TOPICS 2023.07.20 │ 12:01

アムロ・レイの演じかた
~古谷徹の演技・人物論~ 最終回(中編)

最終回 これからのアムロ・レイ

アムロ・レイといえば、アニメに限らず、ゲームなどの他媒体に登場する機会も多い名キャラクターである。本来の世界の外側で、さらに広がりを見せていくのが『ガンダム』シリーズの魅力ではあるが、古谷徹はその中でアムロ・レイをどう演じているのだろうか。

取材・文/富田英樹 撮影/高橋定敬 ヘアメイク/氏川千尋 スタイリスト/安部賢輝 協力/青二プロダクション、バンダイナムコフィルムワークス

マルチバースなら『Zガンダム』のアムロをカッコ良くしたい

――『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』でのアムロは生死不明とされた『逆襲のシャア』以降の時代での描写になりますが、あれはどういう感覚で演技したのでしょうか?
古谷 演技といってもひと言だけだからそこまで深くは考えていないけれど、基本的に『逆襲のシャア』でのアムロだと捉えています。似た存在として『機動戦士ガンダムUC』にも登場しているけど、それらはすべて『逆襲のシャア』のラストの時点に留まっているアムロであるという感覚というのかな。

だから当時の演技を再現する気持ちだったけれど、ハサウェイには優しくしたいという思いはありました。それは自分がもう戦場にはいないということもあって、ある意味、超越した存在となっているからです。だから父親的な視点というよりは、子供の頃から知っている親戚のおじさんみたいな視点なのかな(笑)。

――昨今のアメコミヒーロー映画ではマルチバース(多元宇宙論的世界観)によって、同じキャラクターでも別の世界が描かれることがあります。もし、別ルートでのアムロを演じるとしたら、どういうストーリーを望みますか?
古谷 ええ、見た目とか性格も違うの? 今のアメコミヒーローはそんなことになっているんだ(笑)。アムロの場合だと、『Ζガンダム』で本当に家の地下にモビルスーツを隠しているとかになるのかな。アムロの性格を大きく変更するのは思いつかないけど、やっぱりカミーユと一緒に宇宙に上がっていたらどうなっていたのかというのは気になりますね。それはつまりシャアとの共闘を意味しているんだけど、そこでシャアを許せるようになったとしたら……いや、やっぱり平行線なのかな。でも、アムロとシャアが共闘できたら向かうところ敵なしだよね(笑)。

――善き地球連邦政府になると思います。
古谷 どうしても『Ζガンダム』時代のアムロをカッコ良くしたいと思っちゃう(笑)。僕の中ではそれが望むマルチバースになるのかな。『逆襲のシャア』以降のアムロを見てみたいとはあまり思わないし、あそこで完結しているという感覚が強いんです。それに、もっと大人になったアムロがいるということはシャアも生きているんだろうから、やっぱり戦いが続いているんじゃないかな。『逆襲のアムロ』があってもいいとは思うけど、年齢を重ねてもアムロはモビルスーツのパイロットであり続けるだろうし、それはそれでカッコ良いと思いますよね。endmark

古谷徹
ふるやとおる 7月31日、神奈川県生まれ。幼少期から子役として芸能活動に参加し、中学生時代に『巨人の星』の主人公、星飛雄馬の声を演じたことから声優への道を歩み始める。1979年放送開始された『機動戦士ガンダム』の主人公アムロ・レイをはじめ、『ワンピース』『聖闘士星矢』『美少女戦士セーラームーン』『ドラゴンボール』『名探偵コナン』など大ヒット作品に出演。ヒーローキャラクターを演じる代名詞的な声優として現在も活動中。
後編は7月25日(火)に掲載予定