「高嶺の花」の桜井と「陰キャの理想像」の風間
――桜井さんについてはいかがでしょうか?
しろまんた 桜井さんはクラスでも一二を争う人気者で、告白する男子も多いけど、「好きな人がいるの」のひと言で撃沈させる「高嶺の花」をイメージしたキャラクターです。美人だけど気さくで、僕のような「陰の者」にも「へ~、絵うまいんだ!」なんてコロコロ笑いながら接してくれるから、「あれ、俺のこと好きなのかな?」なんて勘違いさせてしまうタイプですね。いや、これも過去に実際にあったんですけど……(笑)。仕事はそれなりにできて上司からの信頼も厚く、女友達といるときはわりとふざけたりもするし、男性の同僚に対しても気さくに接する。もう好きになる要素しかないです。
――こんな女性が実際に近くにいたら、男性はみんな好きになってしまいますね。
しろまんた みんなが憧れて、男性はみんな牽制し合って近づけないのに、向こうから何の気なしに寄ってきちゃうという。内面は意外と子供っぽさが残っているせいか、あざとさがないんですよね。そして、そういうところがさらに男性を惹きつけてしまうのですが、本人はそんな自分の魅力に気づいていないという。これで自分の魅力を意識しつつ武器として使い始めると「魔性の女」になりますが、桜井さんはそうはならないかと思います(笑)。
――そんな桜井さんが思いを寄せる風間さんについてはいかがでしょうか?
しろまんた 僕はオンラインゲームをよくやるのですが、僕が知るうまい人たちはなぜかみんなテンションが低いんです。でも、ユーモアがあって面白く、ノリも悪くない。風間さんはそんな身近なゲーマー仲間をイメージして作ったキャラクターです。見た目は絵に描いたような陰キャなのですが、意外と仕事はできるし、バスケが趣味の隠れスポーツマンだし、いざというときの行動力と勇気も持ち合わせている。「陰キャにとっての理想像」とでもいうべき存在ですね。桜井さんのことが好きで、直接気持ちを伝えることはまだできないけど、街で変な連中にからまれているところに出くわしたら、ちゃんと助けに行ける。そういうところはヒーローっぽくて、僕も描いていて楽しいです。
夏美と優人には個人的な「黒い趣味」を詰め込んだ
――次は双葉の親友である夏美についてお願いします。
しろまんた 夏美さんは強くて自立した美人で、いつも双葉ちゃんを助けてリードしているように見えますが、じつは心の中では双葉ちゃんに依存している人です。僕はそういう「心に闇を抱えたキャラ」が好きなのですが、褐色でスタイルがいいところも含めて、夏美さんには僕の好きな要素をこれでもかと詰め込んでいます(笑)。双葉ちゃんは「いつも夏美に引っ張ってもらっているな……」と思っていますが、じつは夏美さんにとっては双葉ちゃんが唯一の心のよりどころなんです。街を歩いていると自然と人の目を引いてしまう美人なんだけど、コンプレックスを抱えている……みたいな。じつは、最初は「オネエ」にしようかとも思っていたんですが、それだとキャラ要素が交通渋滞を起こすのでやめておきました。
――では、そんな夏美とからむ機会の多い優人についてはいかがでしょうか?
しろまんた 優人くんはかわいい男の子を描きたいと思って作りました。優人くんの照れ顔とか、チラリと見せるおヘソとかは、男性読者には受け入れられにくいポイントですが、それでも「今まで男の子にそういう感情をもったことはないけど、ちょっとかわいいかも……」と思ってもらえるよう、がんばってかわいく描くようにしています。……じつは小学5年生の頃、とあるアニメがきっかけで、かわいい男の子の魅力に取りつかれまして。それ以来、小5ながらどんどん「そっち方面」の世界にもハマっていきました。優人くんは、そんな僕の「闇の趣味」を詰め込んだキャラクターなんです。
- しろまんた
- Webマンガを中心に活動しているクリエイター。代表作である『先輩がうざい後輩の話』以外に『かとうちゃん』シリーズをWeb上で発表している。他にも『尊い。4Pショート・ストーリーズ』や『ゲッサン』に掲載された『ことことこい』でショートコミックを発表したり、『イジらないで、長瀞さん』第2巻の特装版や『私に天使が舞い降りた!』第5巻特装版へイラストを寄稿するなど、精力的に活動している。