TOPICS 2024.06.19 │ 12:00

ずっと変わらない幼なじみコンビ
『大室家』大室櫻子役・加藤英美里&古谷向日葵役・三森すずこインタビュー①

大人気マンガ『大室家』を映像化した劇場アニメ『大室家 dear friends』が公開直前に迫った。『ゆるゆり』から作品をにぎわす幼なじみコンビ・櫻子と向日葵を演じる加藤英美里と三森すずこへのインタビュー。長年演じてきたキャラクターへの愛着をたっぷりと語ってもらった。

取材・文/斉藤優己(パワフルプロダクション)

※本記事には『大室家 dear friends』の物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

『ゆるゆり』の頃の空気感を思い出した

――まず、『大室家』の劇場公開が決まったときの気持ちを教えてください。
加藤 『大室家』では『ゆるゆり』のアニメ展開がないときもコラボなどでファンの皆さんに触れていただく機会が多かったので「これはアニメ化もあるのではないか……?」と勝手に期待していました。でも、まさか劇場公開作になるとは思わず、驚いたおぼえがあります。しかも全2作だなんて、私の想像を遥かに超えた展開だったのですごくうれしかったです。

三森 お知らせを聞いたときはもちろんうれしかったのですが、向日葵を演じるのがだいぶ久しぶりだったので前作『dear sisters』のアフレコでは少し不安がありました。しかもそのときはひとりでの収録だったので、最初は「これで合っているかな」と思いながらだったんですけど、始まってみたら英美里さんのお芝居の声が脳内で流れてきたんです。そのおかげで自分の中の向日葵を思い出すことができました。『dear friends』では英美里さんや斎藤千和さん、日高里菜さんと一緒にアフレコできたので、掛け合いもバッチリだったと思います。
加藤 アニメでの掛け合いは久しぶりでしたけど、向日葵が横にいるような感覚がすごく懐かしかったです。『ゆるゆり』収録時の空気感が私の中に戻ってくるような現場でした。当時を思い出しながら演じることができて、楽しかったですね。

「加藤さんのほうが櫻子のことをわかっているでしょう?」

――アニメ『ゆるゆり』が始まったのは2011年。約13年という長い間、おふたりは役とどのように向き合ってきたのですか?
加藤 最初の頃は「櫻子のテンション感をつかまなくちゃ」と必死になっていたんです。どの程度脱力すればいいのか、最初は悩みながら演じていたんですけど、アフレコを続けるうちにだんだん櫻子のことを理解して、自然に演じられるようになりました。今はもう、アフレコが始まれば勝手に櫻子が出てきてくれます。私の中で櫻子が生きているような感覚がありますね。

三森 向日葵のオーディションを受けたのは、まだデビューして間もない頃だったんです。一人称が「わたくし」のキャラクターを演じるのが初めてだったので、そういう意味でも印象に残っていますね。最初の頃は忘れないよう、台本に「わたくし」と書き込んでいたのを今でもおぼえていますし、アフレコがあるたびに「今日は大丈夫だったかな?」とドキドキしていました。その頃の感覚があるからいつも演じるときは不安になるんですけど、思い入れのある役なので、映像を見ると意外とすんなり向日葵が出てきてくれます。長い時間をかけて、向日葵が私の中になじんだように感じます。
加藤 『dear sisters』のアフレコでは「(スタッフよりも)加藤さんのほうが櫻子のことをわかっているでしょう?」と言われ、ディレクションはほぼなかったんです。ただ、櫻子はひたすら元気で、しゃべるテンポが早いので、たまに置いていかれそうになります(笑)。

櫻子と向日葵はすでに家族同然

――櫻子、向日葵の関係性について、それぞれ抱いている印象を教えてください。
加藤 幼なじみの友達同士ですけど、家族みたいなものだと思っています。ご近所づきあいも深くて、向日葵は大室家の三姉妹全員と仲よしですし、ここまできたらもう友達以上だと思います。
三森 友達同士だと生まれるであろう遠慮がふたりにはないように思えるんですよね。素直に自分の意見をぶつけ合っているところは、まさに家族みたいだと思います。でも、お互い他の子と仲よくしているとき、ちょっと拗ねてしまうのも印象的なんですよね。お笑いコンビみたいな間柄なのかな、とも感じました。
加藤 たしかにみもりんの言うとおり! 櫻子と向日葵って、お互いにまったく気を使っていないんですよね。それだけ櫻子にとって向日葵は一緒にいて当たり前の相手なんですよ。普段どれだけその自覚があるかはわからないですけど、『dear friends』では向日葵が自分のそばにいないときに喪失感をおぼえて無気力になるところが描かれていまして。それだけ櫻子にとって向日葵は大切な存在なんだと、この作品であらためて思いました。
三森 向日葵から見た櫻子は、世話を焼きたくなっちゃうというか、目が離せない存在なんですよね。櫻子はすごく元気で天真爛漫なんですけど、それだけに暴走しちゃうところがあるから、向日葵は手綱を引けるような位置にいたいと思っているのだと思います。結局振り回されてしまっていますけど、でも櫻子がいないと向日葵は寂しく感じてしまうでしょうね。

――これまでの櫻子、向日葵のやりとりで印象に残っているシーンは?
加藤 最初に櫻子のオーディションを受けたときに演じたシーンなんですけど、櫻子がダラダラしていて、遊びに来た向日葵に「宿題見せてー」っていうところが印象に残っていまして。櫻子が向日葵に気を許していることが伝わってくるシーンで、こういうやり取りが、ふたりの関係性を象徴するものなんだろうと当時から思っていたんです。
三森 私はふたりが自分の苦手なものを相手に食べさせ合うシーン(アニメ『ゆるゆり』1期第7話)が印象に残っていまして。すごくかわいかったですし、短いながらもふたりの関係性を表していたシーンだったと思います。櫻子と向日葵の日常が見えたというか、「この子たちはいつも、こんな感じでやっているんだろうな」と思えるやり取りでした。endmark

加藤英美里
かとうえみり 東京都出身。11月26日生まれ。スターダストプロモーション所属。主な出演作に『〈物語〉』シリーズ(八九寺真宵役)、『SPY×FAMILY』(ベッキー・ブラックベル役)、『魔法少女まどか☆マギカ』(キュゥべえ役)など。
三森すずこ
東京都出身。6月28日生まれ。響所属。主な出演作に『ヒーリングっど♥プリキュア』(風鈴アスミ/キュアアース役)、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(神楽ひかり役)、『影の実力者になりたくて!』(ガンマ役)など。
作品情報


『大室家 dear friends』
2024年6月21日より劇場公開!

  • ©なもり・一迅社/「大室家」製作委員会