Febri TALK 2021.09.20 │ 12:00

古関れん タレント

①私の代わりに青春をしてくれた
『けいおん!』

タレント・モデルとしてマルチな活躍を続ける古関れんが選ぶアニメ3選。まずは、学校生活になじめなかった彼女が強烈に憧れ、自身の青春を託した『けいおん!』についてのインタビューからスタート!

取材・文/岡本大介 撮影/須崎祐次

現実では味わえない青春を堪能 厳しい現実も苦にならなかった

――『けいおん!』の話の前に、まずは子供時代のアニメ体験から教えてください。
古関 母が出版関係の会社に勤めていて、アニメのシナリオライターをしていた関係もあり、私にとってアニメやマンガは昔からとても身近な存在でした。子供時代はおばあちゃんの家で過ごすことも多かったんですけど、そこでは「カートゥーン ネットワーク」や「アニマックス」などのアニメ専門チャンネルが見られたので、ずっとアニメを見ていました。『らんま1/2』とか、すごく好きでしたね。その後は一時期上海に住んでいたのでアニメからは遠ざかっていたんですけど、日本に戻ってきて、中学校に入ってからは一気に腐り始めました(笑)。

――きっかけは?
古関 私立の女子校だったので、「腐女子」や「薄い本」との出会いは必然だったんですよ。最初は『家庭教師ヒットマンREBORN!』の二次創作から入って、ネットでは『銀魂』の夢小説を夢中になって読んでいました。それからだんだんと幅を広げて、ポップなアニメも見るようになったんです。なかでも『らき☆すた』が好きで、「泉こなた」のハンドルネームで、よくわからないSNSで一日中チャットしまくったり。今となっては黒歴史ですけど、でも当時はそれがめちゃくちゃ楽しかったんですよね。

――なるほど。今回はその中から3作品を選んでいただきましたが、何か基準や共通点はありますか?
古関 「衝撃を受けた」というのをひとつの基準にして選びました。単純に「ハマった」とか「面白かった」ということならほかにも候補はあるんですけど、衝撃度で言えばこの3作品で間違いないかなと思います。

――わかりました。では、まずは『けいおん!』から。2009年放送ですから、古関さんは中学生ですか?

古関 中学3年生でした。『けいおん!』をひと言で表現するなら「私の代わりに青春を送ってくれた作品」です。異常なまでに感情移入しながら見ていたので、私も放課後ティータイムのメンバーだと本気で思っていました(笑)。こんな青春が送りたかったなとうらやましく思う反面、唯たちが私の代わりに青春してくれたので、リアルのほうはそれで満足しちゃったところもありますね。

――リアルの学生生活はどうだったんですか?
古関 「女子校」という点は共通しているんですけど、私の通っていた学校は中高一貫で規律もかなり厳しかったので、彼女たちのようなユルさはなかったですね。なかなかなじめなくて、それで高校は共学に移って再デビューを試みたんです(笑)。入学してまずは唯たちのように軽音部を作ろうとしたんですけど、バンドメンバーを集めるどころか、そもそも部活の作り方を聞く友達もいなくて。そうこうしていたら、ほかの部活の入部締め切りが過ぎていて、どこにも入れなくて(笑)。

――大きな誤算ですね。
古関 はい。高校生活のスタートを盛大に失敗してしまい、結局1学期で高校を辞めちゃったんです。その後は通信制の高校に通っていたので、そもそもキャンパスで青春した経験が皆無なんですよね。もしかしたら唯たちと同じくらいに最高の青春をリアルで過ごした人もいるのかもしれないですけど、私にとっては夢のような話で、現実では決して味わえなかった理想形なんです。そう思っていたら、いつの間にか『けいおん!』がイコール私の青春に置き換わっていて(笑)。

――アニメと現実が一緒くたに?
古関 そう。放課後ティータイムでの輝かしい青春体験があるから、厳しい現実も苦にならなかったですね(笑)。

――『けいおん!』で、とくにお気に入りのシーンはありますか?
古関 第1話の冒頭で唯が入学式に向かう登校シーンがあって、最終話でもまた登校シーンが流れるじゃないですか。このふたつは、構図やカットもほとんど同じなんですけど、そこに映っている唯が別人みたいなんですよね。第1話では期待と不安を抱えた、ただの新入生で何も手にしていなかったのが、最終話では多くのものを手にしていて。唯自身もすごく成長していて、キラキラしているんですよ。その対比に気づいたときに、なぜかわからないですけど胸がいっぱいになって、自然と涙が出てきたんです。アニメを見ていて泣いたのはあれが初めてでしたね。

――大きな事件が起きるわけではないけど、泣ける作品ですよね。
古関 ほんとそう。すべてが完璧なんです。いい子なんだけどダメダメな唯はもちろん、まわりのキャラクターも「キュート」「パッション」「知的」「穏やか」と完璧な布陣。むっちりした太ももに黒タイツというデザインもよかったですね。もし、細身でガリガリなキャラクターだったら、あそこまで感情移入できなかったと思います。ジャージをだらしなく着こなしている感じとか、リアルな女子高生感も含めて完璧だなと思います。

――『けいおん!』以外で言うと、古関さんがいちばん青春していたのはいつになるんですか?
古関 通信制の高校に通っていた時期に読者モデルのお仕事をするようになったんですけど、イベント出演や撮影など、仕事でありながらもどこか文化祭的なノリもあって。今になって振り返ると、それが私の青春だったのかなとも思います。唯と同じく、それまで何者でもなかった私が、読者モデルの活動を通して、多少なりとも注目されたり好意を持ってもらえるようになりましたから。それが「古関れん」という今の私につながる大切な一歩目になったのはたしかなので、やっぱりあれは私なりの青春だったんですね。endmark

KATARIBE Profile

古関れん

古関れん

タレント

こせきれん 1995年生まれ。東京都出身。雑誌『CUTiE』や『CHOKiCHOKi girls』等の青文字系雑誌でカリスマ読者モデルとして活躍したのち、モデル界の論客として歯に絹着せない物言いが評価され、数々のバラエティ番組に出演。現在『ABEMA 土曜ザナイト』(毎週土曜24時~) 、TBS『中居大輔と本田翼の夜な夜なラブ子さん』(毎週木曜深夜)、Inter FM897『アソビラヂヲ/古関れんのこじらせラジオ』(毎週水曜23:00~)にレギュラー出演中。

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