TOPICS 2023.06.23 │ 18:00

『マッシュル-MASHLE-』リレーインタビュー⑥
シリーズ構成・黒田洋介

個性豊かなキャラクターたちの友情や戦い、シュールなギャグが魅力のTVアニメ『マッシュル-MASHLE-』。本作のキャスト&スタッフによるリレーインタビューの第6回では、シリーズ構成として全話の脚本を担当した黒田洋介が登場。黒田から見た本作の魅力は? また、アニメ化する際に意識したこととは? 印象的だったエピソードやキャラクターとあわせて語ってもらった。

取材・文/千葉研一

脚本の依頼がきたとき、即答で引き受けた

――原作を読んだときの第一印象と、面白いと思ったところを教えてください。
黒田 初めて原作を読んだときには「主人公(マッシュ)がとてもいいキャラクターだ」と感じました。朴訥としていて、不器用で、シュークリームに夢中で、魔法が使えないのにどんな危機的状況でもパワーですべてを覆す。読んでいて胸がスカッとする彼の「痛快さ」が、僕の好みにジャスト・フィットしたんです。ですので、アニメ化が決定し、脚本の依頼がきたときは素直にうれしいと感じましたし、即答でお引き受けしました。

――原作の魅力をアニメで表現するために脚本で意識したことや、監督やプロデューサーとのやりとりで印象に残っていることを教えてください。
黒田 プロデューサー側からのオーダーでもありますが、「原作を最大限にリスペクトする」というスタンスで脚本に臨みました。ですので、脚本打ち合わせで「大きな揉め事」などはいっさいなかったと思います。脚本を書くうえで気をつけたのは、「キャラクターの移動線や立ち位置」を明確化することくらいです。個人的には、集英社の担当編集者様が僕の脚本をすごく褒めてくれたので、恐縮しつつも高揚して作業ができたのがうれしかったです。僕は「褒められて伸びる子」なんです(笑)。

――書いていて楽しかった、あるいは意外に感じたなど、印象に残っているキャラクターは誰でしょうか?
黒田 もちろん、マッシュ・バーンデッドがいちばんであることは間違いないのですが、脚本家として言わせてもらえばフィン・エイムズです。理由は「どんな不条理なギャグでも現実に戻す常識性」があるから。マッシュやレモン、ドットの破天荒な行動に「的確なツッコミ」を入れてくれる……僕が付け足したギャグでも、フィンがツッコミを入れてくれれば『マッシュル-MASHLE-』らしくなる。脚本を構築していくうえで、とてもとてもありがたい存在でした。

マッシュには「強い男」への憧憬と妄想をぶつけた

――放送された話数の中で、思い出深いシーンやセリフを教えてください。
黒田 第9話「マッシュ・バーンデッドと加速の魔法使い」が、原作から大好きなので気合を入れて脚本を書きました。マッシュがアビス・レイザーに言う「君の目がどんなにこの世界で望まれてないものでも、それが理由でまわりから何と言われようとも、僕の君に対する態度は、変わらないよ」というセリフが大好きです。

――終盤の見どころや、注目してほしいところはどこでしょうか? また、苦心したところがあれば教えてください。
黒田 シリーズに関しては、最初に「最終回までをこうやって作る」という構成案を出し、スタッフの総意を受けて脚本を書き始めたので、あまり苦労はありませんでした。もちろん、各話でさまざまな修正はありますけど、自分ひとりで脚本を担当しているので、クイックに対応できたと思っています。終盤の見どころは、回を追うごとに苛烈になっていく「バトル」です。でも、その合間合間に「ほっこり」するシーンが僕は好きです。バトルもギャグも楽しんでいただければ幸いです。

――最後に、筋トレや筋肉に関する思い出はありますか?
黒田 ひょろひょろの「もやしっ子」だったので、筋肉はあったのかどうかすらわかりません(笑)。どっぷりとオタクになった瞬間から体育の成績も急降下し「キンニク? ナニソレ? タベラレマスカ? オイシイデスカ?」というような状況にまで堕落してしまいました。でも、格闘技やスポーツ番組を見るのは大好きなんです。僕の中にある「強い男」への憧憬と妄想をマッシュにぶつけさせていただきました。endmark

黒田洋介
くろだようすけ 1968年生まれ、三重県出身。脚本家。有限会社スタジオオルフェ取締役。雑誌編集者、ライターを経て『天地無用!魎皇鬼』で脚本家としてデビュー。主な参加作品は『僕のヒーローアカデミア』『ガンダムビルドファイターズ』『機動戦士ガンダム00』など。
作品情報


『マッシュル-MASHLE-』
TOKYO MX他にて毎週金曜24時00分より放送中!

  • ©甲本 一/集英社・マッシュル製作委員会