Febri TALK 2021.09.10 │ 12:00

亜咲花 アニソンアーティスト

③『マクロスF』の曲を聞いて、アニソンの面白さを知った

インタビュー連載の最終回は、亜咲花がアニソン歌手になることを決意したきっかけとなったアニメ『マクロスF』。菅野よう子の楽曲、なかでもシェリル・ノームの歌唱を担当したMay’nの存在が、亜咲花の将来のスタンスを決めたと語る。

取材・文/森 樹 撮影/飯本貴子

※新型コロナウイルス感染予防対策をとって撮影しています。

「ライオン」という曲の愛の深さは『マクロスF』の世界の深さとつながっている

――人生を変えたアニメの3本目は、アニソン歌手になるきっかけとなった『マクロスF』です。
亜咲花 この作品は、May’nさんソロバージョンの「ライオン」をきっかけに知りました。当時、カラオケ大会によく出場していて、ほかの参加者が何度か歌っているのを聞いたんです。それでどんな曲か調べていくうちに、作品についても知りました。May’nさんの歌は、シェリルのキャラクター性もちゃんと伝わるのに、本人のアーティスト性もしっかりあって「これくらい、作品を背負うアーティストになりたい」と思ったんです。それまでは、アニソンはあくまで「作品に登場する歌」くらいの認識だったのですが、『マクロスF』の曲を聞いて、そんなアニソンの奥深さを知りました。

――『マクロスF』はSFもので、しかも戦闘時に歌姫が歌うという特殊な光景だったと思います。作品のどこに魅力を感じましたか?
亜咲花 歌に関していえば、作品のテーマのひとつが三角関係だったりするので、歌詞ひとつとってもものすごく深い愛が描かれていますよね。内容も『劇場版 マクロスF 恋離飛翼 〜サヨナラノツバサ〜』が公開されて10年以上経った今でも、キャラの関係性や結末について考えさせられる作品だと思います。満場一致で「良かったね~」という終わりではなく、「あれはどうだったのか」と内容について言い合えるというか。「ライオン」という曲の愛の深さは、そうした『マクロスF』の世界の深さとつながっているように思います。

――三角関係でいうと、ランカ派とシェリル派に分かれていました。
亜咲花 私はずっとシェリル派でした。第20話でシェリルが「真空のダイアモンド クレバス」という、アカペラから始まる「ダイアモンド クレバス」のアレンジバージョンを歌うんです。あそこは鳥肌が立ちましたね。ああいうふうにアニメ用の別アレンジが使われることに驚きましたし、泣きました。私は『マクロスF』の楽曲をひと通り聞いたあとでアニメを見ているので、印象的に感じるポイントも、リアルタイムで見ていた方々とは違うかもしれませんが。

――『マクロスF』では、菅野よう子さんによる楽曲が多数使われています。
亜咲花 やはり「ダイアモンド クレバス」がいちばん好きですね。作中でも重要な曲ですけど、May’nさんの生の歌を初めて聞いた楽曲でもあるので。

――ライブで見たのでしょうか?
亜咲花 いえ、NHKの『アニソンのど自慢G』という番組のゲスト審査員がMay’nさんで、そのときです。私はまだデビュー前のいち出場者で、May’nさんの前で歌声を披露することになりました。予選では「ライオン」を歌ったのですが、本番ではMay’nさんの曲じゃない、別の曲を歌いました。

――本人の前では歌うのは難しいですよね。
亜咲花 緊張しちゃって……。でも、「自分がアニソン歌手としてデビューしたら、May’nさんの前でシェリルの曲を披露するぞ」と思っていたのも事実です。その番組でも「May’nさんのような歌手になりたいです!」と伝えることができて。

――そのあと、実際にMay’nさんの前でシェリルの曲を披露することになるんですよね。
亜咲花 そうなんです。ありがたいことに、May’nさんとはデビュー後に交流を持つことができて、食事の席か何かで「20歳のバースデーライブで『ダイアモンド クレバス』をカバーするんです」と報告したら「見に行きたい!」とおっしゃってくださって。本人の前で歌うときは、人生でいちばん緊張しましたね。夢が現実になる瞬間だったので。

――亜咲花さんはアニメの主題歌を歌う際、作品ごとにそのバランスが変わったりはしますか?
亜咲花 そうですね。たとえば、『ひぐらしのなく頃に 業』のOP曲「I believe what you said」であれば、自分を押し殺してでもあの世界観に合わせて不気味さやミステリアスな表現を追求しています。一方、『ゆるキャン△』のOP曲「SHINY DAYS」のような柔らかくて明るい曲だったら、亜咲花らしさというか、英語も使ってちょっとソウルフルな歌にしていますね。アニソンを歌うときは作品の世界観を大事することを第一義に考えています。

――それくらい、アニソン歌手としてのスタンスも大切にしていると。
亜咲花 私はアニソン歌手だけを目指してオーディションなどたくさん受けてきました。それだけ「アニソン」を歌うということにこだわっていたので、アニメに対するリスペクトを忘れずに今後も歌っていきたいです。endmark

※記事初出時、一部内容に誤りがございましたので、訂正してお詫び申し上げます。また、ご指摘、ありがとうございました。

KATARIBE Profile

亜咲花

亜咲花

アニソンアーティスト

あさか 愛知県出身。両親の仕事の都合で3歳から8歳までアメリカで過ごす。帰国後、17歳でCDデビュー。現在までに9枚のシングルをリリースしている。ネイティブな英語の発音とパワフルな歌唱が持ち味。名前には「亜細亜に咲く花」という意味が込められている。8月11日に2ndアルバム『Pontoon』を発売。アルバムを引っさげた東名阪ツアーの開催も決定している。

「亜咲花 2nd Tour Pontoon 〜Make a BIG WAVE!!~」
【大阪】9月24日(金)梅田クラブクアトロ
【名古屋】9月25日(土)名古屋ダイアモンドホール
【東京】10月23日(土)品川インターシティホール
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