TOPICS 2022.04.19 │ 12:30

『シン・ウルトラマン』を見る前に知っておきたい『ウルトラマン』のキホン①

第1回 イラストでわかる『ウルトラマン』の基礎知識

『エヴァンゲリオン』や『シン・ゴジラ』を送り出した、庵野秀明氏と樋口真嗣氏の最強タッグによる最新作『シン・ウルトラマン』。2大巨匠が描くまったく新しいヒーロー像は如何(いか)なるものなのでしょうか? 若いアニメファンも興味津々のはず。でも、そもそも『ウルトラマン』ってどんな話? 宇宙から来た巨大ヒーローってことは知っているけど? そんなあなたに初代『ウルトラマン』についての疑問にお答えいたします。

文/木川明彦(GENET) イラスト/近藤ゆたか

Q:ウルトラマンは、どうして地球を守ってくれるの?

A:ウルトラマンは宇宙人です。出身地は地球から300万光年離れたM78(えむななじゅうはち)星雲内の「光の国」(『ウルトラの星』とも呼ばれます)。宇宙全体の平和を守る組織・宇宙警備隊の一員。けれども、ウルトラマンは最初から地球防衛のためにやって来たのではありません。

当初のウルトラマンの任務は、悪魔のような宇宙怪獣ベムラーを宇宙の墓場に護送することでした。けれども、ウルトラマンは護送中のベムラーにまんまと逃げられてしまいます。ベムラーは青い球体、ウルトラマンは赤い球体になって猛追跡を開始。ふたつの球体は、そのまま地球までやって来ました。パトロール中だった地球の組織・科学特捜隊(通称・科特隊)のビートル機は、このチェイスに巻き込まれ、ウルトラマンの赤い球体に激突。ビートル機は墜落炎上し、搭乗していたハヤタ隊員も命を落とすことになってしまいました。ウルトラマンは、ほぼ死んでいる状態のハヤタ隊員に自らの命を与え、地球のために働きたいと申し出ます。ハヤタに選択の余地はなく、なかば強引にウルトラマンと一心同体になることによって、奇跡の復活を遂げます。その後、姿を現したベムラーを前に、ハヤタはウルトラマンに変身。必殺のスペシウム光線によって宇宙の悪魔を退治するのでした。以降、ウルトラマンはハヤタを生かし続けるためもあり、地球に留まることを選びます。そして、平和を脅かす怪獣や宇宙人と戦い続けることになるのです。

ということで、ウルトラマンは地球防衛のためにやって来たのではなく、アクシデントで死なせてしまったハヤタを救うために地球に留まったのです。地球を守ることになるきっかけが、自らの罪滅ぼしだった、ということになります。ちなみに、宇宙警備隊で地球防衛のために着任したのは『帰ってきたウルトラマン』ことウルトラマンジャックからになります。おそらくウルトラマンの地球における報告が、彼らに防衛すべき美しい惑星と認識させたのかも知れませんね。

余談ですが、「ウルトラマン」の名付け親はハヤタ隊員です。当初、ウルトラマンは自分自身のことを「M78星雲の宇宙人」としか名乗りません。なので、ベムラーを倒し、自らを救ってくれた巨大宇宙人をハヤタは「彼」と呼ぶしかありませんでした。けれども、科特隊の仲間は納得せず、「名無しの権兵衛なんてあるもんか」と問い詰めます。咄嗟にハヤタは「ウルトラマン」と名付けます。「それはウルトラにイイ!」と仲間にも了承され、以降、「ウルトラマン」は地球を守る光の巨人の呼び名となったのです。

Q:ウルトラの父、ウルトラの母、ウルトラ兄弟……ウルトラマンの家族構成って、どうなっているんですか?

A:ウルトラマン本人から見て、ウルトラ兄弟もウルトラの父と母も、じつは本当の家族ではありません。そもそも「ウルトラ兄弟」は、宇宙警備隊の中でも最強レベルのエリートに捧げられる称号のようなものなのです。有名なのは、宇宙警備隊隊長ゾフィーを筆頭に、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、A(エース)、タロウで構成される「ウルトラ6兄弟」。いずれも地球防衛に尽力し、数々の怪獣・宇宙人と闘った猛者(もさ)ばかりです。一応、年功序列になっており、後輩は先輩を「兄さん」と慕い、先輩は後輩を弟のようにかわいがっています。ゆえに、誰かひとりがピンチに陥れば、兄弟が助っ人に駆けつけるのです。

同じく、ウルトラの父と母も、兄弟の実母ではありません。物語に登場したことはありませんが、ウルトラマン自身にもウルトラ兄弟たちにも、それぞれ両親が存在すると思われます。ウルトラの父(本名:ウルトラマンケン)は、かつて宇宙を震撼させた大戦争(『ウルトラ大戦争』と呼ばれ、シリーズ中でもたびたび語られます)を平定し、宇宙警備隊発足の足がかりを作った英雄です。その後、宇宙警備隊の隊長を務め、現在は最高司令官にして名誉称号・大隊長に就任しています。その強さと寛大な人柄から、兄弟はもとより、多くの戦士から「父」と慕われているのです。

ウルトラの母(本名:ウルトラウーマンマリー)は、宇宙警備隊をはじめとするウルトラヒーローの救援、治療を担当するメディカルスタッフ「銀十字軍」の隊長です。その慈愛と優しさから、やはり「母」と慕われています。ウルトラの父と母は夫婦で、先の大戦争で負傷した父を母が献身的に看護したことが、なれそめとも言われています。

ちなみにウルトラ兄弟の6番目・ウルトラマンタロウは、ウルトラの父と母の実子です。最近の作品ではウルトラセブンの息子・ウルトラマンゼロ、ウルトラマンタロウの息子・ウルトラマンタイガが登場し、ファミリー路線が今でも人気なことがうかがえます(個人的にはウルトラの父と母が祖父、祖母になってしまったのは少々ショックでもありますが……)。

Q:ウルトラマンの胸に付いている「カラータイマー」って何ですか?

A:カラータイマーは、ウルトラマンの活動エネルギーの残量を示すバロメーターです。ウルトラマンのパワーの源、それは太陽エネルギーです。ウルトラマンの故郷・光の国では、プラズマスパークと呼ばれる人工太陽が存在し、そこから発せられる強烈なエネルギーによってウルトラマンも本来の姿を維持しています。けれども、環境の違う惑星では得られる太陽エネルギーの質や量も異なります。地球はウルトラマンにとって太陽エネルギーが微弱であり、その肉体を維持できるのは約3分間となっています(ウルトラヒーローによって個人差あり)。エネルギーが限界に近づくと、普段は青色のタイマーが赤に変わり、警告音とともに点滅を開始します。さらにエネルギーが減少すると、明滅と音が速くなっていきます。もし、カラータイマーが消えてしまったら、ウルトラマンは立ち上がる力を失ってしまいます。つまり、カラータイマーの点滅は、ウルトラマンのピンチサインでもあるのです。第1話で、カラータイマーの明滅を目撃した科学特捜隊のイデ隊員は「赤ランプは万国共通」と早くもその本質を見抜いています。さらに、明滅が早くなると「だいぶ慌てているようですよ。だんだんチカチカが早くなってきた!」とウルトラマンの危急を察しています。

さらにカラータイマーはウルトラマンの命の源であり、ここを破壊されることは死を意味します。最終回に登場した強敵ゼットンは、ウルトラマンのスペシウム光線を吸収、反射させ、カラータイマーに命中、破壊してしまいます。これによって、ウルトラマンはタイムリミット前に力尽き、倒れ伏してしまうのです。これは、当初よりウルトラマンの撃滅を目的としていたゼットン星人の計略であったと思われます。この事態により、以降のシリーズでは、カラータイマーはウルトラヒーローのウィークポイントと判明し、露骨に狙ってくる敵も出てくるのです。

不思議なのは、ゼットン以前にカラータイマーを狙ってくる敵が皆無だったことです。あれだけチカチカと音を立てて点滅しているにもかかわらず、対戦する怪獣・宇宙人は、興味すらもたないのです。ちょいと鋭い角でひと突きできれば、一発逆転も可能だったのに……。タイマーの音は通常の怪獣の可聴域を超えていたのかもしれませんね。

近日公開の『シン・ウルトラマン』に登場するウルトラマンにはカラータイマーがなく、当初よりファンの間で話題になっています。どんな活躍を見せてくれるのでしょうか? 今から楽しみですね。endmark

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