ひとりぼっちでない「君と僕」がうらやましかった
――山本彩さんの「JOKER」の歌詞がとくに刺さった、ということですが、具体的にどんな部分が印象に残りましたか?
伊達 内省的で閉じこもっている歌ではないところです。「僕と君」という、伝えたい相手がいる歌なので。私が悩んでいたときは、自分がひとりぼっちだと感じていた時期だったので、それが響いたんだと思います。地元の宮城にいた頃は、まわりになんでも話せる友達がいたので、曲を耳にはしていても、強く印象に残っていなかったのかな。上京して、お仕事の悩みを持つようになって、初めて身近に話せる相手がいるというのはすごく大事なことなんだな、うらやましいなという気持ちになりましたね。
――気軽に話すことができない、というのはどういう心理なのでしょう?
伊達 遠慮なく、なんでも友達に話せていた頃と比べて、お仕事のことで誰かに相談したいときや、自分の気持ちや考えを伝えるときにためらってしまったり、疑問に思ったことでも「聞いてもいいのかな?」とつい考え込んでしまうんです。でも、お仕事と友達はまた違うことだと思うので。
――伊達さんの場合、何段階も飛ばして急に大人の領域に踏み込まざるを得ない状況もありましたよね。
伊達 そうですね。誰しもが経験することだとは思います。地元の友達とは今でも連絡を取り合っていますが、とりとめのない話をすることが多いです。悩みごとができたときは「どう相談しようか」とさらに悩みがちで、もちろんマネージャーさんと話をすることも多いんですが、小さな悩みごとは自分の中で解決しなきゃ、と最近は思うんですよね。
まっすぐで嘘がないメッセージ
――この曲を聞きたくなるのはどんなときですか?
伊達 自分を強くしたいときですかね。「私とあなたがいて」とか「あなたがいてくれたおかげで」みたいな……そんな歌詞の状況に憧れているときが多いです。ちょっと寂しいとき、隣に誰かがいてほしいときによく聞いている気がします。
――歌詞の中でとくに好きなフレーズはありますか?
伊達 迷うなぁ……サビも好きなんですが、心に刺さっているのは2番のBメロです。「平気なふりは下手なままでいい」というところ。どういう意味だろう、と最初は考えたのですが、きっとこのままの意味で「平気なふりはしなくていいんだよ」と私に言ってくれている気がして。私自身は山本彩さんにお会いしたことはないですし、憧れの方なのでむしろ距離があるのですが、この部分の歌詞を聞いたときに、山本彩さんに直接言ってもらえたように感じて、心にすごく響きました。歌声で率直に励ましてもらったというか、自然に「強がらなくてもいいんだな」という気持ちにさせてもらえました。
――山本彩さんのライブ映像などを見ると、とにかくギターを手にした姿がサマになる方ですよね。
伊達 そう、本当にカッコいいんですよね! 「カッコいい女性」という言葉を体現した方だな、と思います。感情をすべて、ご自身で奏でるギターと歌声に乗せていらっしゃるという感じがして、すごく素敵です。瞳がまっすぐで、嘘がないんだろうなと感じます。
心に残った言葉を書きとめている
――「JOKER」のMVでは山本彩さんが一人二役を務めていますが、伊達さんがなにかで一人二役をする機会があったら「こんなことをしてみたい」と考えることはありますか?
伊達 誰しも人間には二面性があるものだと思うのですが、自分の心理を天使と悪魔のようなかたちで見せてみたいと思います。たとえば、笑っているときの自分と、その裏で抱えているものを同時に見せる。単純に「楽しい」の裏側に「つらい」があるんじゃなくて、笑っているけど心の中はそうじゃない、どうしてなんだろう?と自分の心に戸惑っている様子を一人二役で表現してみたいです。
――山本彩さんは作詞・作曲も手がけていますが、いつか自分で作詞や作曲をやってみたいと思いますか?
伊達 作曲はまだイメージが湧かないですけど、じつは、心に残った言葉をノートに書きとめることはやっています。「いつか作詞のために!」とか、具体的な決心があってやっているわけではないんですけど(笑)。
- 伊達さゆり
- だてさゆり 9月30日生まれ。宮城県出身。Apollo Bay所属。『ラブライブ!スーパースター!!』一般公募オーディションを経て、澁谷かのん役で声優としてデビューを果たす。趣味は歌を歌うこと。特技はよさこい。
好評発売中の『Febri AUTUMN 2022』にも伊達さゆりさんのフォト&インタビューを掲載。
撮りおろし写真とともに20歳を迎えた心境をたっぷりと語ってもらっています。
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