SERIES 2021.07.08 │ 12:00

空の青さを知る人よ
埼玉県秩父市

物語の舞台となった街角の風景
それは2次元と3次元の間にある
キャラクターの息吹を伝えてくれる場所
今回はひとりの少年が過去から現れたことで巻き起こる不思議でせつないラブストーリーを描いた映画『空の青さを知る人よ』の舞台、秩父市を訪れる──

文/浅野健司

※雑誌Febri Vol.58(2019年12月発売)に掲載された記事の再掲です。

数々の物語が描かれた聖地

埼玉県の西部に位置する秩父市。舞台の探訪を楽しむ人なら、きっとその名前を知っていることだろう。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』の舞台として多くのファンが訪れる〝聖地巡礼〟の代名詞になっている街だ。

同作のスタッフが再集結した『空の青さを知る人よ』でも、物語は秩父を舞台に描かれている。ヒロインのあおいが言っていたように、ここは山に囲まれた盆地の街。それゆえ、山間を彩る四季折々の風景や、郷土に根付いた文化がある。秩父神社の夜祭など歴史を伝える歳事や史跡も多く、見どころには事欠かない。

そして映画を見た人には、ごく普通の街角も感慨深く映るだろう。数々の作品が息づく秩父には、何気ない風景さえ特別なものにしてくれる、「聖地」の魅力が満ちているのだ。

街を走るバスや商店街のフラッグなど、さまざまな場所でキャラクターの姿を目にすることができる。

1.西武秩父駅

最初に紹介するスポットは、西部秩父駅の改札前。街の玄関口となる場所だ。ここはあおいたちがご当地ソングの大家・新渡戸団吉を出迎えようとしていたシーンの舞台。訪れる際は他の利用客の邪魔にならないように気をつけよう。

2.歴史文化伝承館

駅から歩いてすぐの場所にある市役所は、あおいの姉であるあかねの職場だ。そこに隣接する歴史文化伝承館は、音楽祭に向けて練習する場面で登場。2階には市役所につながる渡り廊下があり、みちんことあかねが話すシーンの舞台になっている。

3.高砂(たかさご)ホルモン

団吉一向をもてなすために訪れたお店は、西武秩父駅から少し歩いた場所にある、高砂ホルモンという焼き肉屋さんがモデル。地元の人はもちろん観光客にも愛されている繁盛店なので、確実に食べたい場合は予約をするのがオススメだ。

4.矢尾百貨店前

こちらは、クラスメートの千佳に年上彼氏疑惑を持たれたあおいが、彼女と一緒に迎えを待つシーンから。ふたりが立っていたのは矢尾百貨店の前。江戸時代から続く由緒あるお店で、市街地のランドマークになっている。

5.秩父神社脇

慎之介が買い物をしていたこのコンビニは、日本三大曳山祭のひとつ〝秩父夜祭〟で有名な秩父神社のそばにある。道の反対側には、「ほっとすぽっと秩父館」という施設があり、お土産を買ったり観光情報を入手したりできるぞ。

作中そっくりに撮影したい!――そんなときにはコレが便利♪

アニメと同じアングルで風景を撮る場合、作中の絵とカメラの画面を見比べながら撮影できればベストなのだが、ひとりだとこれがなかなか難しい。そんな時に役立つのがアームバンド型のスマホケースだ。左の写真のように装着すれば、スマホに表示した映像を見ながらの撮影が可能。しっかりと構図を確認できる。

両手が塞がる一眼レフの場合は特に便利。撮影時は建物などの位置関係を手がかりにパースを合わせると似る。

6.旧秩父橋

冒頭であおいがベースを練習していたのは、駅前からしばらく歩いたところにある旧秩父橋。アニメファンにとって秩父のシンボルと言えば、やはりこの橋だろう。周辺には駐車場がないので、訪れる場合はバスやレンタサイクルが便利だ。

7.秩父ミューズパーク

音楽祭の会場になったミューズパークは、芸術・文化やスポーツの施設が設けられた複合公園。あかねと慎之介が言葉を交わしていたのは、音楽堂の裏手にある場所だ。敷地内にある展望台から見える市街のパノラマは、タイトルバックに登場していた。

8.矢通反隧道(やとおそりずいどう)

団吉がネックレスを落としてしまったトンネルがあるのは、秩父鉄道・武州日野駅(ぶしゅうひのえき)にほど近い山の中。あかねが車を停めていた駐車場のすぐ脇に入口があり、看板も出ているので見つけやすいだろう。危険なので内部への立ち入りは絶対に控えよう。

9.荒川日野地区

ラストシーンであおいが歩いていたのは、トンネルから数分の場所。ごく普通の田舎道だが、映画を見たあとでは印象的に映る、聖地巡礼の醍醐味ともいえる風景だ。しかし、観光地ではないので、住民の方に不安を与えないよう、最大限の配慮を持って訪れたい。

10.熊野神社

最後は秩父市に隣接する吉田町へ。しんのがいたこのお堂は、上吉田地区にある熊野神社がモデルになっているそうだ。『空青』に登場した秩父の風景は、まだまだたくさんある。ぜひ舞台を訪れ、映画の世界を体感してほしい。

名物百景|豚みそ漬け

わらじカツやみそポテトなど秩父グルメはたくさんあるが、豚みそ漬けも忘れてはならない名物のひとつ。捕獲した獲物の肉を保存するための手法が起源と言われ、山間地の食文化が表れている。市内には豚みそ丼を出す店も多く、甘辛く旨みのある味は箸が止まらない。冷蔵タイプのお肉はお土産にピッタリだ。

池袋駅から西武秩父駅までは特急で1時間少々と、アクセスの良さは抜群。 ※紹介したロケ地には私有地なども含まれます。訪れる際は、住民の方の迷惑にならないようにマナーある行動をお願いします。
作品情報

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