TOPICS 2022.03.15 │ 12:00

ホロライブEnglish
一伊那尓栖(Ninomae Ina'nis)INTERVIEW

「ホロライブEnglish」メンバーインタビューの第3弾は、「holoMyth」のひとりとして2020年9月にデビューした一伊那尓栖(にのまえいなにす)。「お絵かき配信」などで大人気の神絵師VTuberに、クリエイター&配信者としてのこだわりや、憧れのホロライブの一員として活動を続けることへの思いなどを語ってもらった。

取材・文/丸本大輔 監修/カバー株式会社 翻訳協力/Sarah Tangney

デビューする前は、とても恥ずかしがりやでした

――伊那尓栖さんは2018年頃からホロライブを好きだったそうですが、ホロライブの存在を知ったきっかけを教えてください。そして、そのときにどのような印象を受けたのかも教えてください。
伊那尓栖 ホロライブを知ったのがいつだったかは正確にはおぼえていないのですが、ずっとYouTubeや配信が好きだったので、おすすめ動画やキズナアイさんやファンアートを通じて自然にこの文化に出会いました。たぶん、最初に見たメンバーは(白上)フブキ先輩だったと思います。あと、えーちゃん(友人A)のTwitterを見て「この人は誰なの?」って思っていました(笑)。

――ホロライブのオーディションの開催を知って、応募しようと思った理由を教えてください。
伊那尓栖 オーディションのことを知ったとき、私はホロライブに夢中だったので「まずやってみよう、どこまで行けるか挑戦しよう」と思いました。ちょうど人生で新しい目標を探していたときだったので、完璧なタイミングでした。

――「ホロライブのオーディションに合格しました」という連絡をもらったときの心境を教えてください。
伊那尓栖 最初はとてもわくわくしたのですが、そのあと自分がホロライブのメンバーとしてちゃんとやっていけるのか不安にもなりました。でも、自分自身に言い聞かせたんです。選んでもらえたのだから、私には良いところがあるはず……だからベストを尽くす!って。

――オーディションに合格してからデビュー配信を行うまでの日々は、どのような気持ちで、どのように過ごしていましたか?
伊那尓栖 ずっと先輩たちの動画を見ながら、ブレインストーミングをして(たくさん考えて)配信の準備をしていました。自分のお披露目配信で何をしたらいいか、漠然としたアイデアしかなくて……デビューの1週間前までは曖昧なイメージしかありませんでした。あとは少し時間があるときに、自分自身や「holoMyth」メンバーのファンアートを描いていました!

――デビュー直後の時期、ご自身で「ここが課題だ」と思って意識的に頑張ったことがあれば教えてください。
伊那尓栖 デビューする前はとても恥ずかしがりやで、自信をもって話すのが難しかったのをおぼえています。でも、1年経って自信がついたので、他の人に積極的にからんでいけるようになったと思います!

ジェットコースターに乗っているみたいな日々

――伊那尓栖さんが、まだ趣味としてイラストを描いたり、練習していた頃、とくに好きだったり、刺激を受けたりした日本の作品、イラストレーター、クリエイターなどがいれば教えてください。
伊那尓栖 何年も前、図書館で借りた本の中に(一伊那尓栖・公式イラストレーターでもある)黒星紅白パパの絵が載っていたんです。その本には他にもいろいろな方々の絵が載っていたんですけど……黒星紅白パパの作品に本当に目を惹かれました。黒星紅白パパの絵は、とても複雑な構成で細部まで美しいのに、作品自体はごちゃごちゃしていなくてすっきりしているんです。キャラクターのデザインセンスや細部へのこだわりに、すっかり恋に落ちました。だから、パパは私にとっていちばん大きなインスピレーションを与えてくれる存在だし、彼が私のパパで本当にうれしいです! とくに『キノの旅』シリーズは伝説的な代表作だし、『サモンナイト』や『Fate Grand/Order』で見られるキャラクターセンスは、私のお気に入りのひとつです。

――過去の配信で、ホロライブに参加する前、忙しい日々を過ごすなかで絵を描くことに対するモチベーションが少し落ちていた時期があると話していました。ホロライブでの活動を始めたことによって、「絵を描くこと」に対する意識やモチベーションに変化はありましたか?
伊那尓栖 とっても大好きなことでも、ときには休憩をとって、他のこともやってみること。それが燃え尽き症候群にならないために大切だと思います。多くのファンの方々や他のホロライブメンバーと交流することで、新しい何かに挑戦したり、配信をクリエイティブにするためのモチベーションをいっぱいもらえています! デビューしたことで、私がこれからもずっと絵を描いたり配信し続けたりするためには、いろいろな作業のペースを上げていかないと、ということにも気づきました。

――2020年9月にデビューしてからの日々は、伊那尓栖さんにとってどのようなものでしたか? デビュー後、とくに大きな変化を感じていることがあれば、教えてください。
伊那尓栖 デビューしてからの日々は、ジェットコースターに乗っているみたいです! デビュー前は、とてもゆっくり時間が流れている日もあったけれど、デビューしてからは全部があっという間に過ぎていく! 他の「holoMyth」メンバーと、スタッフが一緒にジェットコースターに乗ってくれてうれしいです。そうじゃなかったら私は生き残れていないと思います(笑)。いちばん変わったことは、さまざまなスケジュールのバランスをうまくとることです。ときどき、こんなにたくさんのことを一度の配信でやりくりできるかな……と思うこともあるのですが、最後には全部うまくいくと思っています!

自分の好きなものをみんなと共有したい

――幼い頃の伊那尓栖さんは、絵を描くことと同じくらい、ゲームも好きだったのだろうと想像しているのですが、最初に好きになったゲームや、とくに思い出深いゲームを教えてください。
伊那尓栖 小さい頃は、ゲーム機を持つのを禁止されていたんです。でも、お休みの日にいとこが『キングダムハーツ』をプレイしているのを横で見ていたのはおぼえています! あとはクラスメイトからゲームボーイアドバンスを借りて『ポケットモンスター サファイア」『ハーベストムーン(牧場物語)』『ハム太郎 Ham-Ham Heartbreak! (とっとこハム太郎3 ラブラブ大冒険でちゅ)』をプレイしました! これらは、私が今も心の奥で大切にしているゲームです!

――伊那尓栖さんが配信をするとき、とくに意識していること、大切にしていることを教えてください。
伊那尓栖 私はいつも自分自身に「楽しもう!!!」と言い聞かせています。私自身が楽しんでいないと、100パーセントの力で配信を届けられないタイプだと思っていて。だから何をするときにも、自分が好きと思えるものを見つけて、配信を見てくれているみんなにそれを共有できるように頑張っています。ときどき、好きすぎる話題に関しては熱くなりすぎるので、そういうときは自分を抑えなきゃいけないんですけど……。

――伊那尓栖さんのYouTubeチャンネルで見られるアーカイブの中で、とくに印象深い配信や、伊那尓栖さんのファンになったばかりのリスナーにおすすめの配信があれば、理由と一緒に教えてください。
伊那尓栖  「お絵描き配信」をおすすめしたいです! 絵を描いているときにみんなと話すのは本当に楽しいです。絵を描きながらだといろいろなことを話せるし、最後にはみんなとのおしゃべり配信になっていたりしますね。お絵描きの手順に興味がある人、そして何かを聞きながら作業したいと思っている人、どちらも楽しめるアーカイブだと思います!

テンタカルトのみんなは、私への大切な贈り物

――伊那尓栖さんはダジャレがお上手ですが、日常生活を過ごしているときもダジャレは思い浮かぶのでしょうか? もし、そうなら周囲の人々(家族、友人など)は、伊那尓栖さんのダジャレに対して、どのような反応をしていますか?
伊那尓栖 ほとんどの人の想像を裏切るかもしれないけれど……私のダジャレはとっさに脳内に浮かんでくるんです!(笑) だから、たとえば、追い詰められているときは良いダジャレが浮かんでこないんです。私のファンは、私よりもダジャレを思いつくのが上手って思うことがときどきあります。あとは、配信中に言うのと同じくらいたくさんのダジャレを家族や友人に言っていますね。家族や友人は、ときどき沈黙を返してくれます……。でも、友人の何人かは私にダジャレで応えてくれます。そこからは、アイデアが尽きるまで「ダジャレバトル」がずっと続くんです。

――伊那尓栖さんにとって、いつも配信を見に来てくれる「テンタカルト」(伊那尓栖さんのファン)はどのような存在ですか?
伊那尓栖 テンタカルトのみんなは、私への大切な贈り物みたいな存在です! デビューする前は、こんなにたくさんのサポートが得られると思っていなかったので、毎日みんなから優しい言葉やサポートをもらえて戸惑うくらいでした。ときどき、こんなに素敵なテンタカルトのみんなに対して、私は相応しくない存在なんじゃないかって思うこともあるんです。そして、それはテンタカルトのみんなをもっと幸せにできるように毎日頑張るためのモチベーションになっています。

同期のみんながどれだけ大切な存在か実感した

――一緒にデビューした「holoMyth」の仲間は、伊那尓栖さんにとってどのような存在ですか?
伊那尓栖 「holoMyth」のみんなは、私の生涯の友人です。たくさんの困難を一緒に乗り越えて支えあってきた今、「holoMyth」のみんなはもっとも信頼できる存在になりました! みんなは、私が知っている中でも、もっとも才能があって献身的なクリエイターで、コンテンツクリエイターとして成長していくための刺激をもらっています。私たちはみんな、ファンの皆さんの思い出に残る何かを作りたいと考えています。同じ想いを抱えて一緒に何かプロジェクトをしているときは、いつもうれしいです! 「holoMyth」のみんながいなかったら、私はここにいないです!

――「holoMyth」のメンバー全員で行ったデビュー1周年記念の3D配信は、大きな話題を集めました。伊那尓栖さん自身にとっては、どのような思い出になりましたか?
伊那尓栖 「holoMyth」のみんなとは直接会ったことはないけれど、昔からの旧友のように、なぜか懐かしんでしまう。そんな自分の気持ちに気づくきっかけになった配信のひとつでした。テクノロジーがとても発達して、みんなといっぱいつながったように感じる……でも、同時にみんなとは物理的な距離が大きく離れていることもときどき実感して、とても寂しい気持ちになっちゃいます。VRで1周年を迎えられたことで、同期のみんなが私のすぐそばにいてくれるような気持ちになりました。そのとき、同期のみんながどれだけ大切な存在か実感したし、いつかみんなに直接会えたらどんなにうれしいだろうって思ったんです。こういうことを考えると、自分の中の感情に押しつぶされちゃいますね……。

イベントを通して先輩方をさらに尊敬するようになりました

――伊那尓栖さんがデビューしたあとも、多くの新人がデビューし、伊那尓栖さんもホロライブの先輩になりました。後輩から「先輩」と呼ばれるのはどのような気持ちですか? また、先輩として心がけていることはありますか?
伊那尓栖 「ホロライブEnglish」のお友達が増えて本当にうれしいです! 欧米では日本と違って「先輩」や「後輩」関係があまり重視されていないんです。だから後輩というよりも、意見を聞かせてもらえて、一緒にコラボできるお友達が増えたと思っています! 先輩になるということは物事についてよく知っていなきゃダメで、後輩のことも助けられる存在でなきゃ……と思うけれど、私自身まだまだ勉強中だし、いつもびくびくしています。だから後輩のみんなが助けを必要としていても、私じゃ力になれないかもしれません(笑)。

――2021年は『うさ建夏祭り』や『ホロライブ大運動会』など、「ホロライブJP」のメンバー主催の大型企画にも参加しました。以前は見る側だったホロライブの先輩たちと一緒の企画に参加できたことについて、感想を聞かせてください。
伊那尓栖 デビュー前からホロライブファンだったので、大型企画のときはいつも視聴者としていろいろなメンバーやチームを楽しく応援していました。でも、自分自身が参加する立場になって、この大型イベントを実現するためにいろいろなチームがさまざまな作業をしていることがわかって、先輩をさらに尊敬するようになったんです。こういったイベントに私たち海外のメンバーが参加するためには、言語の壁や時差をはじめ、いろいろな問題がありました。でも、全員で力をあわせて、できるかぎりスムーズにイベントを行うことができて、とても感動的だったし、みんな本当に頑張っていたんです!

いろいろなプロジェクトに取り組んでいきたい!!

――ENとJPの合同ユニット「UMISEA」のメンバーに選ばれたときの感想を教えてください。
伊那尓栖 「本当に私がここに入っても大丈夫ですか?」って最初に思いました(笑)。(宝鐘)マリン先輩と(湊)あくあ先輩のことをとても尊敬しているし、(同期の)がうる・ぐらも才能があって素敵なので、みんなに追いつくためにもっと頑張らなきゃって思いました!

――「UMISEA」でのコラボ配信などを通して感じた、湊あくあさんと宝鐘マリンさんの印象を教えてください。「UMISEA」結成前とは印象に変化がありましたか?
伊那尓栖 私はあくあ先輩とマリン先輩の大ファンだったので、ふたりがボイスチャットで私に話しかけてくれるなんて本当に夢みたいでした! ふたりが努力家だってことは知っていたけど、交流していくことでコンテンツクリエイターとして同じ悩みや不安を抱えていることに気づいたんです。それに、ふたりみたいになるためには、もっと頑張らなきゃいけないことにも気づきました。

――「UMISEA」のメンバーでやってみたいことはありますか?
伊那尓栖 一緒に海に行きたいです!!! 私たちは海をテーマにしたグループだから、自然にビーチを楽しむことができますよね?……ね???

――今年の1月7日には『マリオカート8』の大会「ホロお正月CUP2022」に参加しました。そのときの感想を教えてください。
伊那尓栖 ファンの期待にこたえるパフォーマンスができなかったから少し悲しい……! コースの練習時間がもっとあればいいのにって思いましたし、最初のいくつかのレースは自信のないコースが選ばれたから緊張しました。でも、脱落したあとも、みんなを応援するのはとても楽しかったです! もし、来年もこんな大会があるなら、もっと頑張りたいです!!!!

2022年は楽しく健康に過ごす!

――伊那尓栖さんは日本語も非常にお上手ですが、おぼえるために工夫したことがあれば教えてください。
伊那尓栖 わー、本当にありがとうございます!!! 自分の日本語が褒められると、にやけちゃいます(笑)。学校で、約2年半日本語を勉強していました。そのあとも字幕付きのアニメを見たり、好きな番組やゲームのラジオをいっぱい聞いていました。リスニング練習のいちばん簡単な方法のひとつは、好きなラジオや番組をチェックすることだと思います。いろいろなアニメやゲームのラジオ、それにVTuberのラジオもあります!! フブキ先輩とマリン先輩がやっている「ホロライブpresents Vのすこんなオタ活なんだワ!」も!!:) 私にとってはとても効果があったから「好きなものを勉強に取り入れること」を強くおすすめします!

――2022年の具体的な目標があれば教えてください。
伊那尓栖 楽しく健康に過ごす! そして、今年はいろいろなプロジェクトに取り組んでいきたい!!

――日本にも、たくさんの伊那尓栖さんのファンがいます。日本から応援しているリスナーに向けて、メッセージをお願いします。
伊那尓栖 私が普段配信している時間帯は、日本の皆さんにとってとても朝早い時間だと思います。皆さんが配信や、もちろんアーカイブにも応援のコメントを残してくれているのを見ると、いつも幸せな気持ちになります! たくさんのご支援を本当にありがとうございます。今年はもっと日本語を勉強して、もっとコミュニケーションができるようになりたいな。ありがとう!!!endmark