映画というルーツ
――作品の根幹には、末廣健一郎さんの音楽が象徴するような西部劇の骨太な雰囲気があると思いますが、このルーツはなんだと思いますか?
高木 やはり映画だと思います。野田先生はシネフィル(映画通)と言っていいくらい映画をたくさん見ていらっしゃる。僕も映画は好きですから、先生が何をやろうとされているかはおおよそわかります。明確にパロディをされている部分もありますが、作品自体に多くの娯楽映画の血が通っているなととても感じる。「たぶん同じものを見て、同じものに興奮したんだろうな」と思いながら脚本を書いていました。
――ルーツに共鳴があるのですね。
高木 僕は、とにかく群像劇が好きなんですよ。かつて手がけた『BACCANO!-バッカーノ!-』も『デュラララ!!』も群像劇でした。中学生の頃から栗本薫さんという作家が好きで、『グイン・サーガ』や『魔界水滸伝』を堪能していました。あれはまさに群像劇の面白さに満ちていて、それが今でも作品作りに脈々とつながっているような気がします。
見届けたい物語のために
――いよいよ第四期。意外なスタートでしたが、後半の門倉登場に『ゴールデンカムイ』愛を感じました。
高木 ありがとうございます。あの構成で間違っていないと自分でも思います(笑)。
――このタイミングで、第一期から第三期までを見返す方も多いと思いますが、これまで放送された話数の中で注目してほしいポイントがあれば教えてください。
高木 放送された話数はいずれも重要で、再放送や配信でぜひ追いかけていただきたいのですが、放送されていないOADもじつは重要だったりします。「姉畑編」以外のOADはすべてTVシリーズの時間軸に入るもので、今後の展開に関わってくる内容もあるんです。ご覧になっていない方は、お見逃しなく!
――キャストの方々のお芝居で印象的に残ったシーンはありますか?
高木 第三期第三十三話「革命家」での中野泰佑さんの演技は忘れがたいです。ネタバレになるため詳細は伏せますが、最後のひと言を聞いて総毛立つ思いがしました。原作ファンも、何も知らずに見た方も、皆さんビックリしたんじゃないでしょうか。あれは本当にすごかった。
――第四期も見どころ満載だと思いますが、高木さんはどこが気になりますか?
高木 敵が味方に、味方が敵にという面白さは変わらず続いていきます。原作でも人気のある新キャラクターが何人も登場しますので、まずは彼らが動いてしゃべっている姿にご期待いただきたいです。そして『ゴールデンカムイ』のテーマは、言うまでもありませんがアイヌ問題です。そこはブレてはいけないところなので、問題のシリアスさ、野田先生の真摯さをアニメでもそのままお届けできるように、最後まで真剣に向きあいたいと思っています。
――見届けるという言葉が、ここまでしっくりくる作品もなかなかないですね。
高木 そうですね。ずっと応援してくださっている方にも、新しくご覧いただく方にも、我々と一緒に最後まで彼らの物語を見届けていただきたいです。