わがまま放題にリクエストしました(笑)
――しぐれさんは5月18日にVTuberデビュー3周年を迎えましたが、4年目の活動が始まってすぐアルバム発売、イベント開催と大きな出来事が続きます。それぞれ、どのような経緯で発売や開催が決まったのですか?
しぐれ 以前、『SPOTLIGHT』というVTuberのコンピレーションアルバムに参加させていただいたのですが、そのときお世話になった(制作元の)インクストゥエンターさんから「アルバムを出しませんか」というお話をいただいたんです。ひとりでいっぱい歌うことになるのかと思ったのですが、お世話になった制作陣の皆さんとまたお仕事をするのは楽しそうだったので、お引き受けしました。その後、「誕生日近くにイベントもやりましょう」と言っていただいたんです。そのときも、面白そうなので軽い気持ちでお引き受けしました。
Jacket Illustration by しぐれうい/Jacket Designed by 藤宮藍
――アルバム『まだ雨はやまない』には、オリジナル曲が5曲とカバー曲が7曲収録されています。アルバムを制作するにあたって、何かリクエストしたことはあるのでしょうか?
しぐれ 何かリクエストしたどころか、わがまま放題にリクエストしました(笑)。曲や詞を作っていただきたい方の候補もお伝えしましたし、パッケージをお願いしたいデザイナーさんもリクエストしました。依頼する際はそれぞれの方と打ち合わせもさせていただいて、あなたの曲のこういうところがとても好きなので、こういう要素を入れていただきたいですとか、歌詞はこういう雰囲気にしてほしいですといったことをお伝えしました。
――では、作詞がこだまさおりさん、作曲が田中秀和さんという大ヒットメーカーコンビによる1曲目『シンカケイスケッチ』に関しては、どういったオーダーを伝えたのですか?
しぐれ 田中秀和さんは、好きな曲がありすぎるんですけど、今回はアップテンポで楽しくかわいい雰囲気の曲でとお伝えしました。あと、学校をモチーフにした音作りをしてくださいともお伝えしたら、本当にイメージにぴったりの曲が来て。音だけで、こんなにイメージを拾っていただけるんだなと驚きました。
――作詞のこだまさんには、どのようなオーダーを伝えたのですか?
しぐれ 私がイラスト以外の活動をすると、たまに「絵描きは絵だけ描いていてほしい」みたいな「怒られ」が発生することがあるんです。でも、私は何かの枠にとらわれず、好きなことや楽しいことなら何でも挑戦するクリエイターでありたい。だから、私のことを型にはめるのではなく、できたら一緒に楽しんでくれるとうれしい、みたいなニュアンスの歌詞を作っていただきたいとお伝えしたら、あんなにポップでかわいい歌詞になりました。
IOSYSさんにお願いするなら絶対に電波曲
――やしきんさん作詞作曲の『放課後マーメイド』に関しては、どのようなオーダーを伝えたのですか?
しぐれ 学校にいるお絵かきが好きな女の子というイメージだけお伝えして。あとは、やしきんさん節をガンガン出してくださいとお願いしました。
――やしきんさんらしい楽しいリズムの曲ですが、歌うのは難しそうな曲でもあります。
しぐれ たしかに難しかったのですが、レコーディングまでにしっかり聴き込んで、楽しく歌わせていただきました。この曲にも雨のモチーフを入れていただいているんですけど、水溜りの近くでスキップするような明るくて楽しい曲だったので、そういった感覚で歌っています。
――雨は、どちらかといえばネガティブな印象のモチーフなのかなと思うのですが、しぐれさんの中ではどのような印象があるのですか?
しぐれ ポジティブとネガティブの両方の印象があります。じつはオリジナル曲はすべて、裏テーマとして雨の要素を入れてほしいとお願いしているんです。そのときの雨に対するイメージは、ポジティブでもネガティブでも、どちらでも大丈夫ですとお伝えしました。
Illustration by しぐれうい
――オリジナル曲の3曲目は『粛聖!! ロリ神レクイエム☆』です。IOSYSさんらしい楽しい電波曲ですが、どういったオーダーから生まれた曲なのでしょうか?
しぐれ 私は古(いにしえ)のインターネットオタクなので、IOSYSさんにお願いするなら絶対に電波曲がいいと思っていました。ただ、私自身に電波要素はないので「近場にいたロリ」にどんな曲が欲しいか聞いてみたところ、ロリコンを粛正するような曲がいいと言っていたので、そのままIOSYSさんにお伝えしたら、ああいう曲になりました(笑)。
――近場にいたロリ? ああ、しぐれさんの配信でごく稀(まれ)に登場し、一部のリスナーから熱烈に支持されている「ロリういちゃん」のオーダーで作られた曲なのですね。ロリコンに対して攻撃的な歌詞になっている理由がわかりました。
しぐれ 最初にいただいた歌詞はもっと厳しい内容で、こんなもんじゃなかったんです(笑)。コンクリートで殴るくらい痛そうな歌詞を「すごく面白いんですけど……」って相談して、豆腐ぐらい柔らかい表現にしていただいたのが今の歌詞です(笑)。
『もうそう♡えくすぷれす』は、リベンジの気持ちで入れました
――Junkyさんの『rainy lady』は、これまでの3曲とは印象がガラッと違いますね。
しぐれ 基本的にオリジナル曲には、私の内面や「しぐれうい」の要素を入れてもらっているんですけれど、Junkyさんにはその要素を入れるのではなく、私の声質にいちばん合う曲をお願いしたいとお伝えしたんです。あと、私は以前からJunkyさんの切ない青春物の曲が好きだったので、そういう方向性でお願いしました。
――5曲目のオリジナル曲で、アルバムでもインストを除くと最後に収録されている『Pris-Magic!」についても教えてください。
しぐれ ちょっと恥ずかしいので説明するつもりはなかったんですけど、これは私の娘、大空スバルに宛(あ)てた曲なんです。
――しぐれさんが公式イラストレーターを担当しているホロライブの大人気VTuber大空スバルさんへの思いが込められた曲だったのですか。VTuberとしての活動を始めたのも「かあちゃん」と慕ってくれるスバルさんがきっかけだったそうですね。
しぐれ 私がスバルに対して思っていることや、感謝したい気持ちとかをいっぱい書き出して、(作詞・作曲の)烏屋茶房さんに「こんな感じでお願いします」ってお渡ししました。そうしたら、雨が好きな私と、元気で太陽のようなスバルのふたりが重なって化学反応が起きるみたいな曲にしていただけました。
――7曲収録されているカバー曲もご自身で選曲したそうですね。それぞれ、選曲理由を教えてください。
しぐれ 『もうそう♡えくすぷれす』は、1回配信で歌ったことがあるのですが、そのときのリベンジの気持ちで入れました。『寝・逃・げでリセット!』は、古のインターネットオタクとして、ぜひ入れたかったんです。『インドア系ならトラックメイカー』は、以前に(VTuberで)友達の犬山たまきが「しぐれういの初めての歌ってみたはこれにしろ」と言っていたことを思い出して歌いました(笑)。『ルル』も、犬山たまきが「やくしまるえつこさんの曲は絶対に合うから歌って」と言ってくれて、私もやくしまるさんが大好きだから歌いたいなと思ったんです。『夕立のりぼん』は『SPOTLIGHT(vol.2)』からの再録なのですが、みきとPさんの曲が大好きだし、アルバムのテーマでもある雨要素のある曲として入れさせていただきました。『花ざかりWeekend✿』は単純に大好きな曲だし、『プラチナジェット』も『SHIROBAKO』という大好きなアニメの主題歌でどうしても入れたいなと思いました。
■CD
『まだ雨はやまない』
2022.5.25 RELEASE
価格/3,800円(税込)
■イベント
『うい・おん・すてーじ -雨上がりの文化祭-』
開催日時
2022年5月28日(土)
OPEN 18:00 / START 19:00
場所
ヒューリックホール東京
(リアル会場チケットはソールドアウト)
ゲスト
舞元啓介・大空スバル・角巻わため
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