TOPICS 2021.07.20 │ 12:00

異色アニメ『オッドタクシー』はこうして作られた
メインスタッフ座談会①

かわいらしい動物キャラの見た目とはギャップのある、現代社会の闇を映し出すようなミステリー/サスペンス作品として、さまざまな謎や伏線の考察も盛り上がった『オッドタクシー』。果たして、この作品はどのように作られたのか? 主要メンバーである木下麦監督、平賀大介プロデューサー、そして脚本の此元和津也に、作品の大枠が固まるまでを聞いた。

取材・文/森 樹

※本記事には物語の核心に触れる部分がございますので、ご注意ください。

お笑い芸人やアイドルを出すのは、当初の企画書から決まっていた

――作品にはお笑い芸人やアイドルが登場しますが、これはリアルな世界観を形作るためでしょうか?
木下 お笑い芸人やアイドルを出したいというのは、デザインも含めて当初の企画書から決まっていたことのひとつでした。
平賀 ミステリーキッスは、キャラクターデザインとともに簡単な設定も決まっていました。もちろん、設定を変えることもできたのですが、此元さんにはある程度枠組みが決まっているなかで物語を再構成していただくことになりました。やりづらいかなとは思ったのですが……。
此元 いや、やりやすかったですね。いかに向き合うかだけでした。
平賀 なるほど。
木下 ホモサピエンスも「関西から上京したばかりで、くすぶっている芸人」という設定は最初から決めていました。僕が希望していたダイアンさんにキャストが決まってうれしかったですし、その良さを此元さんがさらに引き出してくださいましたね。
此元  もともとお笑いは好きですし、書きやすかったです。

――ホモサピエンスの漫才はダイアンのネタといってもいいくらい違和感がなかったですが、研究したのでしょうか?
此元 研究とまではいかないですけど、ダイアンのおふたりが演じるということで。馬場のほうも、もともとはおとなしめのキャラだったんですけど、ダイアンの津田さんのキャラに合わせて大きい声を出したほうがいいよなと思って、後半からそうしました(笑)。
木下 ダイアンさんが演じてくれたホモサピエンスは、プレスコの良さが出ましたね。ある程度の尺はあるにしても、漫才のシーンやラジオでの掛け合いは芸人さんが持っている“間”でやってほしかったので、ダイアンさんの真価が発揮できるように、なるべくしゃべりやすい環境で録りました。編集をやってくださったベテランのスタッフも、ホモサピエンスの漫才シーンを見て「これは声優さんじゃ絶対出せない」という話をしていました。プレスコで収録する良さと、芸人さんを起用したことの良さが如実に出たシーンだったので、貴重なものになったと思います。endmark

木下麦
きのしたばく。P.I.C.S. management 所属のアニメ演出家、イラストレーター。自身がキャラクターデザインも務める『オッドタクシー』で監督デビュー。
此元和津也
このもとかづや。マンガ家、脚本家。代表作にマンガ『セトウツミ』がある。2018年からP.I.C.S. management に所属し、脚本家として実写、アニメ作品にも参加し、その活動の幅を広げている。
平賀大介
ひらがだいすけ。P.I.C.S.所属のプロデューサーで、創業メンバー。オリジナルコンテンツの企画開発/制作を中心に手がけており、木下監督と『オッドタクシー』を作り上げた。
作品情報

アニメ『オッドタクシー』
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