第1話 ウルトラ作戦第一号
監督/円谷 一 脚本/関沢新一、金城哲夫 特技監督/高野宏一
ウルトラマンの地球来訪目的、ハヤタとの出会い、科学特捜隊(以下、科特隊)の説明、カラータイマー……『ウルトラマン』を語るうえで重要なパーツが次々とはめ込まれていきます。昨今のドラマなら前後編にしてしまう内容が、1話の中でスピーディーに展開されます。
※第1話の内容に関しては、本特集の第1回「イラストでわかる『ウルトラマン』の基礎知識」をご参照ください。
第3話 科特隊出撃せよ
監督/飯島敏宏 脚本/山田正弘 特技監督/的場 徹
娯楽作品としての要素が詰まった基本中の基本のエピソードです。登場するのは、透明怪獣ネロンガ。普段は透明で電気を吸うと実体化する、まさに通常の動物を超えた存在=怪獣です。井戸から聞こえる謎のうなり声、続く発電所の倒壊。怪現象の調査を進める科特隊は、やがて犯人である怪獣の出自や能力を解き明かしていきます。このネロンガ、江戸時代に剣豪に退治された伝説の怪獣なのですが、じつは生き延びていて、電気をエネルギーに変える体質に変化し、現代によみがえったのです。かつての怪獣が現代のテクノロジーによって強力になって復活してしまう。元祖怪獣映画『ゴジラ』も内包していた現代文明へのアンチテーゼが、ここにも見え隠れしています。
ネロンガが次に狙うのが東京および関東圏の60パーセントを担う第三火力発電所と推測した科特隊は、ここを決戦の地に選定。主力のジェットビートルだけでなく、防衛隊の戦車隊や熱線砲まで繰り出し、一大防衛ラインを展開します。しかし、強力な砲火にもかかわらず、ネロンガは猛り狂うのみ。万事休すと思ったそのとき、ウルトラマンが颯爽登場! さらに、ここで初めて点滅するカラータイマーとウルトラマンのタイムリミットがナレーションによって語られます。迫る活動限界のなか、ネロンガを地面に叩きつけて沈黙させ、必殺のスペシウム光線でトドメを刺します。怪事件発生 → 怪獣出現 → 怪獣との攻防 → ウルトラマン登場 → 大団円。ミステリアスな前半から後半は壮大なアクションで畳みかける展開は、『ウルトラマン』いや怪獣映画全般における王道とも言えるでしょう。なお、ネロンガはデザインもリニューアルされて『シン・ウルトラマン』にも登場します。ぜひ事前にチェックしておきたいエピソードですね。
第35話 怪獣墓場
監督/実相寺昭雄 脚本/佐々木 守 特殊技術/高野宏一
人類の脅威、破壊の化身である怪獣が、じつは被害者だったのかもしれないというエピソード。ある日、宇宙パトロールをしていた科特隊は、怪獣たちの亡骸が漂う不思議な空間を発見します。その中には、ウルトラマンや科特隊によって倒され、宇宙へ追放された怪獣たちも多数見受けられました。基地に帰投した科特隊は、さまよう怪獣の霊を弔うために「怪獣供養」を行うことにします。その際のフジアキコ隊員のセリフが印象的です。
「可哀想ね。姿形が私たちと違い、力がありすぎるっていうだけで宇宙へ追放されてしまったんだから……」
怪獣を擁護するようなこの言葉は、怪獣退治の専門家であるウルトラマン=ハヤタの心にも突き刺さります。いたたまれなくなったハヤタは屋外に飛び出し、怪獣たちへの謝罪の言葉をつぶやくのです。
「許してくれ……地球の平和のため、やむなくお前たちと戦ったのだ。オレを許してくれ……」
そして静かにウルトラマンに変身し、青空を見上げます。そこに被るナレーション。
「心ならずも葬った数々の怪獣たちに対し、ウルトラマンは恐らく、心の中で詫びていたに違いない」
青空をバックに佇(たたず)み、心なしかうなだれたその姿には、今までにないウルトラマンの「感情」が滲み出ています。ここで重要なのが、ハヤタとウルトラマンがともに嘆き、葛藤している点です。今まで、ハヤタは自らの意志でウルトラマンに変身していましたが、その人格は別次元。ウルトラマンの戦闘中にハヤタの記憶や感情が出ることは少なく、同じく、ハヤタがウルトラマンとして振る舞うことも多くはありませんでした。ふたりの感情の共有を描いたのは、このエピソードが初めてだったかもしれません。そんな心の触れ合いが、最終回に大きな意味を持ってきます。
第37話 小さな英雄
監督/満田かずほ(※「かずほ」は正しくは禾に斉) 脚本/金城哲夫 特殊技術/有川貞昌
怪獣酋長ジェロニモンが60頭の怪獣を復活させて大反撃を画策。だが、その中に人類の味方、友好珍獣ピグモンが紛れていたために計画が露呈。科特隊による先制攻撃が開始されます。このエピソードの中で、イデ隊員は悩み続けます。発明家でもある彼は、常に新兵器を開発してきました。でも、科特隊がどんなにがんばっても、結局、怪獣を倒すのはウルトラマンです。自分たちの存在は無意味なのではないか? そんな心情をイデは、知らぬこととはいえ、ハヤタ=ウルトラマンに打ち明けます。いつもはポジティブすぎるイデ隊員の発言ゆえに、その言葉はなおさら重いものがあります。ハヤタは、科特隊が助けてくれなかったら危なかった戦いを例に出してフォローします。けれどもイデの心は晴れず、戦いの最中も、空を仰いでウルトラマンに助けを求める始末。そんな彼の目を覚まさせたのが、ピグモンの犠牲的な活躍でした。自らを囮にしてイデの窮地を救いますが、自らは怪獣に叩き潰されてしまいます。その姿にイデは奮起、ウルトラマンのアシストもあり、ジェロニモンの野望を粉砕します。科特隊隊員イデ、いや人間の自信回復、これも最終回への大きな布石となっていきます。
第39話 さらばウルトラマン
監督/円谷 一 脚本/金城哲夫 特殊技術/高野宏一
無敵のウルトラマンがついに敗れた! 今まで、ピンチもあるにはありましたが、必殺技で逆転したり、科特隊の援護で乗り切ってきました。だが、強力な宇宙恐竜ゼットンの前には手も足も出ない。ウィークポイントであるカラータイマーを破壊され、一敗地に塗(まみ)れてしまいます。無敵のヒーローが敗北する最終回。衝撃的すぎる展開です。そんな絶望的な状況で、科特隊に託されたのが新兵器ペンシル爆弾(通称、無重力弾)。科特隊の知恵袋、科学センターの岩本博士が完成したばかりのワンオフ(一点もの)です。そして科特隊は、恐るべきゼットンを新兵器で粉砕することに成功します。かくして地球は、人類自身の手によって守られたのです。
一方、倒れたウルトラマンのもとには、宇宙警備隊員ゾフィーが駆けつけます。後の警備隊隊長、ウルトラ兄弟の長兄です。ウルトラマンに光の国への帰還を促すゾフィー。ですが、それを拒むウルトラマン。彼が地球を離れることはハヤタの死を意味するからです。ウルトラマンは自らの命を犠牲にしてまでもハヤタを救おうとします。自らの過失で死なせたハヤタを救うため、応急処置的に一心同体となったウルトラマン。ですが、長い戦いのなかでハヤタに対する深い親愛の情が生まれていたようです。そんなウルトラマンに根負けしたかのように放ったゾフィーの言葉が印象的です。
「ウルトラマン。そんなに地球人が好きになったのか」
幸いにもゾフィーは命をふたつ持ってきており、そのひとつをウルトラマンに、もうひとつをハヤタに授けます。こうして一命を取り留めたウルトラマンはハヤタと分離し、故郷である光の国へ帰っていきます。
人智を超えた巨大ヒーローの活躍を描いた最初の作品である『ウルトラマン』は、それだけでも画期的な存在です。そのうえでさらに踏み込んで、強大な力に庇護される人類のジレンマや、最終的には自力で地球の平和を守る姿まで描き切りました。これは、その後のヒーロー作品が幾度となく挑み続けるテーマでもありますが、始祖である『ウルトラマン』の中で、そのすべてがすでに描かれているのです。こんなところが、半世紀を経ても衰えぬ『ウルトラマン』の魅力なのかもしれません。
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