Febri TALK 2022.02.18 │ 12:00

童田明治 バーチャルライバー/アーティスト

③心の持ちようで変わる日常風景
『ARIA』が気づかせてくれたこと

にじさんじ所属の人気バーチャルライバー、童田明治に人生に影響を与えたアニメについて聞くインタビュー連載。その最終回は、放送開始から15周年を迎え、劇場版も制作された癒やし系アニメ『ARIA』について。

取材・文/日詰明嘉

忘れていたことを思い出させてくれる作品

――童田さんの3本目は『ARIA』。第2回目の『ひぐらし』から遠く離れましたね(笑)。
童田 はい(笑)。知人の紹介で、これは原作マンガから読み始めました。いわゆる「日常系」の作品で、空気感がとてもいいんです。主人公の水無灯里(みずなしあかり)ちゃんは、めちゃくちゃポジティブな性格の持ち主で、たとえば、単に蝶が飛んでいるのを見かけただけで「ちょうちょが見えたから今日は幸せな日♪」って感じで、日常の光景ひとつひとつに感動を見いだせる子なんです。それって、今の私たちの社会では忙しくて、つい見過ごしてしまうことじゃないですか。でも、『ARIA』を見ていると、そうしたなにげない日常であっても、自分の向き合い方や視点によってものの見え方、感じ方が変わってくるんだということを教えてもらっているような気がして……。

――気の持ちようで人生も違って見えるような。
童田 そうですね。私自身、どちらかというとネガティブなほうなんですけど、この作品を見ていると灯里ちゃんのようになりたいと思いますし、物事をできるだけポジティブに見るようにすれば、きっともっと楽しくなるんだろうなって思わせてくれる作品です。

――『ARIA』って作品に流れる空気感がゆったりしていて、キャラクターも基本的にみんな穏やかですよね。
童田 みんないい人なんですよね。作品の舞台は未来の火星で、現在のヴェネツィアをモデルにしたネオ・ヴェネツィアというところなんです。この街は何カ月かに一度、アクア・アルタという床上浸水が起きるのですが、この街の人たちはゆったりしていて、そのときはお仕事もみんな休んじゃうんです。今の日本だと、まずありえないじゃないですか。別の場面で言いますと、灯里ちゃんが友達と待ち合わせをしていて、その子が遅刻したときも、「なんで遅れたの!」ではなく「だったら、遅れてくるまでの時間に何か素敵なものを見つけよう」という考え方をする。こういうことって今の私たちが忘れがちなことなんじゃないかなって。私もこんなふうに何でもポジティブに捉えられるようになれたらな~って思いますね。

――この作品はTVシリーズが3期制作され、劇場版も作られるほど息の長い人気を誇っています。ファンのなかには実際にヴェネツィアまで聖地巡礼に行く人もいて、ブログや同人誌などで発表していますが、童田さんも行ってみたいですか?
童田 行ってみたいです! むしろ「あの作品を見て行きたいと思わない人なんているの?」って感じです(笑)。死ぬまでに一度は行きたいですね。私はあまりアクティブなほうではないのと、今の世界的な情勢では実現するのはしばらく先になりそうですが、行きたいですね。本当に行きたいです!!

音楽が本当に良くて

ヒーリング効果が高い曲ばかりで

寝るときに流しています

――行ったら何をしたいですか?
童田 聖地巡礼をあまりしたことがないので、まずは作中に出てくるところに行って、同じポーズを取ってみたいです(笑)。あと、作中では灯里ちゃんたちが案内役の「ウンディーネ」としてゴンドラを漕いでいるので、それに乗ってキャラクターの気持ちになりたいですね。普段は、めっちゃ船酔いするんですけど(笑)。

――童田さんはYouTubeの生配信で『ARIA』の主題歌を何度もカバーしていますよね。どんな想いを乗せて歌っているのしょうか?
童田 『ARIA』の世界観を頭に入れて、原曲のイメージをちゃんと意識しつつ、リスペクトを込めて歌うことを意識しています。やっぱり原曲が大好きなので、私の歌を聞いて「この曲いいな」と思っていただいて、その方が原曲を聞いてくださったら、ファンとしてめちゃくちゃうれしいじゃないですか。そうなってほしいなと思って、心をこめて歌っています。

――一方で、アーティスト活動のときはご自身がオリジナルになるわけですが、その際にはどんな姿勢で臨むのでしょうか?
童田 私はけっこう直感型というか、レコーディングの前にラフの形で音源が手元にくるわけですが、そのときにメロを聞いたり、歌詞を読んで感じたこと、そして最後にレコーディングのときに流れる音を聞いて感じたことのひとつひとつを大事にしています。で、大事にはするけれども、実際のレコーディングのときは、あまりそこまで考えずに臨むんです。考えすぎちゃうと、自分のなかでカチッと当てはまらないときにモヤッとするので。私は本当に自分の感じるままを音に乗せるって感じで歌っていますね。

――となると、最初に感じるときに受け入れ態勢を作ることが大事になってくるんでしょうか?
童田 そうですね。メロだけを聞いたときと、歌詞が入ったときでは、イメージもけっこう変わってくるので。「こうなったんだ。じゃあ、こういう解釈もあるな」という姿勢でいることが大事。それで実際のレコーディングに臨むと、また違う見え方をすることもあるんですよね。やっぱりレコーディングって……ちょっと恥ずかしいセリフですけれど、「私と歌をつなげてくれる」というか、どこかそんな不思議な力があると思うんですよ。なので、歌ったあとは満足して帰ることが多いです。

――リスナーさんにはそういう想いが乗っていることを頭の片隅に置いて聞いていただくと、童田さんの想いがより伝わるでしょうね。ところで、『ARIA』も何周かしているんですか?
童田 もちろん。初見のときはきちんと見ましたが、以降は集中して見るというよりも、BGVみたいな感じで流していることが多いです。見ていると安心するので。あと『ARIA』は音楽が本当に良くて、サウンドトラックを買っちゃうくらい好きです。ヒーリング効果が高い音楽ばかりで、寝るときに流したりしています。

――音楽という要素は原作にはないものですが、キャラクターや世界観だけでなく、そこにも癒やしの力がある作品なんですね。
童田 そうなんです。本当に落ち着きますし、「忙しくてちょっと大変!」という人にこそ、自分が忘れていたことを思い出させてくれる作品なので、ぜひ見てもらいたいです。endmark

KATARIBE Profile

童田明治

童田明治

バーチャルライバー/アーティスト

わらべだめいじー。にじさんじ所属のバーチャルライバー。キャラクターデザインは萌木雄太。2019年1月より活動を開始し、YouTube登録者数は24万人以上(2022年2月時点)。2020年に音楽ユニットRain Dropsのメンバーとしてメジャーデビューを果たした。

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