Febri TALK 2022.02.16 │ 12:00

童田明治 バーチャルライバー/アーティスト

②『ひぐらしのなく頃に』から学んだ
決してあきらめない気持ち

にじさんじ所属の人気バーチャルライバー、童田明治に人生に影響を与えたアニメを語ってもらうインタビュー連載の第2回は「仲間を信じることの大切さを学びました」という『ひぐらしのなく頃に』。ホラーは苦手という彼女に、この作品を選んだ理由を聞いてみると……?

取材・文/日詰明嘉

悩んだときは、自らの意志で「新しい風」を取り入れる

――『ひぐらしのなく頃に(以下、ひぐらし)』はミステリー作品であり、ホラー描写も人気のひとつですが、童田さんはこうした作品も平気なんですか?
童田 いえ、ハッキリ言って苦手です(笑)。実際に見てみると、オヤシロ様の祟りは怖いわ、人は殺されるわで、目を背けたくなる場面が多くて。

――そうまでして見たのは、どうしてでしょう?
童田 ちょっと暗い話になるのですが、あるときすごく凹むことがあって、何もしたくなくなってしまったんです。『ひぐらし』って一般的に「グロい」と言われていたので、自分が苦手なものを、あえてショック療法的に見てみようと思ったのがきっかけでした。

――どんなところが強く印象に残りましたか?
童田 『ひぐらし』って、主人公が何回も失敗して同じ時間を繰り返すのですが、それでもあきらめずに、みんなが幸せになる世界線にたどり着こうとする話なんです。私はわりとあきらめやすい性格をしていたのですが、「この子たちがこんなにがんばっているんだから、自分もがんばろう」と励まされたし、あきらめないことの大事さを学びました。最後まで見たら「仲間を信じることの大切さ」というテーマがきちんと伝わってきて、とても元気になることができました。

――こういったショック療法は、ご自身ではよく試すのですか?
童田 わりとしますね。かつて、煮詰まってしまったときに自分で喉を潰してやろうとしたことがあったんです。

――ええっ……。
童田 それで何をしたかというと、5~6時間ぶっ通しで歌を歌ったんです。そうしたら、逆に喉が頑丈になってしまったというオチで(笑)。なので、皆さん、凹んだときは筋トレみたいな、自分のためになるようなことをしてほしいです。

――安心しました(笑)。童田さんは一旦スパっと落ち込んで、そのあと再起するほうがいい結果を生むんですね。
童田 そうですね。私はそのタイプなんだと思います。『ひぐらし』を見て、一度、いちばん下まで落としてから上げようとしました。登場人物たちの境遇に比べれば、自分のことなんて大したことないなって(笑)。みんな、もう本当に悲惨な死を迎えるんですよ。

――お気に入りの登場キャラクターはいますか?
童田 この作品もみんな好きなんですよね。でも、あえて言うなら、古手梨花ちゃんです。ここからネタバレになるんですけど、この話は主人公である前原圭一がループしていると思わせて、じつは古手梨花ちゃんが何度も死んで、そのたびに違う世界線に行くという構造になっているんです。梨花ちゃんはループのたびに腹を裂かれてしまうのですが、それがかわいそうで……。こんなに梨花ちゃんががんばっているのに、なんてひどいことをするんだろうと感じました。そして、それを繰り返すことで梨花ちゃんもだんだんと疲れてしまうのですが、「みんなを助けるまではあきらめない」と立ち向かう。それを見ていたら「自分もこうなりたい」って思いました。

田舎の村に憧れがあったのですが

『ひぐらし』を見たあとは

ちょっと怖いなって(笑)

――『ひぐらし』も繰り返し見たのですか?
童田 はい。怖がりながらも5周ぐらい(笑)。ただ、「目明し編」だけはめちゃくちゃグロくて拷問シーンや爪を剥ぐシーンがあるので、あまり見られないんですけど。でも、ニコニコ動画で一挙配信といったイベントがあるとつい見ちゃいますね。というのも、ニコニコ動画ではグロいシーンになると、みんなが「うわあああー!!!!」って書き込んで「弾幕」を張って見えないようにしてくれるので(笑)。

――そういう見方もあるんですね(笑)。それにしても画と音でここまで痛みを想像させるというのは、秀逸な演出ですよね。
童田 そうですね。爪を剥ぐというそれ自体の描写もあるし、その前後の描写が上手なので、変な話、自分がされたかのような痛みを感じるんです。表現にはいろいろな媒体がありますが、声のお芝居なども含めて、私はアニメがいちばん感情移入しやすいです。

――作品の世界観についてはどのように感じましたか?
童田 それまで私は田舎の村に憧れがあったのですが、『ひぐらし』を見たあとは、ちょっと怖いなって思っちゃいました(笑)。もちろん、ああいったことは実際にはないんでしょうけど、外からの風がないと、やっぱり世界が狭まってしまうと思うんです。それは自分自身にも当てはまることです。悩んだり煮詰まったりしたときは、できるだけ新しいものに触れて、自分の考えを変えるようにしています。

――たとえば、どんな経験がありましたか?
童田 じんさんの『カゲロウデイズ』が最初に話題になったとき、私は天邪鬼なので「流行っているから聞かない」みたいな態度だったんです。でも、実際に聞いてみたら、人に寄り添う歌詞にとても共感できたので、聞く前に自分がそういう考えを持っていたことを申しわけなく思いました。それ以来、「こういうジャンルだから触れない」といった偏見は持たないようにしています。あう、あわないはあるにせよ、自分で見たり聞いたりしてから判断しようと。それが自分にとっての「新しい風」でしたね。

――そして後に童田さんが参加している音楽ユニット「Rain Drops」に、じんさんが楽曲提供をして(「雨言葉」「オントロジー」)、ご自身で歌うことになるわけですよね。
童田 そうなんですよ~! 泣くほどうれしかったです! この話、じんさんにはお話ししたことがないので、この記事を通じてお伝えしたいです!endmark

KATARIBE Profile

童田明治

童田明治

バーチャルライバー/アーティスト

わらべだめいじー。にじさんじ所属のバーチャルライバー。キャラクターデザインは萌木雄太。2019年1月より活動を開始し、YouTube登録者数は24万人以上(2022年2月時点)。2020年に音楽ユニットRain Dropsのメンバーとしてメジャーデビューを果たした。

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