互いに影響し合うハサウェイとギギ
――まずは第1章のことを振り返りたいのですが、前作の世間や周囲からの反応をどのように捉えていましたか?
上田 作品の大きさを感じました。現場でご一緒した方だけじゃなくて、多くの知り合いから熱い伝言を受けることが多かったです(笑)。
小野 たしかに、まったく関係のない歯科医院で話が出ることもありました(笑)。
上田 小野さんは、その年(2021年)の「第十六回 声優アワード」で主演男優賞を獲っていましたよね。
小野 そうなんです。「ガンダムやっぱりすごいな」と(笑)。
――それだけ世間の盛り上がりを実感したと。
上田 キャラクター同士の会話ひとつとっても考察する甲斐のある作品ですからね。それが『閃光のハサウェイ』やガンダムシリーズならではの特徴だとも感じました。
――第1章のときは、アフレコの前に村瀬修功監督から世界観やキャラクターについて丁寧な説明があったと聞きました。今回はいかがでしたか?
小野 今回も同じようにありました。大きくは、映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』と、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』ではハサウェイの行動が若干異なっているのですが、そこの辻褄を合わせたうえで第2章の『閃光のハサウェイ キルケーの魔女』は描写されている、という説明でした。
――なるほど。ハサウェイの精神面に大きく関わってくるところですね。
小野 はい。それ以外の部分でも、今回はヴァリアントに合流していることもあり、マフティーという組織の描写においては、かつての学生運動的な表現を入れていきたいという話を受けました。やっている行為で人命が失われているわけですけど、果たして彼らは本当にそれを自覚しているのか?という部分ですね。
――そこの認識における甘さ、軽さというか。
小野 言い方が正しいのかはわからないですが、責任感の欠如みたいなものでしょうか。もちろん、ハサウェイは本気で世の中を変えたいと思っているけれど、その一方で、学生っぽさを見せようとしましたね。
――上田さんは、ギギを演じるにあたってどのような説明を?
上田 村瀬監督からは、ギギのひとつひとつの行動が、結果的にこの作品全体のドラマを動かすことにしたい、というような話をうかがいました。お芝居のニュアンスとしては、過剰にドラマティックなものというよりは、淡々とした印象を受ける表現のほうが多いかもしれません。ギギの内面における葛藤は、少女らしい、等身大の女性として演じるよう意識しました。
――局所的な表現からひとつの物語を描いていくような。
上田 お芝居で物語を意識しすぎても客観的な視点のものになってしまう気がしたので、そこは監督のディレクションに任せて自分なりの表現を探っていきました。
ハサウェイを納得して演じることができた
――第1章のとき、おふたりが「ハサウェイにしっくりこない」とその印象を語っていましたが、今回はハサウェイに、そしてギギにもしっくりくるところはありましたか?
小野 ハサウェイに関しては今回のほうがしっくりきましたね。第1章では外交的な面が多く描かれていて、マフティーだとバレないように行動していました。そのため、本心に対する行動と表情がすべてバラバラで。そういう細かいバランスが難しくて「なかなかしっくりこなかった」という言葉につながっていきました。ただ、今回に関してはマフティー内での活動が描かれるので、セリフと感情がきちんとつながっていることが多かったですね。
――ハサウェイ本来の人柄が見えてきたというか。
小野 そうですね、その結果、彼が壊れていくのも浮き彫りになる。演じる側としてはその心労も大きかったのですが、「わかる」感情だったので、納得して演じることができたかなと思います。
――上田さんから見たハサウェイのイメージが、第2章で変わるところはありましたか?
上田 私から見ても、第2章のほうがハサウェイの悩みがよりわかりやすく届いた印象があります。第1章のときはいろいろなことが絡まりすぎて「もや」がかかった状態というか。第2章は「肉欲」という言葉が出るように、何に悩んでいるのかが明確で、人によっては「ハサウェイ頑張れ」と応援し甲斐もあると思います。
――少なくともギギはハサウェイに惹かれている部分があるわけですから、感情移入できたのは大きかったのでは?
上田 たしかにそういう面はあるのですが、ギギは第2章のほうが難しくて(笑)。第1章のギギは、高いヒールで相手を踏みつけるような言動をとっていたように思います。だけど第2章では、そんなヒールをいったん脱いで、私は今どこを歩いていて、どんな気持ちだっけ?ということをすごく慎重にたしかめて悩んでいる。そんなギギは新鮮でしたし、その悩み方もハサウェイとはまた違って、何に悩んでいたのかを後から気づいていく感じですよね。自分が言ったことや、誰かがふと発信した言葉に影響を受けて、これが正解なんだ!と考える。そこはギギにしかない魅力でしたし、演じていて難しかった部分ですね。
――小野さんから見てギギはどのように映りましたか?
小野 第2章の彼女はひとりで行動することが多くて、そうなると自然と自分自身と向き合って対話せざるを得ないのかなと思いました。そこで若さが出てしまうというのは、ハサウェイもギギも同じかもしれないです。「このままでいいのか?」と考えてしまう。
上田 おそらく、ギギは第1章のときのハサウェイから多くの影響を受けたと思います。ハサウェイに出会っていなかったから、伯爵のもとで暮らし続けていたかもしれません。![]()
- 小野賢章
- おのけんしょう 声優、俳優、ナレーター。アニモプロデュース所属。代表作は映画『ハリー・ポッター』ハリー・ポッター役吹き替え、『黄泉のツガイ』ユル役、『黒子のバスケ』黒子テツヤ役、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』ジョルノ・ジョバァーナ役、ほか。
- 上田麗奈
- うえだれいな 声優、歌手、ナレーター。81プロデュース所属。代表作は『SSSS.GRIDMAN』新条アカネ役、『鬼滅の刃』栗花落カナヲ役、『アイドルマスター ミリオンライブ!』高坂海美役、『アオのハコ』(鹿野千夏)、『チェンソーマン レゼ篇』レゼ役、ほか。
























