緊張と焦りでいっぱいだった第3話のアフレコ
――第3話のアフレコに臨んだときの心境を教えてください。
上田 ゴールドシップの強さやレースへの想いなどをTVアニメで見せられるのは、本当に最初で最後かもしれないから、見てくれる人のためにも悔いが残らないお芝居をしなくては……とか考えていたら、だんだん訳がわからなくなってきて(笑)。アフレコ前の空き時間に近くの喫茶店でこっそり映像と台本を見ながら「どうしよう、どうしよう……」と焦っていました。
――当日のギリギリまでプレッシャーを感じていたのですね。そのアフレコの最中で印象的だったことを教えてください。
上田 最後の直線のところで観客が歓声をあげる中、ゴルシちゃんも最後の力を振り絞って叫びながら走るけど、どうしても差が縮まらなくて、歯を食いしばりながら沈んでいくんです。最初、そのシーンでの自分の感情や芝居が、スタッフさんが用意してくださっていた画の芝居と合わなくて。ここがいちばん大事なシーンだとわかっていたので、何度もトライさせていただきました。
――レースの前、有馬記念(作中では「馬」の点はふたつ、以下同)でラストランとなることを発表したあと、キタサンブラックと話すシーンも印象的でした。
上田 あのシーンも最初、自分の過去を振り返るときにエモくなりすぎちゃたみたいで「上田さん独特のエモさが入っているから、もう少し淡々と語って」というディレクションをいただきました(笑)。
モチーフ馬のゴールドシップ号のことも、もっと知ってほしい
――第3話のエピソードを経て、上田さんの中のゴールドシップ像に変化はありましたか?
上田 結局、楽しいことが大好きで、みんなを楽しませたいという軸は変わっていなくて。だからこそ、最後に「<トゥインクル・シリーズ>での借りは、ドリームトロフィーリーグで必ず返す!」と言ったのだと思います。あと、やっぱり優しい子ですよね。自分もラストランを終えて燃え尽きているのに、キタサンブラックに声をかけるシーンは、台本を読んでいても「優しいな」と思ったところで、そこも大事にお芝居しました。だから私の中では、あまり変化がないのかもしれません。でも、第3話を見て、ゴルシちゃんのことも、モチーフ馬のゴールドシップ号のことも好きになってくれる人が増えるとうれしいです。
――競走馬とウマ娘、どちらのゴールドシップも好きになってほしいのですね。
上田 YouTubeの公式チャンネルで、実際のゴールドシップ号の引退レース(2015年の有馬記念)なども見られるので、アニメを見て気になった人が調べてくれたらうれしいです。逆に、競馬ファンの人が、ゴールドシップ号の引退レースをモデルにしたアニメがあるという話題を聞いて、アニメを見てくれたらいいなとも思います。
キタサンブラックにとっても大事な第3話になった
――『ウマ娘』から競馬に興味を持った人には、ゴールドシップ号が勝利したGⅠの映像も見てほしいのでは?
上田 そうですね。私は、宝塚記念(2013年)が大好きです。でも、正直、第3話の話題は「暴君」と「貴婦人」が持っていくんだろうなあ(笑)。
――ネタバレにならない範囲で、第4話以降の見どころを教えてください。
上田 この第3話って、ゴルシちゃんだけではなく、今後のキタサンブラックにとっても大事な回になったと思っています。ぜひ何度も見返してほしいです。
――最後に、このインタビューを読んでいるウマ娘ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
上田 最後まで読んでくださってありがとうございます。今までのゴルシちゃんは「面白くて優しいお姉さん」という面が描かれていたと思うんです。でも、今回の第3話で、レースに懸ける想いがついに描かれました。<トゥインクル・シリーズ>のラストランは終わりましたが、ゴルシちゃんの未来はアニメでもゲームでもまだまだ続いていくので、今後も応援をお願いします。そして、先ほどもお話ししましたが、ゴルシちゃんを通してモチーフ馬のゴールドシップ号のことをもっと知ってもらえると、ラストランの重みをより感じて楽しめるはずです。この機会にどちらのゴールドシップのことも、もっとたくさん知ってもらえたらうれしいです。
- 上田瞳
- うえだひとみ 7月29日生まれ。京都府出身。青二プロダクション所属。主な出演作に『ワールドトリガー』(氷見亜季役)、『戦翼のシグルドリーヴァ』(レイリー・ハルティア役)、『神クズ☆アイドル』(河川敷役)、『トニカクカワイイ 女子高編』(犬養葉加瀬役)など。
『ウマ娘 プリティーダービー Season 3』
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