TOPICS 2023.09.22 │ 12:00

TVアニメ『SYNDUALITY Noir』
大塚剛央に聞いたカナタとの向き合い方 ①

荒廃した近未来を舞台に、たくましく生きる主人公たちの姿を描いたアニメ『SYNDUALITY Noir』。アニメを皮切りに、これから幅広い展開が期待されるメディアミックス作品だ。主人公・カナタを演じる大塚剛央のインタビュー前編では、カナタの人物像や演じるうえでの苦労、各キャラとの関係性について聞いた。

取材・文/岡本大介 撮影/松本祐亮

「明るく元気に」がモットー

――最初に世界観やストーリーを見た印象はどうでしたか?
大塚 荒廃した世界ではあるんですけど、キャラクターたちのセリフには後ろ向きな雰囲気がなくて、そこが面白いと感じました。登場するメカもかなり渋めな印象ですし、「これは本当に制作陣のやりたいことを詰め込んだ作品に違いない」と。個人的にSFやファンタジーはすごく好きなジャンルなので、そこにAIという要素が加わったことで一体どんな展開になるのか、世界観やビジュアルを見た段階で想像が膨らんでワクワクしました。

――大塚さんが演じるカナタは、素直でまっすぐな性格の、まさに王道の主人公キャラですね。
大塚 そうですね。僕はこれまでわりと癖のあるキャラクターを演じることが多かったので、カナタのような裏表のない「THE・主人公」的な役柄は新鮮で、挑戦でもありました。序盤のアフレコ時のディレクションのほとんどは「もっと明るく元気に!」でした。

――たしかに大塚さんが演じるキャラクターでここまで明るいのは珍しいですね。
大塚 カナタって、トキオをはじめとする周りの人たちのレベルについていけなくて、ちょっと自分を卑下するときもあるのですが、それでも希望は決して捨てないので、本当の意味で落ちてはいかないんですよね。カナタを演じるときは、自分の中を一度空っぽにして臨んでいるような感覚でいます。

――演じるうえでもっとも意識していたことは何ですか?
大塚 ディレクションで言われた「暗くならずに」「明るく元気に」というのは常にベースにありました。カナタに限らず、この世界で生きている人たちはみんなたくましくて、エネルギーに満ちているんですよね。それが作品全体を象徴するポジティブなパワーにもなっていると思うので、カナタもそこはしっかりと出していこうと意識しました。

――さらにカナタは、ストーリーが進むにつれてどんどんと成長していきます。演じるうえで、彼の成長についてはどの程度意識しましたか?
大塚 カナタがどこでどんな風に成長していくのかというのは、あらかじめ教えてもらっていたわけではないんです。なので、とにかく1話1話を丁寧に積み重ねることで、自然と成長できていたらいいなと思って演じていました。

――カナタの育ての親がメイガスだったなど、そういう裏設定もストーリーを通じて知った感じですか?
大塚 そうです。ただ、「人間にもメイガスにも分け隔てなく接する」という本質的な部分は最初から作っていたので、自分としては矛盾なく演じることができました。ストーリーや設定が追加されたことで以前の芝居と辻褄が合わなくなる、ということはなかったので、安心して全力で挑めたと思います。

「色気」に弱いカナタは、ちゃんと男の子!?

――ノワールやシエル、エリーなど、多くのヒロインたちとの絡みも見どころです。それぞれの掛け合いはいかがでしたか?
大塚 ノワールは淡々としていて感情がないように見えますけど、じつはそうではないと思っていて。感情表現の仕方がわからないだけで、自我や感情はあるんだなと感じる瞬間がたくさんあったので、掛け合いをしていても面白かったです。

――終盤では「自分は何者なのか?」を自問するノワールと、その深刻さに気づかないカナタという関係で、ふたりの心が少しずつすれ違っていきました。
大塚 いつも前を向いているカナタだからこその鈍感さですね。ノワールとのシーンは仕方ないところもあると思いますが、あらためて放送を見返すといろいろな場面で「カナタ、鈍感すぎだろ!」って思いました(笑)。人間とメイガスっぽくないというか、不思議な関係性ですよね。

――「鈍感」という意味で言うと、エリーの恋心にもまったく気づいていないですよね。
大塚 そうですね。幼なじみとしての好意は抱いているんですけど、やっぱり今のところそれ以上でもそれ以下でもない感じですよね。エリーとの会話もいつも噛み合っていなくて、これも演じていて楽しかったです。

――一方で、シエルやクラウディアなど、年上のお姉さんキャラにはドキッとさせられていますね。
大塚 カナタって性格は素朴で純真ですけど、わかりやすい「色気」のようなものにはしっかりと反応しちゃう。エリーやノワールの水着姿に見惚れたりもしていたし、ちゃんと「男の子」なんですよね。

――第10話、第11話ではトキオとの関係もクローズアップされました。コメディに振り切った女性陣との掛け合いとは異なり、こちらは熱い展開でした。
大塚 尊敬するトキオに追いつきたいカナタと、その成長を素直に喜べないトキオの絶妙な関係性がよかったです。裏表のないカナタと違い、トキオはなかなかのひねくれ者なので、もどかしさもひとしおでしたね。個人的には女性陣とのすれ違いよりもヤキモキしたかもしれません(笑)。

――トキオを演じる小林裕介さんも先輩ですし、キャスト同士の関係性ともリンクしていますよね。
大塚 そうかもしれません。裕介さんは僕がどんな風にぶつかっていっても必ず受け止めてくれますし、完全に身をまかせられるという安心感があるんです。裕介さんとの掛け合いはいつも心地よかったですね。

――カナタというキャラクターを演じてみて、あらためてどんなことを感じましたか?
大塚 冒頭にお話した通り、僕にとっては新鮮なキャラクターで、挑戦でもありました。最初からバシッとカナタをつかんでいたわけではなくて、1話1話を積み重ねることでだんだんと自分になじんでいった感覚があって、あらためて「お芝居って面白いな」と感じることができました。

――では、後編では印象的なシーンや作品全体のお話を聞いていきます。
大塚 お願いします!endmark

大塚剛央
おおつかたけお 1992年10月19日生まれ、東京都出身。アイムエンタープライズ所属。2016年に声優デビュー。主な出演作は『推しの子』(アクア)、『薬屋のひとりごと』(壬氏)、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(ラウダ・ニール役)など。
作品概要

TVアニメ『#SYNDUALITY Noir』
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