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傾き始めた太陽が、岩だらけの海岸にわずかな黄色を落としている。
年齢の違う三人が並んで菖蒲沢の浜辺を見渡した。浜辺と言っても砂浜はなく、足元はゴロゴロとした石で埋め尽くされている。石を探すつもりで来たがここまで石だらけだとは思わなかった。
「あの辺で見つけた」
健勇君が先陣を切って走り出し、俺と植原巡査長も後に続いた。朝の新幹線に乗っていた時はスーツと革靴で岩場に入る羽目になるとは微塵も思わなかった。歩きづらい凹凸を乗り越えてようやく追いつくと、彼がもう何個かの石を拾っている。
「これが似てます。外側はこんな感じ」
受け取って観察する。それは河原で見るような灰色や黒のものではなく真っ白の石だった。石灰岩とかそんな名前が付いていたと思うのだが、正直専門外で朧気にしか思い出せない。
「外側というと、内側も見えた?」
「割れてて……」健勇君が思い出しながら言葉を探す。「中の方が、もっと綺麗で」
巡査長から聞いていた供述と照らし合わせる。“裏側が表で、表側が裏みたいな不思議な石”。まだ具体的なイメージは摑めないが、表面側が白いことは判明した。
スーツの上着を横に置いてズボンの裾を折り返した。そうして我々は、三人では広すぎる岩場で異方の石の捜索を始めた。時間の猶予は少なく、一粒の石ころを見つけ出せるとも思えない。それでも最後は足で探すしかないというのも捜査の本質だった。
六月の伊豆は想像以上に暖かく、暑かった。三十分もすると汗が滲んでくる。うろうろと彷徨い、しゃがみ込み、石を手で掻き分けて、見つからずまた彷徨う。賽の河原じみた作業を頭の中の自分は無益だと言っている。けれど不思議と、やめようとは思わなかった。
俺は今、石を探しながら。
あの日々と同じものを探している。
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