Febri TALK 2021.04.12 │ 12:00

宇木敦哉 映像作家/イラストレーター

①初めてDVDをそろえるほどハマった
『天空のエスカフローネ』

著名クリエイターのアニメ遍歴を聞くインタビュー連載に登場いただくのは『センコロール』が大きな話題を呼んだ、監督・宇木敦哉。その第1回は、中学時代にハマったという異色のロボットアニメについて。

取材・文/宮 昌太朗

流線形っぽいデザインのメカに惹かれた

――今日は、宇木監督のアニメ体験を伺おうと思っているのですが……。
宇木 事前にお伝えしていたように、人並みに見ていた――というくらいで、特に熱心にアニメを見ていたわけじゃないんです。なので、ちゃんとしたインタビューになるか、若干不安なんですけど……。

――いえいえ(笑)。子供の頃に見ていたアニメって覚えていますか?
宇木 小学校の頃は、普通に夕方にやっているアニメを見ていましたね。当時、見ていたのは『悪魔くん』とかかな。他にもジブリ映画だったり、夜の映画番組でやっているような作品はよく見ていました。ただ、映画館に行くわけでもなく、どちらかというとゲームばっかり遊んでいましたね。

――その頃、遊んでいたゲームというと……。
宇木 当時だからファミコンかスーパーファミコンですね。たぶん『ドラゴンクエストⅢ』とかかな。ゲームは、めちゃくちゃ遊んでいました。

――その後、意識してアニメを見るようになったのでしょうか?
宇木 『新世紀エヴァンゲリオン』が始まったのが中学生のときかな。妹がすごくハマったんですよ。僕自身はそれほどって感じだったんですけど、妹が見ているのを横でちょこちょこ見る感じで。むしろ『エヴァンゲリオン』よりも、そのあとにオンエアされた『天空のエスカフローネ(以下、エスカフローネ)』がすごく面白くて。

――それは何が理由だったんですか?
宇木 うーん、なんだったんでしょうね(笑)。たぶん、丸っこい形のロボットが好きだったんじゃないかな。それこそ『機動戦士ガンダム』でいえば、ガンダムよりもズゴックのほうが好きみたいな。『エスカフローネ』に出てくるロボットも、ちょっと流線形っぽいイメージがあって。そういうのが好きだったんじゃないかなと思います。

メカだけではなくて

ドラマも少女マンガを

ちょっと意識したような

ストーリーで面白かった

――『エスカフローネ』のメカデザインは、山根公利さんですね。
宇木 ああ、そうか。『カウボーイビバップ』のメカデザインも山根さんですよね。あれもカッコよかったです。『エスカフローネ』はメカだけではなくて、ドラマも少女マンガをちょっと意識したようなストーリーで面白かったんですよね。じつは、初めてDVDをそろえたのも『エスカフローネ』でした。

――それくらいハマったわけですね。
宇木 好きになった作品は、何回か見直しますね。絵を描きながらずっと流したり。

――そういうときは、見ている作品の絵を模写したりするものなんですか?
宇木 うーん、大きくなってからは趣味で模写もしましたけど、子供の頃はもっぱらゲーム系の絵が多かったですね。ウチには「ゲームは一日1時間」みたいなルールがあって(笑)、もうちょっと遊びたいんだけど、禁止されているので、しょうがないから絵を描いていた、みたいな感じだったんです。

――代償行為みたいな。
宇木 そうですね。それこそ『ドラゴンクエスト』の攻略本を見ながら「てつかぶと」とか、武器の絵を真似して描いたり。

――そこでキャラクターではなく、武器の絵になるわけですね(笑)。
宇木 そうですね。キャラクターも描いてはいたんですけど、『ドラクエ』はもっぱら武器の絵でした(笑)。あとはスーパーファミコンの『真・女神転生』。あれが好きで、金子一馬さんがデザインした悪魔の絵を、よく模写していました。

――たとえば、『エスカフローネ』に出てくるメカの絵を描いたりとかは……。
宇木 思い返すと、アニメはあまり模写しなかったですね。『ドラゴンボール』とか、マンガの絵を描くことはあったんですけど。当時、アニメ雑誌は買っていなくて、今のようにネットもなかったから、手元にある資料がゲームの攻略本とかマンガだったんですよ。だから模写するとなると、ゲームとかマンガになったんだと思います。

――なるほど。『エスカフローネ』から受けた影響みたいなものはあるんでしょうか?
宇木 うーん、どうだろう……。自分ではちょっと思いつかないですね。ただ、DVDを買って繰り返し見たくらい好きな作品なので、知らず知らずのうちに影響を受けているかもしれないですね。endmark

KATARIBE Profile

宇木敦哉

宇木敦哉

映像作家/イラストレーター

うきあつや 北海道出身。2009年に初めての監督作『センコロール』、2019年に続編と連結させた新作『センコロール コネクト』が公開。中村健治監督の『つり球』など、キャラクターデザイナー・イラストレーターとしても活躍する。最新作は22/7(ナナブンノニジュウニ)の7thシングル「僕が持ってるものなら」のMV。

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