Febri TALK 2021.09.06 │ 12:00

亜咲花 アニソンアーティスト

①日本移住の寂しさを救った
『イナズマイレブン』

17歳で歌手デビューし、アニソンアーティストとしてその活動領域を広げているシンガー・亜咲花。インタビュー連載の第1回は、帰国子女である彼女が、日本帰国後に初めてハマったアニメだという『イナズマイレブン』について。

取材・文/森 樹 撮影/飯本貴子

※新型コロナウイルス感染予防対策をとって撮影しています。

『イナイレ』に出会って歌うことの楽しさを知ることが出来ました

――『イナズマイレブン(以下、イナイレ)』は、いくつのときに見たのでしょうか?
亜咲花  11歳です。『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』のような国民的アニメはアメリカに住んでいたときも見ていたのですが、それ以外のアニメにはほとんど触れていませんでした。8歳のときに日本に帰ってきてからも、生活に慣れるのに精一杯で、趣味を見つけようという気にならなくて。

――生活スタイルの違いにとまどっていた時期があったんですね。
亜咲花  帰国してからは東京に2年間住んでいたのですが、親の転勤で転々として、最終的に名古屋に落ち着いたんです。それから少しして、やっと「プライベートで何もしていないな」ということに気がついて。その寂しさを埋めてくれたのが『イナイレ』でした。

――どういった出会いだったのでしょうか?
亜咲花  弟がサッカー好きで、夕食のときにいつも見ていたんです。手を使ったり、「反則では!?」っていう奇抜な技も多くて、「なんだこのアニメ?」と逆に惹かれてしまったんですよね。

――ルールに縛られない部分に。
亜咲花  それから毎週見るようになって。当時、放送していたのは「世界への挑戦!!編」だったので、主人公の円堂くんたちは日本代表として世界と戦っていました。「なんでこの子たちはこんなに強いのだろうか……?」という成長の過程が知りたくて、レンタルビデオ屋さんで全巻借りて見たんです。その物語のひとつひとつの流れが素晴らしくて……! いろいろなものを犠牲にしながら、仲間と戦い抜いていく、すごいスポ根アニメだと。

――そういうスポ根的な部分に惹かれたのでしょうか?
亜咲花  そうですね。それと、基山(きやま)ヒロトくんの存在ですね。もともとは「グラン」という名前の宇宙人として登場した、主人公のライバルキャラで。孤児院で育てられて、サッカーをする理由も複雑で……。今にして思えば、小学生が見るには重い設定もけっこうあったのですが、純粋に彼はいい子なんですね。純粋にサッカーがしたい子。だから「世界への挑戦!!編」では主人公たちと一緒に戦うことになって。今までのライバルが味方になるのが激アツ展開なんですよ!

――王道ですね。
亜咲花  しかもヒロトくんは、主人公のことを「円堂くん」って呼ぶんです。みんな呼び捨てなのに「くん」をつけるところが礼儀正しいし、主人公との距離感がすごくよくて。風貌も、赤髪で眼が緑色という、ほかのキャラクターとは毛色が違って……アニメのキャラクターに恋したのは初めてでした(笑)。

――印象的な彼のエピソードはありますか?
亜咲花  第100話の「奇跡!カッパとの遭遇!?」ですね。ヒロトくんと木暮くんが、迷い込んだ森でカッパと遭遇してサッカーをする……というエピソードです(笑)。ライバルたちとの試合も激アツですけど、そういうお茶目なストーリーがあるのが『イナイレ』ですね。

――ゲームや雑誌とのメディアミックスが盛んだったのも『イナイレ』の特徴ですよね。
亜咲花  そうなんです。DSのソフトも全部買いそろえました。攻略本も何冊買ったか……(笑)。『イナズマイレブン ストライカーズ』というWiiのゲームでも、次作『イナズマイレブンGO』のキャラクターと『イナイレ』のキャラクターが戦う展開があったり、ファンの夢が詰まった内容になっているんです。

――『イナイレ』の存在が、日本になじむきっかけになったわけですね。
亜咲花  日本の生活に慣れるきっかけとなったのは、間違いなく『イナイレ』ですね。転勤による友達との別れや、いつ生活が落ち着くのだろうという不安は、作品に熱中することで解消していきました。

――それは、具体的には『イナイレ』に登場するキャラクターの友情物語やライバルの関係性に憧れを感じたということでしょうか?
亜咲花  そうですね。私があの世界に入ったら……という妄想もよくしていて、そのとき私はマネージャーでした(笑)。メンバーがひとり足りなくなって「11人じゃないとサッカーできない!」という場面で、「亜咲花、サッカーやれよ」と円堂くんにスカウトされ、必殺技を教えてもらう……という設定づけまでありました。

――なるほど(笑)。ちなみにシンガーとしては、この作品の主題歌や音楽に影響は受けましたか?
亜咲花  かなり受けています。キャラソンにもガッツリハマりましたし、OP、EDを集めたCDも全部購入して、弟とクルマで熱唱していました。なかでもEDを歌っていたBerryz工房さんのことが大好きになって、『イナイレ』のハロプロ曲を歌うためにカラオケに行くようになりました。あるとき、カラオケでお父さんに歌を披露したら「なかなかイケるぞ」と言われて。そこからBerryz工房だけじゃなくて、アニソンをどんどん歌うようになったんです。そういう歌う楽しさやハロプロのよさを教えてくれたのも『イナイレ』でした。一度、Berryz工房のメンバーだった夏焼雅(なつやきみやび)さんにお会いしたのですが、そのときは号泣しました(笑)。

――それくらいの思い入れが。
亜咲花  Berryz工房やハロプロの影響として、私は(右利きなのに)左手でマイクを持っているのですが、それはカラオケで歌の練習をしていた頃、振りをコピーしながら歌っていたからなんですね。自分のスタイルのルーツをたどるとハロプロさんがありますし、その出会いを『イナイレ』が生んでくれました。endmark

KATARIBE Profile

亜咲花

亜咲花

アニソンアーティスト

あさか 愛知県出身。両親の仕事の都合で3歳から8歳までアメリカで過ごす。帰国後、17歳でCDデビュー。現在までに9枚のシングルをリリースしている。ネイティブな英語の発音とパワフルな歌唱が持ち味。名前には「亜細亜に咲く花」という意味が込められている。8月11日に2ndアルバム『Pontoon』を発売。アルバムを引っさげた東名阪ツアーの開催も決定している。

「亜咲花 2nd Tour Pontoon 〜Make a BIG WAVE!!~」
【大阪】9月24日(金)梅田クラブクアトロ
【名古屋】9月25日(土)名古屋ダイアモンドホール
【東京】10月23日(土)品川インターシティホール
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