいふくし 8月20日生まれ。愛知県出身。青二プロダクション所属。主な出演作に『グラゼニ』(凡田夏之介役)、『火ノ丸相撲』(小関信也役)、『HUGっと!プリキュア』(チャラリート役)、『空の青さを知る人よ』(中村正道役)など。
- 芦名みのる
- あしなみのる アニメーション監督、脚本家 兼 獣医師。主な監督作に『異世界かるてっと』『怪獣娘-ウルトラ怪獣擬人化計画-』『夜は猫といっしょ』など。