悩みを断つために受け入れる
――佐切を演じるにあたり大事にしたことは何でしょうか?
花守 佐切は、罪人に恐れを抱かせずに首を斬る父の姿に憧れがあるので、父親に失望されたくないと思っています。罪人に恐れを抱かせる原因が自分の「迷い」だと思っているので、死罪人に同情しないよう客観的に見るようにしているのですが、内心では首を斬るということが自分の中に落とし込めず、さらに女であるがゆえに山田家一門を継ぐことができないという悩みや迷いを持っている。第一話で佐切が牢で画眉丸の調書を取るとき、彼に背を向けたかたちで拒絶し、自分の心を保っているのですが、第二話で画眉丸の「気が重いんだよ……。これから背負うものを考えたら」というセリフによって、迷いを断つためには拒絶するのではなく受け入れること、背負うことなんだと気づかされる。その心の動きを表現しました。
佐切の心に寄り添いながら演じました
――佐切は女性であることを突きつけられますが、どのように演じましたか?
花守 性別に縛られるのは嫌だなという感情はいつの時代にもあると思うんです。生死が身近にある世界だからこそ、より際立つ問題と言いますか。それは佐切の設定を見たときに感じていて、男の人が多い中で御様御用(おためしごよう)としての地位をどう築けるのか、その中でどうすれば自分を認めてもらえるのかという悩みは現代を生きている人たちにも共通する感情なのではないかと思っています。男だから女だからではなく、自分がそうしたいからこの道を歩む。不利なのはわかっているけど、否定されても自分の意志を貫きたいという葛藤ですね。私自身、男の子を演じたり、カッコいいキャラクターを演じたり、かといって可愛いキャラクターを演じないわけではないですし、女の子だから可愛い演技だけというわけではなく、血を吐きながら戦ってもいいじゃないって思っています。私は佐切に比べると否定されにくい時代に生きていますが、それでも誰かに否定されたらどうしようという恐怖は常にあるので、彼女の気持ちを理解しながら、寄り添うように演じさせていただきました。
――第三話以降の見どころを教えてください。
小林 第二話はまだ島に旅立つ前ですので、それはそれでバトルロイヤル感があって楽しいのですが、島に行くとそれぞれの個性や死罪人と打ち首執行人との関係性が見えてくると思います。また、竈神(そうしん)といった敵側の恐ろしさは、見ている人によって見え方が変わってくると思います。島に行ってから印象がガラっと変わるので、いろいろな部分に注目していただきたいです。
花守 第三話からキャラクターの深掘りが始まって、怒涛の選別が行われます。神仙郷の地は適応しないと命を奪われてしまう場所なので、佐切たちが生きて帰るためにどういった行動をとるのかが必見です。さらに先ほど小林さんがおっしゃってくださいましたが、天仙というなんでもありの敵も出てきます。敵と対峙したときに見せる画眉丸たちの心の強さは見ていてとくに惹かれる部分です。ぜひ戦闘にも着目してもらえるとうれしいです。
- 小林千晃
- こばやしちあき 6月4日生まれ。神奈川県出身。大沢事務所所属。主な出演作は『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』(ヒロト役)、『氷属性男子とクールな同僚女子』(氷室くん役)など。
- 花守ゆみり
- はなもりゆみり 9月29日生まれ。神奈川県出身。tomorrow jam所属。主な出演作は『ゆるキャン△』(各務原なでしこ役)、『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(キュアコーラル/涼村さんご役)、『カワイスギクライシス』(リザ・ルーナ役)など。