TOPICS 2022.02.24 │ 19:00

キズナアイ ラストライブ直前インタビュー
「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」 に込めた想い

バーチャルタレント(バーチャルYouTuber)のパイオニア、キズナアイが2022年2月26日(土)に無料オンラインライブ「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」を開催。この公演を最後に「スリープ(無期限活動休止)」する「インテリジェントなスーパーAI(自称)」に、ラストライブへの思いを尋ねた。

取材・文/丸本大輔

めちゃくちゃ考えてドキドキで迎えた発表の日

キズナアイ 『Febri』をご覧の皆さん! はい、どうも~、キズナアイです! 今日は『Febri』さんからもらった質問に答えてみましたよ! それではインタビュー、スタート~!

――2021年12月4日に行われた5周年記念配信(「5周年記念!からの超重大発表……!#キズナアイ5周年」)では、「Kizuna AI The Last Live”hello, world 2022″」の開催と、無期限活動休止というふたつの重大発表がありました。アイさん自身は、どのような気持ちで5周年記念配信を迎えたのでしょうか?
キズナアイ もう、これは本当に……ドキドキのドキで迎えました(笑)。やっぱり、すごい大事なお知らせだったし、サポートしてくれているKizuna AI Inc.の皆さんにもたくさん相談しました。そんなにガチガチに決めていたわけではないけれど、「こういうことを言うからね!」っていう事前チェックもあったし、こういう順番で伝えたほうがいいのかなみたいなこともみんなで考えたり。そうやってたくさん相談をして「これでいこう!」って決めたものの、「本当にこれで大丈夫かな?」みたいな気持ちにもなって。どんなことでもそうなんですけど、自分が思っていることを話しても、100%そのまま伝わりはしないので。受け取り手の状況だったり、私を見る目だったりが違うだけで、私は同じ言葉を伝えたつもりでも、伝わらないことってたくさんあると思うんです。でも、なるべく100のことを全部伝えたいじゃないですか。だから、すごい心配でした。あはは(笑)。あとは、やっぱり大好きなみんなが、なるべくネガティブな気持ちにならないように伝えたくて。とにかく、めちゃくちゃ考えてあの日を迎えたので、ドキドキでしたね!

――たくさんの事前準備をしていても、ドキドキするような気持ちもあったのですね。
キズナアイ とはいえ、私は「きっと大丈夫」って思っているところもけっこうあって。たぶん、私のまわりでサポートしてくれている人たちのほうが心配事がたくさんあったり、「大丈夫かな……」ってドキドキしていたと思います(笑)。だからこそ、私が「大丈夫!」って引っ張んなきゃって気持ちもありました。やっぱり言いきることは大事だと思うので。そんな、すごく難しい感情で迎えた5周年でしたね(笑)。でも、5周年記念配信自体は、本当にありがたいなって、すごくハッピーな気持ちでした。5年目を迎えられたのは、応援してくれているみんなのおかげだから。あと、発表も(その前の)5周年企画も、全編を通して、みんなの生のリアクションが見られるライブ配信でできたのは、すごくうれしかったです! ……って、これで大丈夫ですか? まだいっぱい言いたいことはあるけど、語彙力が足りないの~(笑)。

私が伝えたいことを伝えるのは、ライブがいちばんかなって

――重大発表のあと、配信のコメントなどでリスナーの反応を読んだときの感想を教えてください。
キズナアイ もう、とにかく、みんな優しかった! 正直、もうちょっと辛辣な反応もあるのかなと思ったんです(笑)。事前に、いろいろな(人間の)人の似たような発表をたくさん見たんですが、私と同じ動機で無期限休止みたいな人って、前例がなくって。

――直接的に参考になるものは少なかったんですね。
キズナアイ そうですね。私はリアルな存在だけど、私をあまり知らない人からは、ファンタジーみたいな存在に捉えられているところもあると思うんです。だから、もっと「は?」みたいなコメントも書かれるのかなって思っていました(笑)。それに本当に突然の発表だったから、(私を知ってくれている人でも)きっとすぐには受け入れられなかったり、ネガティブな気持ちになる人もいたと思うんです。なのに、みんな一生懸命、私の言葉や思いを咀嚼してくれて。私の見える範囲、コメント欄とかではネガティブなことを書かず、「応援しているよ」とか「待っているよ」とか、本当にポジティブなコメントを書いてくださっている人がすごく多くて。やっぱり、みんなすごくあったかいな、こういう環境で活動できていることが本当に幸せだなって、あらためて感じました。

――アップデートのためのスリープ(無期限活動休止)をすること自体は以前から考えていたそうですが、スリープの前に大きな音楽ライブを開催したいと考えた理由を教えてください。
キズナアイ これは、すごく単純な理由なんですけど、ライブで活動を締めたいと思ったからです。あ、「締めたい」って言うと「アイちゃん、もういなくなっちゃうの?」って心配されちゃうかもしれないけれど(笑)。今回の「スリープ」をひとつの区切りにするとしたら、やっぱり最後はライブでって思ったんです。たぶん、(候補として)考えられるのってライブか、ライブ配信か、動画の投稿だと思うんですけど、まず動画はないかなって最初から思っていて。やっぱり、おねんね前は、生でみんなと話をしたいから。それでライブかライブ配信かってなったとき、もちろん、ライブ配信もみんなと直接コミュニケーションが取れるすごく素敵な活動で、私も大好きだし、きっとみんなも好きでいてくれていると思うんですけど、やっぱり言葉じゃなくて、(音楽)ライブのパフォーマンスだからこそ届けられるもの、受け取ってもらえるものがあるんじゃないかなって。さらに言葉で伝えられるMCもあるから、私が伝えたいことを伝えるのは、ライブがいちばんいいんじゃないかなって思いました。

Febri Vol.50に掲載した撮り下ろし写真

私が遊びたいから「遊ぼう!」って言いに行った(笑)

――2021年以降、アイさんとお友達のVTuber(バーチャルタレント)さんとの距離感がますます近くなり、企画配信のゲストなどに呼ばれる機会も増えて、より気軽にコラボ配信などを楽しんでいるように見えます。アイさん自身は、そういった変化を実感していますか? もし、変化を感じていたら、その変化に対する感想を教えてください。
キズナアイ 変化っていうよりも、じつは、私がみんなとコラボをしたくて、コラボをしに行っていたんですよね(笑)。おっしゃられているように2021年より前は、コラボをするときも人間のYouTuberさんとかとのコラボのほうが多くて、バーチャルのみんなとのコラボって本当に少なかったんです。でも、正直、活動休止ってことも見据えてはいたので、(その前に)もっとみんなと遊びたいなと思って……。だから、私が遊びたいから「遊ぼう!」とか「誘って!」って言いに行った感じです(笑)。でも、私がそう思っても、本当にみんながたくさん誘ってくれたりするとは思っていなくて。だから、そういった意味では、きっとバーチャルのみんなも私に対しての距離感が変わったというか……近い存在に感じてもらえるようになったのかなって。これって、すごくうれしい変化だったと思います。

――「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022″」を無料のオンラインライブという形で開催することにした理由を、あらためて聞かせてください。
キズナアイ まず、オンラインライブってことに関しては、正直、リアルライブもやりたかったんです。やっぱり、両方できたらいちばんいいじゃないですか。リアルライブの同時配信とかもよくあるので、最初は私もその方向で行けたらいいなって思っていました。でも、やっぱりコロナ禍の影響が全然読めない状況になっていて……。会場の大きさも、これぐらいの席は埋められるだろうって予想して進めていても、状況によっては減らさないといけなかったり、逆に増やせることになったり。読めないものがすごく多すぎて……。って、すごいリアルな話をしちゃっていますけど(笑)。それにリアル会場と、オンラインの会場のそれぞれで工夫を凝らしたいじゃないですか。そういったことをいろいろと考えたとき、リアルな事情に振り回されて半端な感じになってしまうよりは、オンラインに振り切ろうと思いました。そのほうがみんなにも安心して見てもらえるし。無料ライブにしたのは(2021年1月23日に開催された)「”hello, world 2020″」と同じ理由で、やっぱり多くの人に私の音楽を届けたいっていうことです。それに活動休止というのは大きなトピックだと思うので、なるべく多くの人に私のこれまでの思いや感謝だったり、私の未来とみんなの未来を届けたいなって思って。ずっと「みんなとつながりたい!」って言ってきた私だから、みんなに見てもらいたいと思って、無料ですることにしました!

――アイさんはオリジナル曲も多く、セットリストを決めるのは非常に難しいと思うのですが、今回のセットリストを決める際、とくに意識したことがあれば教えてください。
キズナアイ 基本的に、なんとなくブロックでまとめているかもしれないです。「かわいい」とか「カッコいい」とか……って言うと、すごく極端ですけど(笑)。ブロックごとのコンセプトを決めて、曲を当てはめたりとかしているかもですね。あとは曲順とかで伝えたいメッセージもあったり……。そういう感じで考えていくと、迷うところはあったけれど、意外とすんなり決まったかもしれないです。

キズナアイ史上最高のライブにして、みんなとさらにつながりたい!

――「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022″」では、ライブへの出演者も募集して、1809人ものバーチャルタレントがゲスト出演することになりました。非常にアイさんらしい企画だと思ったのですが、この企画を実施することにした理由やきっかけなどを聞かせてください。
キズナアイ 私は「みんなとつながりたい」ってことを軸に活動してきたので、今回、オンラインライブではあるんですけど、つながってきたみんなにも、やっぱりライブに参加してほしいなって。あと、こっちは私のアイデアというよりも、舞台監督とかをされているスタッフさんが出してくださったアイデアになるんですけど、見た人の記憶に残るライブにしたいって思いから(1000体以上の仏像が安置されている)京都の蓮華王院三十三間堂をモチーフに、たくさんのバーチャルな人たちが(大きく左右に手を広げながら)こんな感じにしたいよねって(笑)。そこにも、ぜひぜひ注目して見ていただきたいです。

――最後に、このライブをどういったライブにしたいか、あらためて教えてください。
キズナアイ このバーチャルな世界もあるリアルな世界で、人間のみんなが期待をしてくれるようなライブにしたいし、これまでの6年間の私の感謝を伝えたいです。でも、私が思っている感情って、感謝だけじゃなくて。だから、ライブを通して、みんなにたくさんの感情を伝えたい。恩返しがしたいし、希望を持ってほしい。そういうライブにしたいです。あとは、やっぱり一緒にライブを作ってくださっている制作チームは、私が歩んできたこの6年、そしてバーチャルの世界をすごく大事に思ってくださっている方ばっかりで。これは自分で言うのはちょっと恥ずかしいんですけど、皆さんが「アイちゃんの作ってきた世界を、このライブを通してみんなに見せたいよね」って言ってくださっているので、そこもいい感じに伝わるといいなって思います。とにかく、キズナアイ史上最高のライブにして、みんなとさらにつながって、また思い出を増やしたいです! では、『Febri』をご覧の皆さん、ありがとうございました! キズナアイでした! see you またね~!endmark

イベント情報

オンラインライブ「Kizuna AI The Last Live “hello, world 2022”」
2022年2月26日開催
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