キャラクターの日常や人間関係はアニメにまかせている
――アニメのライブシーンはどのように作っているのでしょうか?
加藤 楽曲はアニメのものなので、曲に合わせてステージを作っていく流れです。衣装や小物などの素材はゲーム側で用意するのですが、そのまま再現するのが難しいシークエンス、たとえば、ゲームではコインを投入すると妖精さんが衣装を持ってきてくれる「フロートタイム」の見せ方などは、アニメではそのまま導入できないと思うのでライブ演出の小林(浩輔)監督にアレンジしてもらっています。いちおう事前に絵コンテは見せてもらっているのですが、チェックというほど厳格に見ているわけではないですね。ゲームにはゲームに最適の展開があり、アニメにはアニメなりの尺感がありますから。構造さえ共有されていれば、いい感じの連携になると思っています。
――アニメのライブシーンのモーションデータはゲームと同じものなのでしょうか?
加藤 プレイアブルとして選べるまつり、ひな、れもん、あまねなどのキャラクターソングはゲームとアニメで同じモーションデータを使っています。タツノコプロさんが用意してくれるモーションデータはとても高品質です。
――アニメではジェニファーがまつりたちの合宿に参加するタイミングで、ゲームでも3月中の限定プレイアブルになっていますが、スケジュールのすり合わせは厳密にしているのでしょうか?
加藤 そこまでがっちりと合わせているわけではないです。「なんとなくシンクロしている」くらいの雰囲気ですね。ゲームとアニメの関わりでいうと、アニメで掘り下げられるキャラクターのパーソナルな部分については基本的におまかせなので、毎週オンエアが楽しみです。ビジュアルはこちらで起こして、ひなは「イケてるポップなキャラクター」とか、れもんは「ゴスロリチック」といった方向性は設定していますし、ステージやコーデのデザインもゲーム側で用意していますが、キャラクターの日常や人間関係はアニメの方々に自由に作ってもらっています。
「ま・つ・り」は不発だった……
――これまでのイリュージョン演出でとくに印象に残っているものはありますか?
加藤 アニメの第2話で使われたまつりのイリュージョンが「ときめき!マジでつながるリーチLOVEハート」という名前で、これは頭文字をとると「ま・つ・り」になるんです。ところが誰も気づいてくれなくて……。悔しくて第13話で「ときめきワッチャ!マジなつばさリアルにフライハイ」を出したんですが、これも空振りで。よほどスベッているんだなと(苦笑)。
――なるほど、では、次こそは注目ということで。
加藤 もうこのシリーズはやめました。だから今後登場するイリュージョンには「ま・つ・り」は入っていません!(笑)
――(笑)。逆にアニメで「うまくいった」と思ったものは?
加藤 れもんの「迷宮マイセルフアイデンティティガール」(第9話)はうまくいきましたね。彼女はゲームが好きなので、ゲームのドットのようなものをまき散らして、それが自分を守る鳥籠になって、壊したり守ったりするイリュージョンなんです。れもんのライブの心境と重なってよかったです。
――この記事が出る頃にはオンエアされている5人のイリュージョンも印象的です。
加藤 5人のイリュージョン「私たち!最高3150プリマジスタ!」は最初「サイコープリマジスタ」だったんですが、それだと弱いかなと思って、大事なことなので2回言ってもらいました(笑)。それでも少し不安で、キャストの方に「足りますか?」と聞いたんです。そこで「大丈夫だと思います」と言ってもらって、じゃあ大丈夫だろうと。それぞれのイリュージョンが総結集しているだけあって、楽しい作りですね。
アニメの歴代スタッフがゲームにも協力してくれている
――「プリティーシリーズ」はこれまでいろいろな監督が携わってきましたが、小林監督はどのような方でしょうか?
加藤 熱い男ですよ。何かをお願いすると「やるぜ!」と意気に感じてやってくれます。お名前は知りつつも、仕事でかかわったのは初めてだったのですが、ファイターという感じです。ゲーム内のライブも、小林監督が絵コンテを描いてくれることがあります。あと『プリパラ』のときからずっと菱田(正和)さんにお願いしていて、『プリマジ』でもガンガン描いてもらっています。たまに京極(尚彦)さんが「今、手が空いてますよ」と言ってやってくれたり。アニメの歴代スタッフがゲームも手伝ってくれているんです。
――この12年間を振り返って、どのように感じますか?
加藤 この間に結婚もして、子供も生まれました。長く続くシリーズに携わることができてよかったです。とくにアニメ関係の方と知り合えて、ものづくりの極意というか、熱を学ばせてもらっていますね。
――お子さんが生まれたタイミングで、子供向け作品に携われるのは幸運ですよね。
加藤 ゲームを遊んでもらうとわかるんですが、カードを印刷する待ち時間に「コーデメイツ」という、妖精さんをタッチできるミニゲームがあるんです。こんな単純で楽しい遊びは、子供がいないと考えつかなかったですね。
- 加藤大典
- かとうだいすけ 1978年生まれ。愛知県出身。株式会社シンソフィア所属のゲームプロデューサー。『プリティーリズム』から始まるシリーズすべてに参加し、『プリティーリズム』の「プリズムジャンプ」や『プリパラ』の「メイキングドラマ」、『キラッとプリ☆チャン』の「やってみた!」などの演出を手がけている。
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収録内容/TVアニメ『ワッチャプリマジ!』第1話~12話
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