TOPICS 2024.02.11 │ 12:00

『大室家』ならではの空気感を目指した 『大室家 dear sisters』
監督、コンテ・龍輪直征&シリーズ構成、脚本・横谷昌宏対談③

劇場公開中の『大室家 dear sisters』制作のキーパーソンである監督、コンテを担当した龍輪直征とシリーズ構成、脚本を担当した横谷昌宏による対談の第3回。2作目の『dear friends』でフィーチャーされるであろう撫子たち高校生組の話題に加えて、大室家の間取りなど、背景制作にかけたこだわりを語ってもらった。

取材・文/斉藤優己(パワフルプロダクション)

ミステリーのような楽しみがある高校生組

――2作目『dear friends』は撫子が中心の話とのことでしたが、どんな部分が見どころになりますか?
龍輪 この作品って、大室家の姉妹愛と、小学組の仲のよさはストレートに見られますけど、撫子まわりだけはすごく複雑なんですよね。『dear friends』ではその高校生組、撫子、めぐみ、藍、美穂の関係性をさらに深く描いていくので、楽しみにしてほしいです。
横谷 撫子のエピソードだけ、ミステリーみたいな楽しみ方ができますよね。僕は撫子が誰と付き合っているのか知らずにシナリオを書いていたので、全員均等に怪しく見えるよう、エピソードのチョイスをしていました。

龍輪 じつは僕、気になってなもり先生に「撫子は実際、誰と付き合っているんですか?」と聞いたんですけど、教えてもらえなかったんですよ(笑)。
横谷 じつは三股かけているんじゃないかって疑惑もありますよね(笑)。なもり先生の中では決まっているんですか?
龍輪 わかりません。原作を読み込んでも全然わからないので、本当に見せ方がうまいなと思います。その分、アニメではファンの皆さんに誤解を与えないよう表現に気をつけていました。たとえば『dear sisters』の最後のほうで、撫子が恋人を家に連れてくるエピソードがありますけど、最初は玄関に靴をふたつだけ並べていたんですよ。でも、靴のサイズで考察できるようにしてはいけないと思い、撫子や花子の靴も並べてあります。

「全員が撫子の恋人だと思って演じてください」

横谷 そういえば撫子と付き合っている子が帰ろうとしているときのシーン、シナリオを書いていたときは息遣いを少し入れる想定だったんですけど、ありませんでしたね。
龍輪 声でわかっちゃう可能性もありますからね。だから学校のシーンでも、高校生組のキャストさんたちには「全員が撫子と恋人だと思って演じてください」とお願いしました。

――その高校生組、めぐみ、藍、美穂も今回のアニメ化で初めて声がつきました。声がついたことで、原作を読んでいたときと印象が変わったキャラクターはいましたか?
横谷 僕は美穂ですね。めぐみ、藍はまさにイメージどおりという感じでしたが、美穂は悠木碧さんが声を入れたことで、より「Sっぽさ」が際立ったというか。すばらしいキャスティングだったと思います。
龍輪 悠木さんはもうちょっとかわいい感じでくると思ったら、聞いていてゾクッとするような、いい意味で意外性のある演技でしたね。あの少し伸ばすようなしゃべりかたは美穂の特徴だと思ったので、カッティングのときにシーンを短くせず、しゃべりを全部収めるようにしました。

こだわって設定を作り込んだ大室家の間取り

――劇場公開される作品ということもあって、背景にも力が入っていたように感じました。
龍輪 ファンの皆さんならご存知だとは思いますが、アニメ『ゆるゆり』の「聖地」と呼ばれている場所にロケハンに行きました。「大室家はコンビニから徒歩5分くらい」といった設定があるので、現地を歩きながら「たぶん、このあたりに大室家があるんだろうな」と想像していましたね。
横谷 オープニング映像を見せていただいたとき、街並みがすごくしっかり描かれていて驚きました。モデルになった場所があるんですね。
龍輪 ちゃんとあるんですよ。学校からの帰り道はこんな感じかな?と思いながら動画を撮り、それをもとにオープニングの映像を作りました。

――背景でとくにこだわった部分は?
龍輪 大室家の間取りはこだわりましたね。ファンの皆さんは大室家がどういう作りになっているのか、きっと気になっているだろうと思って、設定を作り込んだんですよ。
横谷 原作を読んでいるだけだと、大室家の間取りは全部わかりませんよね?
龍輪 実際にある一軒家の間取りをサンプルにしながら、原作の描写を突き合わせて設定を作っていきました。リビングや玄関、三姉妹の部屋の位置などはすんなりと決まったのですが、じつは玄関から入って真正面にある部屋は一度も描写されておらず、何の部屋なのか謎なんですよね(笑)。そこはアニメとしてもあえて決めず、想像の余地を残しています。

――最後に『dear sisters』を見た読者、これから見ようと思っている読者にメッセージをお願いします。
龍輪 『dear sisters』で、花子たちとみさきが次第に仲よくなっていく過程を皆さんに見ていただけたらと思います。あと「花子と撫子は、なんだかんだで櫻子が好きなんだな」と思ってもらえる三姉妹の様子を丁寧に描かせてもらいましたので、そこにも注目してもらえると幸いです。『dear friends』では撫子たち高校生組をたっぷり見せますので、引き続き応援をよろしくお願いいたします。
横谷 『dear sisters』本編を楽しんでいただきたいのはもちろんですが、劇場の入場者特典オーディオドラマもあります。劇場で配布されるコードを入手すれば聞けるものなのですが、全部で3パターンありますので、こちらもよろしくお願いいたします。endmark

龍輪直征
たつわなおゆき 1977年生まれ。北海道出身。アニメーション監督・演出家。監督作に『咲う アルスノトリア すんっ!』『異世界迷宮でハーレムを』など。
横谷昌宏
よこたにまさひろ 大阪府出身。シナリオライター。シリーズ構成を担当した主な作品に『ケロロ軍曹』『Free!』『トロピカル~ジュ!プリキュア』など。
作品情報


『大室家 dear sisters』
大ヒット上映中!

  • ©なもり・一迅社/「大室家」製作委員会