初回から際立ったドラゴンキーパーの異質さ
――いよいよ『戦隊大失格』2nd seasonがスタートしました。最初のエピソードを見た率直な感想を聞かせてください。
小林 ブルーキーパー役の井上剛さんが「1st seasonもすごかったけど、2nd seasonもやばくね?」とおっしゃっていましたが、作画のクオリティが相変わらず素晴らしいなと。さとう(けいいち)監督のこだわりのカメラワーク&演出と音楽の壮大さも相まって、『戦隊大失格』が帰ってきたな!と思える導入に仕上がっていました。そして、1st seasonでブルーキーパーとの決戦をご覧になった方は、ドラゴンキーパーの面々を「怖いところもあるけど堂々たるヒーローだ」と勘違いしたかもしれません。でも「やっぱりドラゴンキーパーはヤバい……」と認識をあらためさせるようなレッドキーパーの残忍さが垣間見えたりもしましたね。あらためて大戦隊という組織の異質さと歪さが描かれて、初回からグッと作品世界に引き込んでくれる演出だと思いました。

©春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会
――レッドが誤って自分にお茶をかけた隊員を撲殺するのはやはり異常ですし、それを他の面々が黙って見ているのも異質でした。
小林 かなり異様な空間でしたよね。そんな中で、あえてレッドを挑発した夢子のメンタルこそ異常なんじゃないかと……。ただ、どうしてあの場であんな風に振る舞うのか。そして、お茶をかけた相手を撲殺したレッドが、なぜ夢子には一切手出ししないのか。じつはそこも重要な伏線になっていて、後に「そうだったのか……!」と思える展開が待っているんです。あとは、あのシーンで大切なパートナーであるブルーを失った藍染が闇落ちしそうな感じもよかった。僕はああいうかわいらしい子が闇落ちする展開は嫌いじゃないので(笑)。

©春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会
今作では翡翠がヒロインに昇格!?
――Dがグリーン部隊に所属することになり、翡翠が直属の上司になるところも要注目の要素でした。小林さんは翡翠にどんな印象を持っていますか?
小林 正直、1st seasonでの翡翠は「口が悪くておっかない女の子」という印象しかなく、それほど魅力を感じませんでした。でも、2nd seasonからメインキャラのひとりに昇格してキャラクター性が深掘りされてから、翡翠がいちばん好きなキャラになりました。彼女がいつもセーラー服を着ている理由や、今のような性格になった背景も描かれますし、今作のメインヒロイン的な立ち位置になるんです。もはや今作は「翡翠編」といっていいくらい。「まさかあの翡翠が!?」と思われるかもしれませんが、彼女のさまざまな一面を踏まえてヒロインとして見てみると、すごく魅力的に見えてくるはずです。

©春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会
――日々輝の姉であるピンクキーパーのブラコンぶりもすごかったですね。
小林 たしかに、かなり振り切ったブラコンぶりでしたね。僕はピンクのような「表ではクールぶっているけれど、裏では愛があふれすぎて様子がおかしくなるお姉さん」は大好物です(笑)。どうしてその想いを弟に素直に打ち明けないのかといつも思うんですが、日々輝はものすごく鈍感だから、どんなにストレートに愛を伝えても「やっぱり姉さんは優しいな!」みたいに良い姉としかとらえないかも……。そういう点でも、あの姉弟はいろいろなところがかみ合わなくて面白いです。ただ、今のブラコンぶりも今後の伏線のひとつになっているので、ピンクまわりのことも油断せずに注視していただければと思います。
原作よりも疾走感のある展開に注目
――実際の映像を見ましたが、原作と比べて展開がかなりスピーディに感じました。
小林 おっしゃる通り展開が結構早いですよね。原作からいくつかのシーンが省かれているんですが、そのぶんスピーディかつ疾走感のある内容になっています。ただ、謎解き要素があるのに展開が少し早いので、きちんと考えながら見ていないと置いていかれてしまうかもしれません。何度か見返して理解を深めたうえで次の放送に備えてほしいです。

©春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会
――収録中に印象に残るエピソードはありましたか?
小林 じつは今回、収録の上で大きく変えたところがあるんです。これまで僕は今作のモノローグをちょっと大人びた「青年D」として声を当てていたんです。シリアスなシーンに、コミカルないつものDの声でモノローグを入れると、雰囲気がぶち壊しになりますからね。ただ、2nd seasonはDの視点で展開するお話が多いので、僕からさとう監督に「ここからのモノローグは全部Dの普段の声でやってもいいですか?」と提案したうえでやってみました。ですから、これまで今作をご覧になっている方にはちょっと新鮮に聞こえるかもしれません。

©春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会
小林 あと、2nd seasonはとにかくガヤの収録が多くて大変でした。1st seasonは訓練生同士の話がメインだったのでガヤ自体があまりなかったんですが、学園が舞台となる今回は生徒がたくさん登場するので、キャストだけでなくマネージャーなども参加するガヤがたくさん録られました。ひとつのシーンにつき4回くらい、それを3つのシーンだから合計12回くらいやるので、ガヤ録りだけで30~40分。シーンによっては小道具を持ち込んで、太鼓を叩いたり笛を吹いたりしていたので正直疲れましたが、さとう監督の並々ならぬこだわりを感じました。
――第14話以降の見どころを教えてください。
小林 第14話以降は、とある学園に潜入して隠れている幹部を探すことになるんですが、Dたちは不可思議なループ時空に巻き込まれてしまいます。どうやったら同じ時間を繰り返すループから抜け出せるのか。首謀者は誰なのか。そして、Dは初めての学園生活をどう過ごすのか。どんどんスケールが大きくなる物語と、各キャラクターの心の機微を味わっていただければと思います。

©春場ねぎ・講談社/「戦隊大失格」製作委員会
- 小林裕介
- こばやしゆうすけ 3月25日生まれ。東京都出身。ゆーりんプロ所属。主な出演作は『日本へようこそエルフさん。』(北瀬一廣/カズヒホ)、『ババンババンバンバンパイア』(立野李仁)など。