TOPICS 2022.11.10 │ 18:09

結束バンドが紡ぐ“陰キャの真実”!
『ぼっち・ざ・ろっく!』メインキャスト座談会①

10月より放送がスタートした『ぼっち・ざ・ろっく!』。ひと癖もふた癖もある青春バンド物語の主演声優4人(青山吉能、鈴代紗弓、水野朔、長谷川育美)へのインタビューが実現! 第1回は、原作の印象と、それぞれが演じるキャラクターの魅力を語ってもらった。

取材・文/大久保和則 撮影/松本祐亮

原作から伝わる“陰キャの真実”

――まずは原作を読んで、どんな魅力を感じたか教えてください。
長谷川 はまじあき先生のギャグセンスが刺さりすぎて、こんなに“ひとり”の女の子……って、ややこしいですね(笑)。「後藤ひとり」という、ひとりの女の子の表情をあんなにいくつも引き出せて、キャラクターの魅力を引き立たせることがすごく素敵だと感じました。
青山 最初に「きらら作品」(※)と聞いていたのですが、「きらら作品」が持つ女の子たちのキラキラ、フワフワな感じがまったくないなと思いました。逆に、哲学書のような、今まで誰も絵や文字、マンガに落とし込んでこなかった“陰キャの真実”というものが感じられて。

長谷川 陰キャの真実(笑)。
青山 もう、最初の印象はそれでした(笑)。同時に「これを演じられる人はいるのかな?」とも思いましたね。
鈴代 4コママンガらしくサクサク読める一方で、全体を通してそれまでのストーリーを振り返ると、ひとりひとりがちょっとずつ成長している姿がよくわかりました。主人公のひとりちゃんが成長の大きな一歩を踏み出していることもすごく感じますが、結束バンドとしても「結束バンドって、こういう感じだよね」と成長していく様子を感じられて、「この雰囲気をアニメでも乗せていきたいな」と思いながら原作を読みました。
水野 『ぼっち・ざ・ろっく!』は結束バンドの4人も個性的ですが、それ以外の登場人物もみんな客観的に見ると変な人が多いのが魅力だなと感じました。普段、自分たちが心の中で思っていることを、はまじ先生が4コマの中で面白くさらけ出してくれているので、ギャグとして楽しく読めるし、キャラクターもみんな個性的で可愛いですよね。

※『ぼっち・ざ・ろっく!』の原作掲載誌『まんがタイムきららMAX』をはじめとする『まんがタイムきらら』レーベルの作品

ここまでセリフが多いキャラクターは初めて(青山)

――台本を読んで自分のキャラクターをどう演じていこうと思いましたか?
青山 私はここまでセリフが多いキャラクターを演じることが今までなかったので、「主役って、こんな感じなんだ!」と思いました。ぼっち(ひとり)は人見知りで他人とあまりしゃべらない分、「脳内会話」が多くてイマジナリーフレンドがいたりするんですけど、それも含めてすごく新鮮でしたね。ただ、人間はつねに同じことを思っているわけではないですし、話すスピードも一定ではないですよね。とくにぼっちの場合は安堵したと思ったらその1秒後に大慌てになるなど、短いスパンで表情が激変する子なので、テンポの目まぐるしさを意識して音響監督さんとも相談し、いろいろな引き出し方ができるように心がけています。
長谷川 喜多ちゃんの最初の印象は、リア充だし、友達がまわりにいっぱいいて慕われている感じだったので、人付き合いがとてもうまい子なのかなと思っていました。でも、話が進むにつれて、そんなに完璧でもないなと気づいたんです。押しが強くてグイグイいくし、「今の話を聞いていてその反応?」という場面もあって(笑)。だから、喜多ちゃんは自分にちゃんと自信があって、自分のことが好きな子なんですけど、その分、相手次第ではコンプレックスを刺激してしまう子のような気もしています。それは、純粋だからこそなんですけど。好きなものに対しての愛情の注ぎ方や、興味のあることに対しての行動力だとか、何事にも前向きでまっすぐ進めるところが、本当に魅力的だなと思いながら演じています。

結束バンドを引っ張っているのは、虹夏ちゃん(鈴代)

鈴代 虹夏(にじか)はとても不思議なキャラクターで、初めて会ったひとりちゃんにも積極的に話しかけて、なんだかんだで自分のペースに巻き込んでいく力があるんです。そこに嫌味な部分がないので、みんな虹夏についていってしまう。虹夏ちゃんに自然とみんながついていっているのは、優しさやおおらかさ、ほがらかさといった、虹夏の根っこにある人間力が大きいのだろうなと思います。原作を読んでいたときはそこまで深く考えていなかったのですが、演じているなかで、人を引っ張っていく素質が虹夏にはあるんだなと感じました。

水野 リョウさんは、最初こそクールでダウナーなイメージしかなかったのですが、演じていくにつれて「嫌なことは強制すべきじゃない」とか、伝えるべきことをちゃんと伝えられるような、人を思いやる一面があるんだなと気づきました。リョウさんの中で明確に人に伝えたい言葉があり、意志がはっきりしているときは、前向きに踏み込んだ印象になるように心がけています。逆に、それ以外の普通の会話ではまわりの空気に流されず、我が道を行くように演じていますね。endmark

青山吉能
あおやまよしの 5月15日生まれ。熊本県出身。81プロデュースに所属。『ぼっち・ざ・ろっく!』では、後藤ひとり(Gt.)役を務める。主な出演作に『Wake Up, Girls!』(七瀬佳乃役)、『プラオレ!〜PRIDE OF ORANGE〜』(小野真美役)など。
鈴代紗弓
すずしろさゆみ 2月4日生まれ。神奈川県出身。アーツビジョン所属。『ぼっち・ざ・ろっく!』では、伊地知虹夏(Dr.)役を務める。主な出演作に『ハイスコアガール』(大野晶役)、『シャインポスト』(青天国春役)など。
水野朔
みずのさく 9月29日生まれ。ソニー・ミュージックアーティスツ所属。『ぼっち・ざ・ろっく!』では、山田リョウ(Ba.)役を務める。主な出演作に『SELECTION PROJECT』(花野井玲那役)、『後宮の烏』(柳寿雪役)など。
長谷川育美
はせがわいくみ 5月31日生まれ。栃木県出身。ラクーンドッグ所属。『ぼっち・ざ・ろっく!』では、喜多郁代(Gt.Vo.)役を務める。主な出演作に『ウマ娘 プリティーダービー』(ミホノブルボン役)、『うちの師匠はしっぽがない』(小糸役)など。
作品情報


『ぼっち・ざ・ろっく!』
毎週土曜24:00~ TOKYO MXほか各局にて放送中!

  • ©はまじあき/芳文社・アニプレックス