ギャグとシリアスのメリハリが、アニメでより強まった
――TVアニメ第1期の放送終了からしばらく経ちますが、今、あらためて感じる『マッシュル-MASHLE-』の魅力を教えてください。
小林 やっぱりバトルとコメディのバランスですよね。とくに序盤から中盤にかけてが顕著で、終盤になると少年マンガの王道らしいシリアスな要素が強めになるという、ハイブリッドな魅力が詰め込まれていたんじゃないかなと。
石川 たしかに、いろいろな要素が詰め込まれていて、最後まで楽しかったです! もちろん、原作を読んでいたときからギャグとシリアスのメリハリは感じていたんですが、マンガって自分のペースで読んでいくものじゃないですか。でも、アニメだと作品のテンポ感に巻き込まれていくので、終盤のシリアスなシーンの「重さ」や、マッシュのキメのカッコよさが、より引き立って見えるんです。あんなにフワッとした感じのキャラクターだったのが、堂々としたヒーローに見えるところに、すごく魅力を感じました。
――典型的なヒーローとは、ひと味もふた味も違うキャラクターですよね。
江口 マッシュはマイペースというか、本人の確固たる時間軸で生きているので、その中で繊細な力加減を求められるんですよ。現場でもやりすぎなときは「もうちょっと抑えてください」と言われていて、そばで見ていても大変そうだったんですけど、そこがブレずに軸としてあるからこそ、まわりがトルネードのように勢いよく回っていけるんですよね。
上田 オンエアを見ていると、そこに音楽や皆さんのお芝居など、いろいろな要素が合わさって魅力が倍増する感じなんです。でも、「どこが面白いの?」って聞かれると、うまく言葉にできなくて。
小林 もう理屈じゃないんですよね(笑)。
上田 そうなんですよね。もう、独特の世界観があるんです。しかも、マッシュくんのまわりにいるキャラクターたちがちょっとだけ幸せになっていくのが素敵で、みんなの居場所を作ってあげる工程を見守っているのがホントに楽しかったです。
川島 最近、友達の家に遊びに行ったら、家主がまだ『マッシュル-MASHLE-』を見ていなかったので、一緒に第1話から見たんです。そうしたら、第11話まで一気見してくれて! 普段そんなにアニメを見ている奴でもないのに、そこまで面白く見てもらえる作品なんだなって、ヒシヒシと感じました。
小林 第11話まで見てくれたなら、あと1話(最終回まで)見てほしいけど(笑)。
江口さんは「怖い」から「かわいい」に変わってきた(川島)
――第2期のアフレコが進んでいるそうですが、ここまで語ってもらっている感覚に変化はありますか?
石川 第2期になっていちばん大きい変化は、たくさんのキャストと一緒に収録できるようになったことです。第1期はコロナ禍で分散収録だったので現場では絡みがなく、最終回が終わって初めて共演者と話せた、なんてことも結構あったんです。でも、第2期はいろいろなキャストさんと一緒に録れていて。
小林 かけ合いのシーンも、なるべく実際にかけ合えるようにしていただいているんですよ。
江口 人が増えると、それだけ現場の空気感をマイクに詰め込める感じもして。コロナ禍でいろいろなものが制限された分、きっと溜まりに溜まった何かが役者の中にもあると思うんですよ。かけ合いでぶつかれるのってやっぱり楽しいし、その空気感を第2期で届けられるのはありがたいですね。
石川 第1期から共演しているキャストさんとは、1クールやってお互いのテンポ感や間尺を把握したうえで第2期に入っていますから、役柄の関係性と似たようななじみ方でアフレコに臨めています。
――1クールを通じて交友を深めたあとだと、お互いの印象も変わってきませんか?
小林 最初、川島くんは江口さんのことをすっごく怖がっていましたね。「大きくて怖い」って(笑)。
石川 動物やん!
川島 たしかに。それが最近は、大きくてかわいい先輩になってきていて……。
江口 なんで今は怖がってないんだよ!(笑)
石川 いや、かわいいのよ、江口さんは!
――どんなところがかわいいんですか?
川島 アフレコが終わったあとに「てちてちてち」と歩いてきて……。
小林 歩き方、本当に動物じゃん!(笑)
川島 それで「あ、江口さんが来た!」と思って「江口さん、飲みに行きますよ」って誘ったら「俺は後ろがあるんだ!」と言って、また「てちてちてち」と歩いて去っていくという……。
江口 何しに行ったんだ、俺!?
千晃くんのことは真面目な人だと思っていたけど……(江口)
――(笑)。江口さんは、印象が変わった方はいますか?
江口 皆さん、ギャップはありますよね。最初、(小林)千晃くんのことを真面目な人だと思っていたら、圧力がすごくあって……怖いなぁって。
小林 川島くんと逆じゃん!
江口 いわゆるパーソナルエリアに平気でフワッと入ってきて、ボディブローを決めてくるような詰め方をしてくるから「新しいタイプの人類!」と思いました。その面白さを第2期でも堪能させてもらっています。
上田 千晃くんは以前、「全裸でアフレコしたい」とおっしゃったことがあったんですよ。
川島 あ、イベントのとき「全裸でアフレコしたい」って大勢の前で言ってた!
江口 えーと、何をおっしゃっているんでしょうか……?
小林 いや、そこだけ聞いたらおかしいけど、たしか「地球が最後の日になったら何をしたいですか?」みたいな質問があって。「普通に仕事をしていたい。でも、最後の日に普通にアフレコするのもアレだから、せめて全裸で」って言ったんです。
川島 せめて!?
石川 ああ、マッシュみたいだね。
江口 その発言を聞いて、上田さんは?
上田 怖いなぁ……って。(一同笑)
小林 それなら上田さんも、レモンちゃんみたいなキャラはイメージになかったのに、もう上田さん以外には表現できない!ってくらい見事に演じられていて。アフレコでも、江口さんや川島くんのツッコミのテンションの上をいったりするんですよ。ってことは、やっぱり上田さん自身にもレモンちゃんの素養が結構あるんじゃないかなぁって、僕は疑っています!
川島 (第2期に登場するマーガレット役の)子安(武人)さんがビックリしてますもんね。
石川 ……怖い。
上田 私は怖くないです!
小林 新キャストの方々は、みんな上田さんのお芝居に圧倒されているんですよ。そうやって普段とはまた違う上田さんの一面が知れましたね。
メインキャストみんなが持っている、ある共通点?
――皆さん、思った以上に第1期を経てお互いの印象が変わったんですね。
石川 印象が変わったのとは違うけど、僕はホントに川島くんが面白くて! フィンってボキャブラリー豊富にいろいろなことにツッコんでいくじゃないですか。メインキャラクターの中ではわりと常識人で、じゃあ、川島くん本人も常識人なんだろうなと思ったら……これですよ! 自分がボケであるということすらもわかっていない、もう最強の天然さ!
川島 (飄々と)いやー、ヤバい奴なんだよなぁ。
石川 自分で言ってるし(笑)。意図しないボケっていうのがいちばん強いんですよ。
――ちなみに、ここまで石川さんだけ話が出てきませんが……。
小林 (石川)界人さんも怖いところありますよ。
石川 いやいや、メチャメチャ優しいでしょ!
上田 私は、すごくクレバーだなぁって思っています。お芝居も、休憩時間に話していてもクレバーさが出ていて、すごいなぁって。
石川 頭のよさがランスに似ているってことですね。
小林 ディベートとかやったら勝てなさそう。
上田 ああ、絶対に勝てないと思います!
――結論として、みんな「怖い」と。
川島 そう! みんな怖い!
石川 「怖い」の話で終わっちゃったな。(一同笑)
- 小林千晃
- こばやしちあき 6月4日生まれ。神奈川県出身。大沢事務所所属。主な出演作は『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』(ヒロト役)、『地獄楽』(画眉丸役)、『ラグナクリムゾン』(ラグナ役)、『葬送のフリーレン』(シュタルク役)など。
- 川島零士
- かわしまれいじ 11月30日生まれ。愛知県出身。青二プロダクション所属。主な出演作品は『不滅のあなたへ』(フシ役)、『夜桜さんちの大作戦』(朝野太陽役)、『英雄教室』(ブレイド役)、『聖者無双~サラリーマン、異世界で生き残るために歩む道~』(ルシエル役)など。
- 石川界人
- いしかわかいと 10月13日生まれ。東京都出身。ステイラック所属。主な出演作品は『ハイキュー!!』(影山飛雄役)、『僕のヒーローアカデミア』(飯田天哉役)、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』(梓川咲太役)、『わたしの幸せな結婚』(久堂清霞役)など。
- 江口拓也
- えぐちたくや 5月22日生まれ。茨城県出身。81プロデュース所属。主な出演作品は『SPY×FAMILY』(ロイド・フォージャー役)、『遊☆戯☆王ゴーラッシュ!!』(ズウィージョウ)、『アイドリッシュセブン』(六弥ナギ役)、『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』(比企谷八幡役)など。
- 上田麗奈
- うえだれいな 1月17日生まれ。富山県出身。81プロデュース所属。主な出演作品は『アオのハコ』(鹿野千夏役)、『鬼滅の刃』(栗花落カナヲ役)、『俺だけレベルアップな件』(向坂雫役)、『わたしの幸せな結婚』(斎森美世役)など。
『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』
2024年1月6日(土)23:30よりTOKYO MX他にて放送開始!
- ©甲本 一/集英社・マッシュル製作委員会