4コママンガからアニメCMになった「りっす」
――りっすはスナックミーのパッケージに同梱されている4コママンガがもとになっているそうですね。まずはアニメ化した経緯を教えてください。
中村 最初は名古屋テレビ放送で流すテレビCM用の動画として「りっす」のアニメ化企画が立ち上がったんです。社内で作ろうという話になり、2020年当時、デザイナーのインターンでお世話になっていた私に、スナックミーの服部慎太郎代表から直接「アニメを作ってくれないか」という話をもらいました。
――直接任命されたというのはすごいですね。
中村 デスク越しに代表と話しながら、わりと雑談のような感じで決まった記憶があります(笑)。私は大学では映像制作を学んでいて、りっすの企画の前にもPR動画をひとつ作っていたんです。それで、ぜひということで。
――テレビCMからYouTube用の動画になったのは、どういった理由があったのでしょうか?
中村 当初はテレビCM用に動画を作っていたのですが、制作スピードが追いつかず、テレビ放送の予定が後ろにずれこんでしまったので、それなら先にYouTubeで配信してみようかということになったんです。テレビCMも、2021年の1月~2月に愛知、三重、岐阜の3県で放送されました。
――アニメ化にあたっての設定などは、中村さんが用意したのですか?
中村 冊子に載っている4コママンガは私とは別のデザイナーさんが描いていたもので、りっすのキャラクター設定はその方が作られたものがベースになっています。アニメ化するにあたり、デザイナーさんと相談して必要な設定やエピソードをあとから加えているのですが、4コマ時代に比べると、食いしん坊でマイペースでちょっと抜けている感じのキャラクターになっていると思います。
スナックミーのパッケージに同梱されているりっすの4コママンガ
――どのような設定を追加したのですか?
中村 りっすの苦手な食べ物は、スナックミーのサービス内容を説明する動画を作るときに新しく付け加えた設定ですね。好きな食べ物については、もともとあった設定を前面に押し出しています。
――好き嫌いの理由はあるのでしょうか?
中村 ユーザーさんの「苦手な食べ物」で登録が多いレーズンを苦手な食べ物に、人気の高い商品である「プレミアムドライパイン」を好物にしました。個人的に「枝付きレーズン」が好きなので本当はりっすに食べさせたいのですが、できないのがもどかしいです(笑)。
――りっすは、かわいい見た目とは裏腹な年齢や趣味などがユニークですね。中村さんのりっすの第一印象はどんなものでしたか?
中村 もともとの4コママンガは、けっこうシュールな印象がありました。りっすが人間換算で26歳だと知ったときは私も笑ってしまいました。デザイナーさんに「なんで26歳なんですか?」と聞いたら自分の年齢に合わせたそうで、りっすの年齢も毎年あがっていくんですよ。
――スナックミーのユーザー層が親近感を感じやすい設定を意識しているのでしょうか?
中村 そうですね。ユーザーさん目線という意味だと、Twitterで投稿しているマンガのほうがより意識しているかもしれません。「おやつをすぐに食べきっちゃう」とか「甘いものとしょっぱいものを交互に食べちゃう」とか、ユーザーさんが言っている「おやつあるある」をお借りしたネタを描いたり、共感できるポイントをよく探しています。
――表情設定もさまざまな表情があります。こちらもマンガがベースになっているのでしょうか?
中村 一部はマンガで描かれた表情をピックアップしていますが、ほとんどは私が新しく描いています。いちばん気に入っているのは「ちょっとアホな顔」ですね(笑)。アニメのりっすの性格がすごく出ているかなって。
――「何かを悟ったときの顔」はとてもインパクトがありますが、視聴者から人気の顔はありますか?
中村 「何かを悟ったときの顔」は私も好きです。かわいい顔ばかりだとりっすらしくないのでシュールさがほしいなと思って入れたのですが、コメントで視聴者さんから突っ込まれますね(笑)。他にも「超嬉しい顔」は、かわいいとよく言われます。
――表情作りで大変だったポイントはありますか?
中村 どの表情もさらっとアイデアが出てきた気がします。最近は「何か食べてるときの顔」にもうちょっとバリエーションをもたせてもいいかなと思っています。あとは表情ではないのですが、りっすの横顔がかわいくないのでなんとかしたいなと(笑)。アニメの構図もできる限り横顔を映さないようにしているので、振り返る動作とかが少ないんです。