Febri TALK 2021.09.22 │ 12:00

古関れん タレント

②ダークな作品に目覚めた
『魔法少女まどか☆マギカ』

タレント・モデルとしてマルチな活躍を続ける古関れんが選ぶアニメ3選。インタビュー連載の2回目は『魔法少女まどか☆マギカ(以下、まど☆マギ)』について。「自分でもなんでここまで惹かれるのかわからない」という不思議な心境を語る。

取材・文/岡本大介 撮影/須崎祐次

ファンタジーなのに世界の真理を暴いている

――TVシリーズは2011年の放送ですが、リアルタイムで見ていたんですか?
古関 いえ。じつは友達に誘われて、映画館で『[新編] 叛逆の物語』を見たのが最初なんです。TVシリーズの情報をまったく知らずに見たので、開始早々「マジ? 何これ?」ってなりました(笑)。入口に貼ってあったポスターの絵柄から、てっきりロリで萌えな感じかなと想像していただけに、鈍器で頭を殴られたみたいな衝撃を受けたんです。

――TVシリーズを知らずに『[新編] 叛逆の物語』を見れば、そうなりますね。
古関 映画館だから隣の友達に聞くわけにもいかなくて、かつてないほど頭をフル回転させて「どうにか理解しよう」と頑張ったのをおぼえています。でも、当然、映画を一度見ただけではよくわからなくて、どうしても気になったのでTVシリーズを見てみたっていう流れです。

――そこからハマっていったんですね。
古関 そうです。一度ではとても理解できなかったので、TVシリーズも映画も何回も見ました。どこにも救いがない気がするし、見るたびに鬱っぽくなっちゃうんですけど、それでも見ちゃう(笑)。自分でもなんでこの作品が好きなのか、いまだにはっきりとはわからないんですけど、それでも見るたびに「これはとんでもないアニメだな」って感動するんです。

――とにかく古関さんにとって衝撃的だったんですね。
古関 はい。ここまでダークな世界観の作品に触れたのは『まど☆マギ』が初めてだったんですよ。希望のないストーリー展開だったり、散りばめられているいろいろな謎だったり、キャラクターたちのドロドロとした内面のドラマなど、負の要素がグツグツと煮詰まっている感じがクセになったんですね。今ではダークな世界観や考察の捗る作品も大好きなんですけど、そのきっかけは間違いなく『まど☆マギ』です。

――ダークな本質が、キャラクターのかわいらしさや美術によってうまく隠されているのも特徴的ですよね。
古関 絵のフィルターがかかっていなかったらキツかったと思います。ものすごく凄惨でダークなシーンでも、絵がアートっぽくてキレイなので、わりとスッと見ることができるんです。ソウルジェムのデザインもかわいいですよね。当時「ラデュレ」というコスメブランドのチークがめっちゃソウルジェムっぽいと話題になって、私も買いました。アニメ公式というわけではないんですけど、たしかに似ていてかわいいんですよ。

――好きになったアニメは関連グッズも買うタイプですか?
古関 今はそうでもないんですけど、学生時代はよく買っていました。文房具やタペストリーはもちろん、ラバスト(ラバーストラップ)やアクキー(アクリルキーホルダー)が異常に好きなので、そろえていましたね。

――『まど☆マギ』で好きなキャラクターは?
古関 ほむほむ(暁美ほむら)ですね。話数が進むごとにどんどんと印象が変わっていくんですけど、最終的な彼女の正体は、ものすごく一途で熱い女の子なわけじゃないですか。これはもうたまらないです(笑)。『まど☆マギ』はほむほむに限らず、どのキャラクターにも表の顔と裏の顔があって面白いですよね。それが追い込まれることでわかったり、あとになって示されたりとさまざまですけど、そのタイミングが絶妙で、キャラクターの見せ方がうまいなって思います。諸悪の根源である憎っくきキュウべえも、最初は「お前は本当にかわいいヤツだな」って思っていましたから。

――たしかに。あれには「だまされた」と感じた人も多かったと思います。
古関 でも、一方で、これって「社会の縮図」で真理なんじゃないかと思うところもあります。魔法少女が育つことで魔女になって、その魔女を倒すためにまた新たな魔法少女が生まれるという循環は食物連鎖みたいですし、魔女になる際に生まれたエネルギーをキュウべえたちインキュベーターが利用しているということも、人間が家畜を育てているようなものですよね。そもそも願いを叶えるためには相応の代価が必要というのも当然だし。だから『まど☆マギ』は世界観こそファンタジーですけど、本質的には世界の真理を暴いている感じがするんです。

――なるほど。では、まどかが世界を救うために「概念」になるという結末についてはどう受け止めましたか?
古関 そこはあまりに壮大すぎてよくわかりません。「そっか……概念になるんや……」ってポカーンとするだけ(笑)。

――もし、古関さんがまどかの立場だったら「概念」になりますか?
古関 うーん、自分から望むかどうかは別として、別にそれならそれで構わないかなとも思います。みんなの記憶から消えて、やがては自分の意識もなくなるわけですよね。それですべてが丸く収まるなら、それもアリかなって。

――本当ですか? 意外ですね。
古関 よく「もし、明日死ぬとしたらどうする?」みたいな質問ってあるじゃないですか。私の場合は「とくに何もしない」なんですよ(笑)。死が回避できないならウダウダしても仕方ないし、自分がいなくなったあとのことはわりとどうでもいい(笑)。そもそも知りようもないですからね。

――ドライというか、現実的なんですね。
古関 そうなんですかね。でも『まど☆マギ』の場合は、ほむほむの立場になるとちょっと辛いですよね。まどかを救うために無数のチャレンジをして、その結果として相手が概念になっちゃって、その記憶を自分だけが持っているというのは、ちょっとやりきれない。自分が消えるだけならいいですけど、それによって誰かが悲しみ続けるのは、それはもちろん嫌だなって思いますね。

――なかなか難しいテーマですね。
古関 そういうことまで考えさせてくれる『まど☆マギ』は、やっぱり「とんでもないアニメ」ですよね。endmark

KATARIBE Profile

古関れん

古関れん

タレント

こせきれん 1995年生まれ。東京都出身。雑誌『CUTiE』や『CHOKiCHOKi girls』等の青文字系雑誌でカリスマ読者モデルとして活躍したのち、モデル界の論客として歯に絹着せない物言いが評価され、数々のバラエティ番組に出演。現在『ABEMA 土曜ザナイト』(毎週土曜24時~) 、TBS『中居大輔と本田翼の夜な夜なラブ子さん』(毎週木曜深夜)、Inter FM897『アソビラヂヲ/古関れんのこじらせラジオ』(毎週水曜23:00~)にレギュラー出演中。

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