――最後にニック、アブー、ルイス、モモの魅力について教えてください。
●ニック

徐碧君 他のキャラクターと比べると精神的にかなり成熟していて、自分の行動に責任を持っている大人です。なので、単純にカッコいいなと感じますし、個人的にいちばん好きなキャラクターでもあります。さらに日本語吹替版では中村悠一さんが声を担当されていて、そのお芝居と声があまりにも素敵で、めちゃくちゃテンションが上がりました。アフレコの様子をリモートで拝見していたのですが、私も、私の周りも大興奮していました(笑)。

小榕 ニックは大人ですが同時にイタズラ好きでもあって、しかもアイラとはまた少し違う方向性なんですね。なので、アイラがトラブルメーカーであるのと同様、ニックもさまざまな場面で登場させることができました。彼は1031号室の住人ではありませんが、気がつくと勝手に部屋に入って冷蔵庫をあさっていたりして、それを発端にトラブルが起こったりと、大人っぽさと子供っぽさのギャップが魅力です。

呆尾 ニックはニールとは違って純粋に悪魔的な存在で、かなり悪どい一面も持った男なのですが、この社会では社畜的なポジションで働いているのが面白いなと思います。とくに好きなのは、ダーマオの運の悪さを利用してお金儲けを企(たくら)むエピソードです。
●アブー

徐碧君 アブーの魅力はとにかくミステリアスなところに尽きます。それでいて彼がいるとどこか安心感がもらえるというか、心が落ち着くんですよね。
小榕 序盤はほとんどセリフを発しないし、存在感も希薄なキャラクターなんですけど、話が進むにつれて彼のキャラクター性がじわじわと滲み出てきますから、長い目で見守っていただけるとうれしいです。


呆尾 みんなといっしょにいる際にアブーがギターを弾いても、みんなはその音楽がどこから流れているのかわからないとか、存在に気づかれない描写が多いですね。それがむしろ彼の持ち味で、面白い部分でもあると思います。
――大金持ちだけど、趣味でアルバイトをしているという設定がありますね。具体的にはどんなアルバイトをしているのですか?
徐碧君 原作マンガにはバイトの描写があるんですが、彼は博物館でミイラのアルバイトをしています。寝ているだけでお金をもらえるんだとか(笑)。
●ルイス

徐碧君 なかなか売れないアメリカ出身の俳優です。ルイスに関しては、アメリカ人らしいアメリカ人ということを意識して描いています。
小榕 彼はゾンビなんですけど、社交的で明るいキャラクターなのが面白いですね。これは制作上の話ですが、彼の顔には穴が空いていて、それをどうやって表現しようかというのはかなり苦労しました。


呆尾 俳優志望なのにゾンビ映画にしか出演できないという設定がまず面白いです。普通に考えたら絶望的な状況なのに、それでも夢をあきらめずにハリウッドから中国に渡ってきたところとか、ポジティブなところが好きですね。
●もも

徐碧君 ほとんどが西洋出身のキャラクターの中、唯一の東洋出身キャラです。彼女は日本の猫又で、もともとは日本でアイドルをやっていたのですが、スキャンダルから芸能界を引退して中国に来たという設定です。貴重な女性キャラクターとして活躍してもらっています。

小榕 もともと日本の皆さんにまで届くとは思っていませんでしたから、彼女が日本の皆さんにどう映るのか、受け入れていただけるのかはとても気になります。あと彼女の登場シーンには必ずお酒がセットで出てくるんですが、それらは実際に日本にある銘柄を参考に作っています。

呆尾 お酒を飲んで暴れまわるキャラクターですが、その酒乱っぷりが半端ではないんですよ。でも、その破天荒な感じってまさにこの作品の象徴でもあるような気がしていて、とても好きなキャラクターです。
――ありがとうございます。では、最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
徐碧君 『万聖街』は登場するキャラクターみんなが可愛く、楽しい作品です。天使に悪魔、狼人間、吸血鬼などの人ならざる者たちに興味があり、現代社会で彼らにどのような物語が繰り広げるのかを知りたい方は、ぜひアニメ『万聖街』を見てくださいね!
呆尾 可愛いキャラクターがたくさん登場し、明るく楽しく温かなストーリーのアニメです。アニメーションとして、作画や音も魅力的になるよう制作しましたので、日本のファンの皆さんに楽しんでいただけたらうれしいです。
小榕 気軽に楽しめる作品ですし、軽快なテンポのコメディの中で異文化との出会いの楽しさも体験できます。ぜひご期待ください!
- 徐碧君
- XuBijun 中国芸術研究院卒。「非人哉」、「万圣街」漫画版編集。アニメ映画「私たちの冬季オリンピック(我们的冬奥)」一部シナリオ担当。
- 呆尾
- DaiWei 1993年中国福建省漳州市生まれ、四川美術学院映像アニメーション芸術科卒業。寒木春華スタジオに就職。主な代表作品は『羅小黒戦記』『万聖街』シリーズ。主に演出、原画を担当。
- 小榕
- XiaoRong 1994年中国の北京で生まれ。中国伝媒大学アニメーション学科卒業後、アニメーターとして寒木春華スタジオに就職。主な作品は大学卒業作品『老歌』、『羅小黒戦記』、『万聖街』シリーズ。