TOPICS 2022.04.21 │ 12:00

『シン・ウルトラマン』を見る前に知っておきたい『ウルトラマン』のキホン③

第3回 こわいけど愛くるしい!? 『ウルトラマン』の5大怪獣

『ウルトラマン』の魅力は、ヒーローとしてのウルトラマンのカッコ良さもさることながら、毎週登場する怪獣の個性や、宇宙人のキャラクターに負うところも大きいです。ここでは、その後のシリーズにも登場し、ウルトラマンと並ぶアイコンとして活躍する5大怪獣を紹介していきましょう。

文/木川明彦(GENET) イラスト/近藤ゆたか

『ウルトラマン』に出てくる怪獣(ウルトラ怪獣)の人気の秘密は、そのスタイリッシュなデザインとカラーリングにあると言えます。当時のスタッフは、シリーズ初のカラー作品ということもあり、テレビでの見栄えを重視していたようです。さらに視聴者である子供たちに向けて、親しみやすいキャラクターであることにも気を使っていました。そのため、『ウルトラマン』の美術総監督であり、ウルトラマンや怪獣のデザインを手がけた成田亨氏は、怪獣を創造するにあたり、いくつか決め事を設けていたそうです。

「動物などをただ巨大化させない」
「化け物にしない」
「身体に傷をつけたり、血を流したりしない」

このような理念をもって創られたからこそ、ウルトラ怪獣たちは長い時間を経ても廃(すた)れることなく、人々の心をつかんで離さないのです。

宇宙忍者バルタン星人 

身長/ミクロ~50メートル 体重/0~1万5千トン 出身地/バルタン星 登場話数/第2話「侵略者を撃て」他

ウルトラマン最大のライバル。「宇宙人」と言えば、真っ先に浮かぶ存在、それがバルタン星人です。たとえ本編を見たことがなくても、両手をVサインにして上下に揺すり「フォフォフォフォ」とやれば、「バルタン星人!」と答えが返ってくるでしょう。分身したり、出たり消えたりと変幻自在の超能力を使うのでまたの名を「宇宙忍者」。意外に思われるかもしれませんが、バルタン星人は侵略目的で地球にやって来たのではありません。彼らの故郷バルタン星は、ある発狂した科学者の実験がもとで破壊されてしまったのです。ちょうど宇宙旅行中だった20億3千万の一団は、その後、流浪の旅を続けていたのですが、宇宙船が故障し、その部品調達のために地球に立ち寄ったというわけです。ですが、旅に疲れ、永住の地を欲していたバルタン星人は「地球をもらう」と宣言、攻撃を開始します。彼らの戦力があれば、地球はたちどころに侵略されていたでしょうが、ウルトラマンがそれを許すわけもありません。巨大化したひとりを倒すや、ミクロ化状態で眠っていた宇宙船内の20億3千万人も殲滅してしまいます(ちょっとやりすぎ……)。それでも生き残った一部のバルタン星人は地球侵略、そしてウルトラマンへの復讐を狙って限りなきチャレンジ魂を燃やし続けるのです。その後のシリーズにも登場し、おなじみのあの声とともに、千変万化の術で活躍しています。

どくろ怪獣レッドキング

身長/45メートル 体重/2万トン 出身地/太平洋・多々良島 登場話数/第8話「怪獣無法地帯」

太平洋の孤島・多々良島(たたらじま)は、地震と火山活動の影響で怪獣たちが復活、有史以前の弱肉強食の世界へ舞い戻ってしまいました。そこに生息する複数の怪獣の中でも、実力ナンバー1の存在がレッドキングです。太い手脚は蛇腹(じゃばら)状の筋肉に覆われ、殴る、引き裂く、岩石を投げる、という問答無用のパワー殺法が得意。しかし、太く長い首の上にある頭が小さいせいか、知能はあまりよくありません。ちなみに、この小さな頭は人間の頭蓋骨にも見えるので「どくろ怪獣」と呼ばれています。パワーではウルトラマンすら圧倒するのですが、柔よく剛を制するウルトラマンの華麗なフットワークと多彩な投げ技の前に翻弄され、ノックアウトされてしまいます。凶暴残忍な性格なのですが、自分でつかんだ大岩を誤って足に落としてムチャクチャ痛がるとか、どことなくユーモラスな振る舞いが多いのも特徴。怪獣界のガキ大将として、今も愛され続けています。

古代怪獣ゴモラ

身長/40メートル 体重/2万トン 出身地/ジョンスン島 登場話数/第26話~第27話「怪獣殿下」

1億5千年前のゴモラザウルスの生き残り。科特隊はゴモラを麻酔で眠らせ、大阪の万国博覧会で飼育展示するべく巨大なネットで空輸するのですが、途中で目を覚まし大暴れ。やむをえず、ネットを切って地上に落下させますが、その衝撃で本来の凶暴性が覚醒。地底を自在に掘り進む神出鬼没さで、大阪の街を恐怖のどん底にたたき込みます。ゴモラはオーソドックスな恐竜型のボディですが、頭部に生えた三日月状の大きな角が異彩を放っています。これは戦国武将・黒田長政の兜をイメージしたデザインで、ウルトラ怪獣の中でも群を抜いてスタイリッシュ。この角を使ってのぶちかましとムチのようにしなやかな長い尻尾を使って戦います。パワーファイターと見せかけて、この尻尾さばきが絶妙で、初戦ではウルトラマンに強力な連打を浴びせました。この攻撃には、さすがのウルトラマンもまったく手が出ず、昏倒。態勢を立て直してスペシウム光線を撃とうとするも、時すでに遅く、ゴモラは悠々と地底へ潜ってしまいます。真っ向勝負でウルトラマンを退けた数少ない怪獣としてゴモラの人気は高く、その後のシリーズでも何度も登場。とくに2007年の『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』では、主人公とともに戦う味方怪獣として大活躍しました。

宇宙恐竜ゼットン

身長/60メートル 体重/3万トン 出身地/宇宙 登場話数/第39話「さらばウルトラマン」

ゼットンはウルトラマンを倒した怪獣としてあまりにも有名です。黒と銀のボディは昆虫っぽくもあり、怪獣とも宇宙人とも区別がつきませんが、別名は「宇宙恐竜」。まったく得体が知れません。目や口などの顔のパーツを取り去った頭部には、巨大な角とタテ一文字の明滅する発光器。出現時に「ゼットン」と名乗ったのみで、その後は「ピポポポ」と電子音を発し続けます。無表情で派手なアクションをせずとも、佇(たたず)んでいるだけで異様な存在感を放ち、見る者にプレッシャーを与えます。まさにラスボスの風格です。瞬間移動で相手を翻弄し、光波バリヤーで攻撃を防いでしまう、バルタン星人もかくやの多彩な技の数々。腕のひと振りでウルトラマンを弾き飛ばしてしまう、レッドキング並みの怪力。さらに敵の光線技を吸収反転する能力。これでウルトラマンはスペシウム光線を反射され、カラータイマーを破壊されてしまいます。その後、ゼットンは科特隊のペンシル爆弾によもやの敗北を喫します。つまり、ウルトラマンはリターンマッチの機会も与えられず、負けっぱなしのまま、物語が終結してしまうのです。そのため、ウルトラマンに勝ったレジェンド的な敵キャラクターとして君臨し続けています。

友好珍獣ピグモン

身長/1メートル 体重/10kg 出身地/太平洋・多々良島 登場話数/第8話「怪獣無法地帯」他

暴れるだけが怪獣ではありません。中には人間と仲良しになってくれる希有(けう)な存在もいるのです。レッドキングと同じ多々良島の出身のピグモンは、凶暴無比な怪獣が闊歩する中で、唯一、大人しく優しい性格で、人間を助けたりしてくれます。人間の言葉を理解できるほど知能も高く、巨大な怪獣にも立ち向かっていく勇気も兼ね備えています。そして最期はレッドキングに追い詰められた人間たちを救うため、囮になり、岩の下敷きになって非業の死を遂げてしまうのです。その後、死んだ怪獣をよみがえらすという怪獣酋長ジェロニモンの超能力で復活を遂げますが、やはり科特隊を助けるために犠牲となります(第37話)。たとえ負けるとわかっていても、立ち向かう生き様。カワイイ見た目に似合わぬ度胸ある行動力は「小さな英雄」として賞賛され続けています。その後のシリーズでもマスコット的な存在としてたびたび登場しています。よく街のショップなどで風船をつけたピグモンのグッズを目にすることがあると思いますが、これは多々良島で科特隊に驚いて逃げた際に追跡用に付けられた目印の特殊風船爆弾なのです。ピグモン自身は迷惑千万だったかもしれませんが、このワンポイントがさらにラブリーさに磨きをかけています。

以上の5体だけでなく、『ウルトラマン』には魅力あふれる怪獣や宇宙人が多数登場します。そのどれもが考え抜かれた超能力を有し、それにふさわしい形状をしています。さらにその怪獣の行動が、物語をグイグイと牽引していくのです。そんな洗練されたキャラクターだからこそ、半世紀を経た今でも、さまざまなメディアで活躍し続けているのだと思います。endmark

関連情報

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