ラップ要素は筋肉からのインスパイア
――原作を読んだときの第一印象と、面白いと思ったところを教えてください。
横山 直球な『ジャンプ』っぽい展開の作品だと感じました。それでいて剣と魔法の世界と思いきや、筋肉ですべてをねじ伏せて解決していくギャップにハマりました。筋肉魔法のネーミングセンスも最高です!
――公式サイトのコメントに「筋肉による筋肉のための音楽を書きたいと考え続け」とありましたが、具体的に「筋肉による筋肉のための音楽」を表現するため、意識した点を教えてください。
横山 この世界観ですから、伝統的なハリウッド映画のような、魔法世界をイメージした音楽は誰しもが想像のつくところです。ただ、筋肉からインスパイアされる表現は多種多様な方法やアイデアがありました。今回はヒップホップ、ラップの要素を持ち込んだのですが、理由は……とってもいい加減なのですが、ラッパーってなんか筋肉質な方が多いので……そこからですかね……。
――監督や音響監督からの要望など、他のスタッフとのやりとりで印象に残ったことはありますか?
横山 ただの魔法世界だけの音楽にはしたくない、ギャグもしっかり表現したいという要望はありました。ギャグシーンにヒップホップを使うのは、お笑い番組でも使われていたりするので、その影響もあってかすんなり受け入れてもらえましたね。わりと今回の劇伴はノリ優先で作ったところも多かったのですが、皆さんラップ表現にハマっていただけたので、なによりも楽しく作ることができました。
「ハミ出たことをしたい」という思いを徹底した
――その他、本作の音楽面での特徴や注目してほしいところがあれば教えてください。
横山 マッシュくんのパワーにインスパイアされ、ブラス・アンサンブル(金管楽器)とドラムをアメリカまでレコーディングしにいきました。そのおかげで本当にパワフルなサウンドがキャプチャーできています。とにかく「ちょっとでもハミ出たことをしたい」、その思いを徹底しました。
――とくに印象に残っている曲や、産みの苦しみがあった曲はどれでしょうか?
横山 ラップの曲はすべて大変でした。使う言葉が作品世界を壊さないように、そして歌の表現がセリフの邪魔をすることなく、しっかり世界と共存できるように、かなり計算をしました。第1話からしっかり流れています。
――最後に、筋トレや筋肉に関する思い出はありますか?
横山 だんだんとお腹が出てきてしまっているので、ジムと契約しています。『マッシュル』の音楽作りは、腹筋を鍛えながらiPhoneに鼻歌を入れる日々でもありました。それが落ち着いてしまった今、なかなかジムには行けていません……。行かなければなりませんね……。
- 横山克
- よこやままさる 1982年生まれ。長野県出身。作曲家・編曲家。アニメやドラマ、映画などの音楽を担当するほか、ももいろクローバーZをはじめとしたアイドルへの楽曲提供も手がける。主な参加作品は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』『うる星やつら』『フルーツバスケット』など。
『マッシュル-MASHLE-』
TOKYO MX他にて毎週金曜24時00分より放送中!
- ©甲本 一/集英社・マッシュル製作委員会