TOPICS 2021.10.14 │ 12:00

TVアニメスタート!
先輩がうざい後輩の話 原作者・しろまんたインタビュー②

Twitterやpixiv、そして『comic POOL』で連載中のショートコミック『先輩がうざい後輩の話』が、この10月から待望のアニメ化。その原作者である、しろまんたへのインタビュー後編は、登場キャラクターたちの関係性、そしてアニメ化に対する思いなどを聞いた。

取材・文/福西輝明

恋の中で不安になる気持ちを描く双葉&武田

――続いてキャラクター同士の関係性について聞かせてください。まず双葉&武田先輩のシチュエーションを描く際は、どのようなことを念頭に置いているのでしょうか?
しろまんた 最初は、学校の先輩などの年上の人に憧れを抱いたときの気持ちを描こうと思ったんです。その好意はともすると一方通行で、向こうはこちらのことは何とも思っていないのかも……という「不安に揺れるモヤモヤした恋」ですね。相手の思いが見えない状態で不安でいっぱいなんだけど、そういう人に褒められたりするとうれしくて、ついつい気持ちが弾んでしまう。そんな経験をしている人の心に届けたいと思って描いていました。

――双葉と武田先輩は仲はいいですが、「男女の関係」という感じではないですよね。武田先輩は双葉のことをどう思っているのでしょうか?
しろまんた 武田先輩は双葉ちゃんのことを後輩として、部下として好感を抱いてはいるのでしょうが、恋愛感情があるかどうかという話になると、じつのところ僕自身にもわからないです。お互いの家に泊まりに行ったりしているけれど、全然そういう雰囲気にならない。どうしてなんでしょうね?(笑) 現実にも、一緒に家にいても変な気持ちにはならず、逆に心からリラックスできる関係ってあると思うんですよね。それがやがて恋愛感情に変わる瞬間がくることもあるだろうし、ずっと変わらずよき友人関係であり続けることもあるでしょう。双葉ちゃんと武田先輩がどうなっていくのか、ひとまずはなりゆきにまかせてみたいと思っています。

王道ラブコメを地で行く風間&桜井

――では、風間&桜井の関係についてはいかがでしょうか?
しろまんた 風間さんも桜井さんも、お互いに相手に明確な好意を抱いているけれど、「あと一歩」を踏み出せないでいる。そんな「こそばゆくなるような恋」を意識して描いています。『先輩がうざい後輩の話』の中でもいちばんオーソドックスな王道ラブコメで「風間さんかっこいい、うらやましい!」「桜井さん、めっちゃかわいい!」と幅広い年齢層の方々に共感していただけるものになるようにと。僕自身、お話をいちばん作りやすいキャラクターですし、描いていてめちゃくちゃ楽しいです。風間&桜井組に比べると、主人公コンビである双葉&武田組はものすごい変化球なんですよね。あまりに変化球すぎるので、普通だったら編集さんに「双葉&武田が主人公だとちょっと……」とストップがかかってもおかしくないと思います(笑)。

「おねショタ」と思いきや意外と業の深い優人&夏美

――では、優人&夏美組についてお願いします。
しろまんた 夏美さんは強くてかっこいい女性、そして優人くんはかわいい男の子として描いているので、パッと見は「優人くん目線のおねショタ」的に見られがちです。でも、夏美さんもああ見えてじつはさまざまなコンプレックスを内に抱えていて、親友である双葉ちゃん以外に心を許せる人がいないんです。優人くんはそんな彼女とまっすぐに向き合い、一生懸命に距離を詰めようとしてくれる。だから夏美さんも素直な気持ちで、優人くんに接することができる。じつはこのふたりのエピソードは、夏美さんの心が救われていくお話として描いている部分があるんです。

――優人&夏美は「グイグイくるお姉さんと、かわいい男の子のおねショタ」として見ていたので、そのお話は意外です。
しろまんた パッと見はライトに読んでいただけるように描いているので、そういう楽しみ方ももちろん大歓迎です。そこからさらに深読みしていただくと、夏美さんのほうが優人くんに依存しているのに気づかれると思います。また、このふたりについては「かわいい男の子のおヘソ」とか「強くて美人だけど、じつはメンタルはいちばん弱い」みたいな僕の趣味とフェチ心を詰め込んでいて「同好の士の心に刺され!」と思って描いています(笑)。

作品情報

『先輩がうざい後輩の話』
好評放送・配信中

  • © しろまんた・一迅社/先輩がうざい製作委員会