TOPICS 2021.06.03 │ 12:00

コロナ禍でもオタ活しながら生きていきたい④
同人誌ロスの危機〈後編〉

第4回は「同人誌と即売会」後編です。即売会がままならない今、私たちの同人ライフをサポートしてくれるのが「通販」です。#エアコミケ などのタグも登場し、SNSが盛り上がる一方で、「新刊が書けない」「印刷所さんが大変」という大きな課題も……。「オンライン」でどこまで同人文化を盛り上げることができるのか!? 同人誌書店さんの取り組みを取材しつつ、同人作家さんから、作品にかける情熱をおうかがいします!

取材・文/渡辺由美子 バナービジュアル/カヤヒロヤ

「巣ごもり需要」で通販の拡充が急務に

コロナで即売会が縮小している今、#エアコミケ #エアコミティア などの“エア即売会”がオンライン上で盛り上がっています。即売会のTwitter公式アカウントが開催日に「エア開場」などをツイートして、同人作家さんがハッシュタグと一緒に、自分の同人誌の紹介や通販のリンクをツイート。作品のファンが通販の購入ボタン押す、という流れができました。同人誌ショップ「とらのあな」さんは「通販」を強化するとともに、即売会との連携もはかることにしたそうです。「#エアコミケ など、即売会のハッシュタグが普及したことで、通販にもリアルタイム性が出てきました。とらのあなでも、即売会の期間中に自社のTwitterアカウントからハッシュタグをつけてサークル様の新刊を紹介しています。また、とらのあな通販サイト内でも開場アナウンスや拍手の音が流れるボタンを設置して、音で盛り上げたいと思いました」(とらのあな通信販売本部部長・野田純一さん) そして通販では、これまでのサービスを拡充したそうです。「とくに大きかったのは、同人誌購入で貯まるポイントの使用を期間限定から通年に変更したことです。また、コロナで店舗に来られない方のために、店舗と通販でそれぞれ貯まったポイントを合算して使用できるようにしました」(野田さん) 

キャラクターを追う人、作家を追う人

ところで同人誌は、男性と女性で買い方に違いがあると言われている分野でもあります。「女性は作品やキャラクターを追うことが多く、男性は作家さんを追う傾向があります」(野田さん)とのこと。二次創作の場合、女性が重視するのは「ジャンル」と呼ばれる作品とキャラクターです。これは私の場合ですが、お気に入り原作Aの二次創作を描いている作家さんが、別の原作Bの二次創作を描いていても、購入を見送ることがあります。作家さん以上に「自分がお気に入りの原作とキャラクター」を追ってしまう心理があるのでした(もちろん、「この作家さんの作品なら全部買う!」という作家買いのときもあります)。同人誌の通販サイトにも、「女性向け」独自の工夫があるようです。とらのあな通販女性部門担当・佐藤結さんは、「弊社の女性向け通販サイト『とらのあなJOSHIBU』では、お客様が目当ての作品やキャラクター、カップリングなどを探しやすいように、検索タグを細かくつけています。それ以外にも、女性向けTwitterアカウント『とらのあな すず』では、ジャンルごとにサークル様をご紹介させていただいています」(とらのあな通販女性部門担当・佐藤さん) そして、女性作家に向けて意外なサービスもありました。「女性作家様のリクエストから『シークレット販売』を始めました。これは、サークル様にパスワードを設定していただいて、届けたい方にだけ限定販売をするシステムです。たとえば、本の冊数に限りがあるので仲間内のみに販売したい、この本の趣味がわかる人だけに買ってほしいなど、作家の方の意向を汲む形にできればと考えております」(佐藤さん) 一方で、男性の同人誌ファンは「作家買い」がメイン。「男性は二次創作で知っても、その作家さんが違う原作の本を出しても購入したり、オリジナル作品も追っていく傾向があります」(佐藤さん)